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九話 バトルギルドの洗礼

「じゃあこれが、君のプレートだよ」


グランさんは私に、結婚指輪でも入っていそうな大きさの箱を渡した。

開けてみると、中には金色に輝く小さなプレートが入っていた。

大きさは手のひらにスッポリと入るほどで、私の名前が中央に刻まれている。


「これで君は、バトルギルド所属のゴールドプレート冒険者だよ」


「ゴゴゴゴゴゴ、ゴールドプレート!?」


私が何かを言う前に、傍にいたセイラさんが驚愕の声を揚げた。

そういえば、結局ゴールドプレートだのミスリルプレートだのってなんのことなんだろう。


「あのすみません、ゴールドプレートってすごいことなんですか?」


「すごいに決まってるでしょ!!!」


私が質問を言い終わる前に、セイラさんは私に顔を近づけて言い放った。

近い近い近い!鼻息当たってる!


「良いですか?バトルギルドには冒険者のランクをプレートの色で区別しています!ブロンズ、シルバー、ゴールド、ミスリルの四つに分かれていて、基本的に冒険者はブロンズからスタートするんですよ!!

それを最初からゴールドプレートだなんて……前代未聞です!」


セイラさんは一息に捲し立てた。

早口すぎて理解できたか怪しいけど、取りあえず凄いってことには違いないみたいだね。


「確かに異例だけど、僕の槍を避けられる人間なんて、ゴールドプレートの冒険者でも数人しか居ないからね。正当な評価だと思ってるよ」


グランさんは落ち着き払った声で言った。


基本的にはブロンズスタートだけど、私の実力を見てゴールドスタートにしてくれたのか。

実力主義で考えてくれるなんていい上司じゃん。前世のあのクソ上司もこんな感じなら良かったのになぁ。


「ささ!早速着けてくださいよ!」


セイラさんはそう言うと、テキパキと私の胸にプレートを着けはじめた。

私のパーカーに、名前入りの金のプレートが取り付けられた。


「じゃあ早速、依頼を見てみるかい?ゴールドプレートならほとんどの依頼を受けられるよ」


依頼?

あぁそうか、冒険者は依頼を受けて魔物の討伐をしたりするって、スフィアさんが言ってたっけ。

もしかしたらそこに、マタゾウちゃんたちの捕獲を依頼したやつが、別の依頼を出してるかも……。


「せっかくなので見たいです」


「分かった。それじゃあセイラ、ココロ君を案内してくれないかい?僕はちょっと仕事があるんでね」


「かっしこまりましたー!さあココロ様、こちらへどうぞ!」


セイラさんは私の手を引いて、バトルギルド受付の酒場にある掲示板の前に連れてきた。

掲示板には指名手配書のような形式の討伐依頼の紙が所狭しと並んでいる。


「依頼ってこんなにあるんですね、迷うなぁ」


「それもそうでしょう!魔物の討伐依頼はほぼ全て、このバトルギルドに集まるんですから!」


胸を張り、鼻高々に語るセイラさんを余所目に、私は悩むフリをして猫型魔物の捕獲依頼を探した。

しかし、捕獲依頼はおろか、討伐依頼すら見つけられない。


「捕獲依頼って無いんですか?」


「捕獲依頼、ですか?バトルギルドにくる依頼のほとんどは討伐依頼ですね。たまーに生態調査とかで捕獲依頼も来ますが……」


生態調査のための捕獲依頼か。

マタタビの森を襲った男たちの目的は森の皆を売り捌く目的だったし、バトルギルドで受けた依頼では無さそうだね。


チラリとバトルギルドの外を見てみると、日が沈みかけており、夜が顔を出していた。


夜までに帰らないとキャスパリーグが心配するし、そろそろ帰ろうかな。

バトルギルドのシステムが分かっただけでも大収穫だしね。


「今日は受けずに帰ろうかな、ちょっと疲れましたし」


「えー!お受けにならないんですか?ココロ様はゴールドプレートですから、どんな依頼でも受けられますよ!」


セイラさんは心底ガッカリしたようにそう言った。

すると、唐突に酒を飲んでいた大男が立ち上がって、私の方を振り返った。


「なぁにぃ!?ゴールドプレートだとぉ!」


男は真っ直ぐと私のところへ向かってきた。

そして私の胸元を指すように見つめた。


てか酒クッサ!!猫以外が私に近寄るなよ!



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