死亡セリフ選手権
大学のオカルト研究サークル「オクサ研」は、
卒業記念に「幽霊屋敷チャレンジ」を決行することになった。
場所は、閉鎖された“旧・霧ノ杜館”。
過去に7人が失踪し、うち5人が「意味不明なセリフ」を残していたという噂つきの物件。
どうせ行くなら……と始まったのが、
「死亡セリフ選手権」
つまり――
**一番それっぽい“死亡フラグセリフ”を言ったやつが、勝ち(?)**という謎ゲームである。
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【登場人物】
•タカシ:企画者。盛り上げ命。ハイテンション系
•ナツミ:リアクション女王。叫ぶ係
•シンジ:物知りツッコミ枠。メタ知識持ち
•リカ:黙ってる系。黒髪ロング。フラグ製造機
•マモル:筋肉。ノリは良い
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【開始早々:セリフラッシュ】
入館直後、タカシが叫ぶ:
「うわ、空気ヤバ!ここ、絶対出るだろ!」
→死亡セリフ①:「ここ、出るだろ」は予告じゃなくて呪文
ナツミ、廊下を見て:
「ねえ、さっき誰か通らなかった……?」
「気のせいか〜ハハハ」
→死亡セリフ②:「気のせい」で済ませたやつ、だいたい消える
シンジ、真顔で:
「ここ、実際に呪われてた家モデルになったって噂ある。調べとけばよかったかも」
→死亡セリフ③:「調べとけばよかった」は、調べても死ぬタイプ
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【第1ラウンド:リカ、満点フラグを置く】
リカが小さくつぶやく。
「……この階段、誰かの声が聞こえる。昔の子どもの……」
→誰も反応しない
→無視される感知型セリフ=最強の死亡導線
直後、階段の下からガラガラ……と三輪車が転がってきた。
全員沈黙。
リカ、にっこりして言う。
「懐かしい音……お兄ちゃんの、音だ」
→死亡セリフ④:「お兄ちゃん」は出しちゃいけない記憶の鍵
→リカ、次のシーンからいない。
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【第2ラウンド:自己申告フラグ芸】
タカシ、ポーズを決めて:
「俺、幽霊とかマジ信じてないし!映ったら映ったでオイシイし!」
→死亡セリフ⑤:オイシイ発言=即撮影中にヤられる
→カメラごと落下。録画停止。
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マモル、ドアの奥から音がするたびに:
「誰かいるのか!?」(×3)
→死亡セリフ⑥:「誰かいるのか!?」→いる場合、確実に負けるやつ
→3回目でドアが開く→ピシャッと閉まる→以降、マモルもいない
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【第3ラウンド:ナツミ、覚醒する】
ナツミ:「やばいやばいやばい……これ絶対やばいやつだって……!」
→叫ぶだけで生き残ってるの逆にすごい
ナツミ:「帰ろうよ!今ならまだ間に合うかも!」
→死亡セリフ⑦:「まだ間に合う」=“もう手遅れ”確定
→廊下の床が抜けて、ナツミがズドン
→地面に“間に合わなかった時計”だけ残る
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【ファイナル:シンジ vs 館】
ひとり残されたシンジ。
彼はゆっくりと玄関の方を向く。
「つまり、この館は“セリフで魂を喰う”んだ。
ならば――何も言わなければ、喰われない」
→死亡セリフ⑧:「黙れば大丈夫」理論は、喋らなくても終わる
玄関のドアが開く。外の光。
一歩踏み出す。
……足元に転がる、リカの三輪車。
→館「セリフいらん。記憶でも喰う」
→シンジ、後方からぬるりと消失
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【エピローグ】
夜が明け、誰もいなくなった館。
でも、誰かの声だけが響く。
「……俺、この館出たら告白するんだ」
→新しい客が来た模様。
選手権は、終わらない。
──完。