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幾ら神でもミスは勘弁願います! 〜異世界を生き抜く元高校生の物語〜  作者: 砂糖
第三章

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第二十七話 授業頓挫、サブの自信

 

 クラス分け後、授業は開始早々、オレが野次馬二人を倒した事で、完全に頓挫してしまった。


 教室が、張り詰めた緊張に包まれる。


「ところで、そこに寝転んでいる二人はどうしたのじゃ?」


 白髪の混じった髪を纏め、杖で床を軽く叩きながら問う。


「かっ、彼が……何かしらの術で倒しました」


 傍らの女子生徒が震える口で答えた。

 すると老人教師の視線がこっちを向く。


「ふむ、お主は神名持ちじゃったか」


(いや、待て。“神名持ち”ってだけで、アストレイアと特定できないか?)


 もちろん、サブに問う。


【確かにそうですね。ですがそこまで有名では無いでしょう】


(それは助かる)


 そんな会話をしながらも、覚悟を決めて答える。


「はい」


 そう答えた瞬間、老人教師の空気に変化を感じた。

 怒られるものかと思った。

 しかし、老人教師の口から出た言葉は違った。


「よいよい。この学園は弱肉強食、実力主義。身の程を弁えない愚者どもは朽ち果てるだけじゃ。そこの馬鹿二人は教室の奥に放置しておけ。」



 ……理不尽ではあるが、納得は出来る。

 この国は、そういった理不尽の上に成り立っている。

 だからこそ、不思議と納得が出来た。


 その時、教室の空気は一変した。

 他のクラスメイトはオレを恐怖や好奇心、そして少しの尊敬が入り混じった視線を向ける。


 ……オレってこんな扱いになるんだな。


 その目線に、ふと苦笑してしまった。


【神名持ちとしての存在感は既に出せています。次は、人格や素質や判断力も見せる必要があります】




 そうして、教師は満足気に頷くと、授業再開の合図が出た。


 しかし、授業は無かった。


「今日の授業は、中止じゃな。代わりに“学ぶ”とはどういうことかについて考えるとしようか」


 なんだかんだいい教師だ。

 サブも同意してくれた。


 そうして、オレは席に着き、深呼吸をする。

 馬鹿野次馬二人のせいで授業は潰れたが、代わりにここがどんな場所かが分かった。


 これの先、サブに頼らずとも色々出来るよう、強くなろう。

 そう決意して“学ぶ”についてのディスカッションに参加したのだった。



 ─────────────



 昼の鐘が鳴ると、授業は終わる。

 通常授業も午前で終わるそう。


 ただ、ここは異世界。時計などの文明の利器が存在しない。

 一応、世界計測系魔法で時間が分かるらしいが、魔法適性ゼロのオレには使えない。


 そして恐らく、この世界には転生者が幾ばくかの確率で存在している。その例が、オレやミレーユ()だ。

 しかしながら、その持っている知識や技術を周囲に伝え広めることはしない。


 何故か。


 簡単だ。


 この世界には著作権なる権利の保障制度が無い。

 更には、貴族制度のある国では全て王の財産になり得る。

 また、その技術を真似た偽造品は、高確率で人の命を奪う、危険物に成りかねない。


 ましてや、魔法がある。

 例えば、火をつけるのもそうだ。

 マッチ(文明の利器)を使わなくても魔法回路と魔力があれば、誰でも火が起こせるのだ。


 その様な理由(わけ)で、エスカレーターやエレベーター、照明器具も無い。


 つまり、オレの元いた世界の製品を作れば生活はより良いものになる。その前に、学園長にこの法律案を提出する。死亡事故は起こしたくないし。


 でも、その前にオレの実力を示さねばならない。

 そうでもないと、学園長に会う事すら出来ない。


 はてさて、どうしたものか。


 このような事を考えながら、カインは帰途を辿ったのだった。



 ─────────────


 初めての授業──ディスカッションを終えて、寮の自室に戻った。


「おかえりなさい! カイン様!

 今日の晩ごはんは、“安心”がテーマです!」

「おう、坊主。何も問題は無かったか?」


 護衛二人が出迎えてくれる。

 あの喧騒からいつもに帰ってきたんだな、と思ってしまう。

 ……いや、それでいいんだな。


「ああ、野次馬二人をやっつけてきた」

「……はぁぁぁぁああ!?」

「……はわわ、大丈夫でしたか?」


 この後、今日の事の顛末を一から十まで聞かれた。


 その説明を終えた後、晩ごはんを食べて、翌日に備える。


 ベットに寝転がろうと思ったら、サブがいきなり話し掛けてきた。


【カイン様! 準備は出来ていますか?】

(んん? 何の?)


 ……話によると、どうやら、護衛と一緒に反省した時から、メンテナンスと新機能の構成をしていたらしい。


 ……ってかやってた。


【今回のは、自信があります!】


 そう意気込むサブは、擬人化して、オレの真正面に立つ。


 ……。


「よし、サブ。先ずはその青い人形(ひとがた)から、普通の人間のような見た目にしようか」


【…………】


 二度振り返られた。


 サブもどうやら、そこに突っ込まれるとは思っていなかったらしく、仰天していた。


【こんな感じですか?】


 今度は、身長を少し縮めて、マトリョーシカ見たいな見た目になった。


 ……うん。チェンジ。


 何度も繰り返して……って面倒なので、オレの伝えた形になってもらった。


 どんな形かって?

 ……オレが地球にいた頃に好きだった人の形。

 ……恥ずかしいから、この話はおしまい。



 そして、気になることを聞いておく。


「ところで、防音とかしなくて大丈夫?」

【抜かりなく】


 おぉ、流石。

 分かっているねぇ~。


【どうも、この東棟は壁が薄くてプライバシーがないですからね。

 監視しやすい構造というよりか、そうなってしまいやすい、が正しいですね】


 すると、オレの目の前にお馴染みのディスプレイが出現した。


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