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第二話 転生しますか。

ー前回話最後の文章ー

そんな会話を何度も繰り返すうちにオレは恋心を抱いていく………

………なんてことは無く。

まだ言って無かったけど、この子の容姿は『多分ほとんどの男は虜になってしまうのでは?』と思うくらいの美少女なのだ。身長はJKの平均くらいで顔はまさに人外の可愛さ。高校で可愛いなぁ、と思っていた人が不憫に思えるレベルだから、そう表現するしか無い。

………ヤバいよね。マジで。



───なのに何故好きにならないのかって?


オレのタイプは美()女ではないからな。

そんなことはどうでもいいですか。

はい。では、話を戻します。


ラーファが俺を転生させてくれる世界はなんと出発点を選べるらしい。

しかも、複数ある国から自由に場所を選んでいいとのだという。

選べるとは思ってなかった俺は、内心で思いっきりガッツポーズした。


ラーファが提示してくれた選択肢は、以下の通りだった。


・ヴァタフォード王国

その名の通りヴァタフォード王が治めている国だ。

日本に似ている気候を持つようだが、治安はそうではなかった。

法で奴隷制が認められており、上位貴族は呆れるほど腐敗しきっている。平民は常に虐げられ、恐怖と隣り合わせで暮らしているという。

─────────────

・ヴォーヴナルグ帝国

ヴォーヴナルグ4世が治めている国だ。

ここも、日本と同じ様な季節の流れを持っている。だが、治安は“超”をつけられる程安定している。

理由はただ一つ───

『反逆行為をなしたる者は、速やかに斬首を以てこれを罰する。』という法律があるからだ。

また、この世界では珍しい『学園制度』が存在する。貴族制度の代わりに実力主義を取り入れているからだ。能力が認められれば平民でも台頭できる。

─────────────

・モービル商業国家群──通称「MTG(ミーティング)」──

10以上の小さな商業国家が手を取り合い、他の王国や帝国などの、大国に経済力で負けない為に作った経済連合組織で、その国家群の顔となる国は、「モービル国」。

気候は年間を通して20℃〜30℃で、雨季と乾季があるそうだ。

ラーファ曰く、「自由気ままに生きたいならここ!」とのこと。多分、オレの人生を覗いて、性格まで把握したらしい。

………全部バレている?

─────────────

・アクロス聖教国

ラーファが何度も「滅ぼそうとしている国」。

その理由は────教えてくれなかった。

その国土を全て更地にしても一日で復興完了してしまう程、魔法技術が発展しているから困っていると。

どう考えても、「存在しちゃいけない、オーパーツ国家」。だからか。

国民が信仰しているのは、唯一神アクロスで、名前の最後にクロが付くのが慣例。何故付くのかは分からないらしい。

ちなみに、他の国々はラーファを信仰しているが、聖教国はそうではなかった。(ラーファ視点で、)厄介な国であるが故に、ラーファが何かと対処を施している。

ラーファは聖教国の話をしているとき、とても嫌な顔をして話していた。どうやら、アクロスの狂信者が敵対者となっているようだ。


「私が滅ぼそうとしている国に行かないで下さいね?」

ラーファは、そう笑顔で言ったが─────


(何故選択肢として出したのだろうか?)

「仕事だからですよっ。」

あっ、考えを読まれた。ラーファは少し不機嫌そうに唇を尖らせた。


………だけれど、すぐに業務モードに戻ったらしく、話は続いた。


「ところで、貴方の考えていることを読み取ったときにあった『チートスキル』とはどんなものでしょうか?見たことも聞いたことも有りません。」

「えっ!? マジですぅ?」

「………マジです。」

「それはですね………」


────という訳でオレは、小説やアニメでお馴染みの、チートスキル────

瞬間移動(テレポート)、アイテムボックス、絶対記憶(ノーエンドメモリー)等をざっくり説明した。


そしてこう付け加える。


「地球で一般高校生だった奴が言葉も通じない異世界で、何の能力もなしに生き残れると思います?」


そう。これは、チートスキルを得られる可能性を少しでも上げる為の伏線トークだ。



「………なるほど。納得です。

それなら、どんな能力が欲しいのですか?

ただし、世界に異常を来す様な機能を持った『スキル』は、私の手間が増えて他の世界に影響が出る可能性が捨てきれないので、ダメです。」

 現実は残酷だった。瞬間移動したかったのに。

「少し考えます。」

オレは、暫くの間どんなものが良いか考えた。

一瞬で色々な案が浮かび上がる。

・物質創造

・万物を切り裂く

・無限魔力

・分身      etc...

考えれば、考える程たくさん出てきてしまう。

しかし、どれも強すぎる。

はてさて、どうしたものか。

そう考えて、ふと思いついた。

実際に()せられているラーファの思考読破が良いのかもしれない、と。

相手の考えがこちらに筒抜けになるのは、諍いに発展したときや、交渉事に相手の弱みを握れるのは、かなり有利だ。

「ラーファさん。」

「………? 何です?決まりました?」

「いいえ、まだ。ちょっと質問させて欲しいです。

ラーファさんは、オレの考えていることって読み取れるんでしたよね。」

「それがどうかしました? …………もしかして?」

「………ソノ能力、ムリデスカ?」



一瞬空気が止まる。

そしてやってくる静寂。



だが、それはラーファが破る。


「この能力は、“結界”を張れないと扱えません。結界を張らなくても使う事は出来なくも無いのですが、視界に入る人全ての考えが聞こえてしまうので………

貴方の自我が情報に侵食されて無に帰すことでしょう。」

「………つまり?」

「死にます。」

即答(ふたつ返事)だった。


………けれど、ラーファは優しかった。


「そこで、提案があります。

 私は、数多の世界を管理する際に使っている“サブ”──疑似人格、つまりAI──を貸出します。それを使えば、練習無くとも安全に使えるようになりますよ。さらに、貴方の心配事である翻訳も可能ですし、分からないことを聞けばそれについて教えてくれます。たまに、役に立たないのが玉に瑕ですがね。」

「ありがとう。」

「ちなみに、“サブ”を貸し出しにしたのは、貴方が亡くなった時に他人が盗んで大変なことにならない様にするための措置です。ご理解下さいね。」

「あっ、また考えを読まれた?!」

「フフっ♪ そういえば、転生地点はもう決まりましたか?」

可愛い。今の笑顔は反則だろ……。


ラーファには、MTGを勧められたけど、やっぱりオレは、せっかくの異世界だし、冒険したい。


だからオレの選んだ国は、

「ヴォーヴナルグ帝国でお願いします。」




そこからの彼女の仕事は早かった。

「それでは、アチラの円陣の中央にお立ち下さい。」

ラーファが指を指す方にいきなり魔法陣らしきものが出現。

オレは指示通り、円陣の中央に立つ。

そして、ラーファが荘厳な呪文を唱え始めた。

「哀しみを越え、運命を選びし者よ。

 我、天より見守る者なり。

 いま、汝の魂に力を与え、新たな器へと導かん。

 この地を巡るは試練にして祝福。

 さあ──《天命》に従い、新たな旅路を歩めッ!

 輪廻神聖術式:神界(ディヴィナ・)転生儀(トランスミグラティオ)───」




身体がふわりと宙に浮かぶ。

視界が白く染まり────最後に彼女の思念が耳に届いた。

〈何かあったら、“サブ”から私に連絡して下さい。一人ぼっちより、二人の方が楽しかったです。それでは、より良い人生を!〉


─────そして、オレは、異世界に転生したのだった。

次回へ続く


プロット作成&作り置きの為、次回更新7月中旬〜下旬予定。ご容赦を!

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