1
認められたいって気持ちは、誰にでもあると思う。ただ私は、それがちょっと強かっただけ。
『今日のメイクめっちゃ可愛い!』
『やっぱりゆずちゃん顔が天才』
そんな本心かどうかもわからない言葉は、画面をスクロールする度に溢れ返ってくる。昨日アップした動画のコメント欄を見て、私の心は満たされると同時に、削られていく。次はどんな私になろう、みんなは何を求めてるんだろう。可愛い『なりたゆず』、綺麗な『なりたゆず』、少し抜けてて天然な『なりたゆず』。
昔から容姿を褒められることが多かった。両親や周りの大人、友達。「ゆずちゃんは可愛いね」と言われる度、私って可愛いんだ、と思うようになり、どうやら自分が優れた容姿をしているということは、幼い頃に自覚した。
でも環境が変われば、さらに可愛い人に出会ったりする。私は井の中の蛙、上には上がいる。そんなことはわかっているのに、上の存在を認める度、私を認めて欲しいって気持ちがどんどん強くなっていった。
大学生になった辺りで、私は自分の顔を全世界に晒した。インターネットが発達している現代で、それは珍しいことではない。動画をサイトに上げたところで、同じような動画は星の数ほど転がっており、その中から私を見つけてくれる人なんてひと握りしかいない。そんな気持ちの反面、やっぱり見つけて欲しい、可愛いって言って欲しいという気持ちが大きくなり、私は動画を上げ続けた。
そして現在、私は若者の間で徐々に登録者を増やし、大学で話しかけられるくらいには知名度のあるインフルエンサーになった。
「ゆずちゃん、その髪型この前動画で紹介してたやつ?」
「え、そうそう!見てくれたの?」
「もちろん!それめっちゃ可愛いね、今度やり方教えてくれない?」
「……あはは、うん。今度ね」
でも最近気づいた。有名になればなるほど、話しかけてくる人は「インフルエンサーの『なりたゆず』と知り合いである」というステータスが欲しいだけだということ。そして、元々仲が良かった子はみんな、私と距離を置いていくということ。あれ、これでいいんだっけ。たまに思うけど、ネットの世界に依存して、匿名の誰かからの賞賛に自分の価値を見出している私は、今更ここから離れることなんてできないとすら悟っている。大学の授業が終わり、誰かに話しかけられる前に、私はそそくさと教室を出た。




