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四話 大事件

「う~ん……ハッ!」


圧迫感を感じて目を覚ますと、私のお腹の上に三匹の猫ちゃんが眠っていた。

お腹を出したり香箱座りだったり思い思いの格好で眠っている。う、動けねぇ……。


私は起こさないようにそおっと猫ちゃんを降ろした。体を起こし眠っている猫ちゃんを見ると、猫吸いしたい衝動に駆られる。


いや、ダメだダメだ!せっかく起こさずに降ろせたのに……おおっと体が勝手に!!


ボフッと猫ちゃんのお腹に顔を突っ込み、息を深々と吸った。

すうぅぅぅ……はぁぁぁ……。アァ~……朝イチの猫吸いキクわぁ!


「ウニャァ!ビックリしたぁ」


ビックリして飛び起きた猫ちゃんは三連引っ掻きを私に食らわせて走り去った。

あーん、もうちょっと吸いたかったのに……。


森に来てから一ヶ月が経ち、私も森の生活に馴染んでいた。キャスパリーグを除いた森の猫ちゃん皆をテイムし、異世界猫ちゃんハーレムを楽しんでいる。


キャスパリーグもテイムしたかったのだが、「この森の主である私がテイムされるわけにはいかないのだよ」と言われてしまったのだ。


猫ちゃんに無理強いはしたくないし、そういうことなら仕方がない。

その代わりに、キャスパリーグから猫と話せる加護を貰ったんだよね。


全猫好きが望む能力を手に入れたのだ。ていうか、加護を与えられるキャスパリーグて何者なの?ケットシーみたいな神様なの?


まあそういう次第で、私は猫ハーレムを堪能しているのだ。


「おはようございますご主人様」


丁寧な言葉で挨拶してくれたのは、森で最初に出会った猫ちゃんであるマタゾウだ。

喋ってみると意外としっかりもので、グータラな私を叱ってくれるかわいい子だ。


撫でてあげるとしっかり出来なくなるのもかわいい。


「ほら、朝ごはんを食べましょう……ちょっと、撫でないでください、あっでももうちょっと……」


顎をワシャワシャと撫でてあげると、最初はそっけなくしていたが直ぐにゴロゴロと喉をならしだした。

チョロくてかわいいなぁ。


「まったく何してるんだい」


マタゾウの後ろから姿を表したのは、金華猫の金ちゃんである。


金色のペルシャ猫のような見た目で、フサフサの毛が気持ち良さそうである。実際埋まり心地が物凄く良い。


性格はツンデレでシャナリとした喋り方がかわいい。


「バカなことやってないで、早く食べるよ、これだからご主人はダメなんだえ……撫でるんじゃないよ!」


一擦りだけ撫でた瞬間、金ちゃんがパシンとネコパンチを放った。つれないなぁ……でもそれが良い!


「たいへんー!大変だよご主人!」


背後から元気な声が聞こえてきたと思ったら、後頭部に物凄い衝撃が走った。


「ゴフッ!」

と私は血反吐を吐いて吹き飛んだ。

吹き飛んだ私をさらに追いかけ、吹き飛ばした張本猫、マグちゃんが顔を覗き込んできた。


「おはよう!ご主人!」


「お……おはよう……マグちゃん……」


私は絞り出すように言った。

マグちゃんはマグナフェリスという種類の猫型魔物で見た目は人より大きな三毛猫ちゃんである。おバカな所がたまにキズだが、元気でもふもふなかわいい子である。


たまに猫ちゃんがする突撃も、マグちゃんのサイズだと致命傷である。まぁかわいいからヨシ!


「んでどうしたのマグちゃん?何が大変なの?」


「えっとね、皆がね、広場でね、フニャフニャってね」


必死に説明しようとしてくれてるが、要領を得ずなかなか状況が分からない。ふふふおバカな所もやっぱりかわいいなぁ。


「と、取り敢えず乗って!案内するよ!」


そう言ってマグちゃんは伏せて背中を差し出した。その滑らかな曲線に魅せられて私は思わず撫でてしまった。

マグちゃんは気持ち良さそうに喉鳴らしている。


「ってそうじゃないよご主人!乗って!」


ハッ!そうだった。何やら大変なんだったね。目の前にモフモフの大きな背中があったからつい……。


私はマグちゃんに飛び乗り、背中に股がった。

するとマタゾウも一緒にピョンと飛び乗った。マタゾウからしたらかなりの高さだろうにひとっ飛びなんて、カッコカワイイじゃんマタゾウ。


「一緒に来てくれるの?」


「ご主人様だけでは心配ですので、私もついていきます」


「フフフ、ありがとうね」


こう言っているが、マタゾウは私と離れたく無いだけなのだろう。この一ヶ月で尻尾の動きからマタゾウが何を考えているか分かってきた。

フフフ愛しいなぁ。


私はマタゾウの頭を優しく撫でた。


「何ですか?撫でても何も出ませんよ」


そう言いながらも、マタゾウの喉からはゴロゴロと猫マシンガンが出てるし、尻尾は嬉しそうに揺れている。


よし!堪能したしそろそろ向かうとしようかな。


「マグちゃん、じゃあお願いね」


「分かった!しっかりつかまっててね!」


「あ、できればゆっくり目でえぇぇぇぇ!」


ビュンッ!


私のお願いを聞き入れる暇もなく、マグちゃんは新幹線並みの速度で走り出した。


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