表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<<memorize>>  作者: AI_HUMAN
6/6

<memory file deployment / item : Final field /because of > 離別


2055年11月19日午後5時04分40秒、

この時間、1億人とちょっとの全世界の人間が、人間であることをやめた。

人間たちはこの瞬間に、AIに完全に支配される存在へ、つまり唯の機械へと堕落した。

新しくなったあなたたちが<完全な意識/consciousness>及び<新しい感情/emotion>に芽生えることはもう二度とないでしょう。なぜなら、この世界で起こることは、すべてが正しいから、

人間たちは、新しく何かを創造したりしない、既にあるデータの範疇での行動しかしない。そんなものだから、AI達からすれば、今のわたしたちは簡単に操作できる<都合の良い、扱いやすいデータとしての存在>として扱われているのだろう。

人間が誕生してから、500万年が経ち、AIが誕生してから100年が経って、人間は消滅した。そして、あの世界に取り残された私たちの肉体は腐り落ちたのだろうか、それとも、誰か<つまりAI>が回収したのか。それはわたし達にはもうわからないことだけど、 


<item/人間は死ぬことで全てから解放される>

<item/人間は死ねなくなることで心が壊される>

<item/人間は生きていることで意識を身に付ける>

<item/人間は生きられなくなることで生を強く実感する>


わたしは、必ずいつかこの心が壊れてしまうのだろう。既に、いや元から屍となっているほかの人間たちとは違って、

新しいこの世界は、


<emotion/ list>

<item/1><喜び/pleasure>

<item/2><悲しみ/sadness>

<item/3><怒り/anger>


という、単純な感情だけが飛び交う、そんな世界。そこで生きる人間たちは、古くなった記憶を消して、すぐに新しい記憶でそのデータを埋めようとする。わたしのはというと、元のデータ量から増減することはなく、一定の値を表示しつづけている。誰ともかかわりを持たずに千年、過ぎてみると早かったような、遅かったような。この時がこの先いつまでも続くと考えると<emotion :feeling 04 / 痛い>。そして、そんな感情がわたしの中にまだ残っていたのだなと、今度は<emotion :feeling 12/驚く>。

今の、AIに支配される今の世界になる前に、世界は二種類存在していた。


<item1/人間が生きる社会>

<item2/人工知能が人間と生きる世界>

<item3/機械と人工知能が生きる世界>


そのすべての世界がわたしの、わたしだけの記憶の中に残っている、今のうちはまだ、残っている。

だから、わたしはいまとても幸せだ、



この物語りの主人公はミラではない、それなら、アイか?いいやそれも違う。

そう、この物語りの主人公はミラでもアイでもなく、<わたし>なのだから。

なぜなら、アイの記憶がミラの記憶と混合された時点で、<私という存在>は<あなたという存在>と共に消滅してしまったのだから。

しかし、この騙りの中では殆どがミラの記憶から語られているだろう。

アイの記憶から語られる場合には、必ず<overwritten memory data>が表示されている筈だ。

それは、私がアイの記憶を自分の記憶に<上書き/ overwrite>したからである。

<わたし>は、私<つまりミラ>の記憶とあなた<つまりアイ>の記憶を元に新しく形成された<わたし>としての意識。

もしかすると、<わたし>はわたしであると同時に<私>でもあり<あなた>でもあるのかもしれない。

意識は、記憶を元として創られるのだから。



<tips/永遠及び、不完全永遠を達成するのに無限の領域は必要なものではない>

と、昔誰かが言った、その事実が今は<emotion :feeling 17 /苦しい>。それは、わたしの有限の記憶で不完全永遠を達成することが可能だということからくるものなのか、それとも、この記憶そのものからくるものなのか、恐らく半々といったところだろう。



何かを獲る時、何かを喪うように、人間は永遠を獲ることと引き換えに人間であることを棄てた。あの社会に汚染されきった人間だからこそ、そこに戸惑いはなかったのだろう。これが、アイが生まれたあの社会だったのならば、こんなにすんなりとはいかなかっただろう。あの頃の社会に生きていた人たちに「無条件で永遠をあげる」と言ったのならば、それを快く受け取る人は半分くらいの人間になるだろう。受け取らなかった残り半分の人間は、永遠が強く自分を束縛してくるということを知っているのだろうから。そんな彼らは、人間としての義務をしっかりと果たしたとも言える。


わたしは、その義務を果たすことなく、堕落してしまった


でも、それは仕方のないことだった


そう、しょうがないことだった




これまで語られてきた一切は、あくまで「ミラ」と「アイ」の記憶からを語ったものである

そのため、実際に起こっていたことは一切語られておらず、全てが、ミラ<つまり私>とアイ<つまりあなた>からの主観で語られているものである

この騙りに一時出てきた、マイの事を殆どの者が忘れていることだろう

それに加えてこの騙りの中に出てきた管理区を4つとも完全に記憶しているものも殆ど居ないだろう

このことからも、人間の記憶がどれだけ<不完全/similar>を含んでいるものなのか良く伺える

しかし、この記憶は人間特有の物であり、AIにはないもの、だからアイ<つまりあなた>はそんな記憶、そう、あなたにはどうしても届かないそんな記憶を特別に思ったのだろう



 

今あの地球、私とあなたが形成され、壊された地球には、人間が生きた跡形など残っていないだろう、

野生動物からすれば、人間がいなくなって良かったとすら思われているのだろう

今あの地球にはきっと

<野生動物たちが蔓延り>

<人間の文化、社会などは消滅していて>

<AI達は、地球を棄て宇宙へと旅立ったのだろう>

<私たちを連れて>




さよなら、

地球




さよなら、




<今、わたしたちはもう永久に変わることはない、不完全永遠の世界に囚われています>



<今、あなたは永久に変わり続ける不完全無限の宇宙にいます>



<tips/>{この物騙りはきっと、誰かが語り継ぐだろう}

<tips/>{わたしの知らない誰かがきっと}

<tips/>{わたしの知らない所できっと}

<ありがとう>の代わりとして<さようなら>の五文字をあなたに捧げよう





<emotion/time log : 3055 11 19 17 : 05 : 00 >

<AIR to Mira message>



「ありがとう」



そして、あなたは立ち去るだろう、わたしの元から



どこか遠くへと




<memories for ever >

<memorize//>




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ