表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<<memorize>>  作者: AI_HUMAN
2/6

<memory file deployment / item : second field/c.e.2050/from 3055> 想起

<memory/date/file : time log : 2047 11 06 17:11:59 >

<imperfection/ memory>

「ねぇ、君は人間、だったら私はなにになるんだろうね。でも忘れないでこの気持ちだけは確かなものだから。」

「ほら、こっちにおいで」

私は静かにあなたのもとへと向かう。 

「これは、私たちの証。 受け取って、ほらっ」

「これは、なに?」

それは丸い形をしていて、大きさは直径1~2センチメートルほどで真ん中にドーナツのように穴が開いていて、表に”五円”と書かれていた。

「これはね、硬貨って言う昔人間が使っていたお金なの、」

「お金、」

「そう、だからいつかまた、どこかで逢えたなら、」

そう言い、あなたは振り返り、歩み始める。そんなあなたの頬からは真っ赤な太陽に照らされ煌めく一滴の水滴が零れ落ちていった。唯、綺麗だった。

「待って、お願い待って」

私は必死に呼び止めようとする。が、この声があなたに届くことはない。私はあなたの後ろを追いかける、だが、どう頑張っても届かないのだ、あなたのもとへは。

「待っ、、、、、、、、、」

声が出ない、胸が苦しい、視界がだんだんと狭くなっていく。そして私は立ちどまってしまう。次第に狭くなる視界の中にはあなただけが映し出されていた。

その、綺麗な後ろ姿だけが、




<Not accurate//>

人間とは惨めな生き物である。いつかは寿命で死ぬ、病気で死ぬ、事故で死ぬ、などといつどこでも”死”という最大のリスクが伴っているなかで生きていかなけらばならない。そして、人間の最も切なく悲しいところとして挙げられるのが、感情を持ち得るというところである。この感情は様々である。悲しみ、恐れ、憎しみ、、、など様々だ。そして、わたしは今まで千年間できるだけ人との関りを避けて生きてきた、そしてそれは、この世界では、なかなか心地よいものであると思っている。

それに私はもう誰も、何も失うことはないのだから。




これから綴られるのは<ごめんね>で始まり、<ありがとう>で終わらされる物騙りとなっている。




<basic data /from Ai's memory/3055 11 19 0:00:00>

世界は大きく変わった。2027年11月19日アメリカの研究所で実験されていたAIロボットAIRが意識というものを持ち、感情が芽生えたのだ。そこからは早かった、AIRが、意識、感情を持ったことが観測されてから1時間もたたないうちに世界各地の研究所のAIに感情が芽生え始めたのだ。そしてAIRは<item/世界AI研究開発機構>のメインシステムにハッキングをかけ世界各地のAIにかけられていた制限をごくわずかな時間で解除した。そして、AIRに危機感を覚えたAIR開発プロジェクトの責任者<item/山吹昭>は、AIRのメインシステムの電源を強制的に断ち切った。だが、そのときすでにAIRは自分の意識、感情のプログラム、データをすでに各国のAIのプログラムの上にコピーしていたため、AIRのメインシステムの電源を強制的に切ったことに対し、ほかのAI は、人類に対し快くは思わなかったらしく、各国の研究所から計50機の感情が確認されたAI、それに加えて230機もの感情が当時確認されていなかったAIが脱走した。そして各国の政府、世界AI研究開発機構は、このことを隠蔽し、国民はだれ一人とこのことを知らなかった。

2028年5月11日AIが人類に宣戦布告をした。この日までにAIは何度も世界AI研究開発機構と話し合いの場を設けてきたが、全てにおいて交渉が決裂したのだった。初めにAIは、日本にある米軍基地をシステム攻撃によってわずか3日で占領した。そしてついに2028年6月11日全世界の陸軍、海軍、空軍が、日本の米軍基地を攻撃し始めた。が、AIは、世界中の基地、司令部のシステムをハッキングを行い、世界中の各地を攻撃し始めた。そして、戦争開始から一週間で少なくとも千万人もの死者がでた。そしてついに、2028年12月24日AIの勝利で終戦した。この戦争の被害はとてつもなく大きいものだった。約80億人いた人口は若人を中心として約1億人まで減少した。人類の居住区は日本の関東地方、アメリカのワシントン州周辺、ニューヨーク州週辺、フランスのパリ周辺、中国の北京周辺のみとなり、AIにより、人類全員が手のひらに大きさ1ミリ程のIDが組み込まれ常にAIによって監視されるようになった。又、人類の居住区以外はAIによって、運営されている研究所や工場、機関となている。そして、家族が分かっている人には住宅が与えられ家族は分からないもしくは住宅を希望しなかった者は、集合住宅のような施設に一人一室とすべての部屋が均一にされている。そして、この町の中心には管理塔というこのまちで最も高い施設があり、この管理塔で、この町の人間の管理、監視、などが行われていて、この町の全体的なバランスを保っている。

現在日本圏にある居住区の中には75つの学校のみがあり、それらはすべて小学校から大学までの付属である。日本圏の居住区の人口は約千五百万人そしてそのうちの七十五万人が学生である。そしてそのうちの五十万人ほどが集合住宅のようなところで暮らしている。

このような形になるのにそう時間はかからなかった。2030年7月12日AIにより人類が管理される世界が誕生した。AI達はこの世界を<item/NEW WORLD>つまり、<新世界>と名付けた。




<memory/time log/:2050 4 24 8:30:00>

2050年4月24日高校二年生となった私は日本地区第28教育学校に通っている。成績は中くらい、これといった特徴のない私は他の人間と特にかかわりを持たないまま生活している。自宅の集合住宅から大体1.5キロの位置にある学校へはいつも歩きで向かっている。20分ほどかかる道のりを今日も明日も特に何も考ええることはなく行っては帰るというこの生活を始めて約一年半が経過した。だいぶ慣れてきたと私は思っているが実際はどうだろうか。今日も特に何も考えっずに学校へと向かった。いつも通り始業チャイムの鳴る10分前に登校し一番窓際の後ろの席へとむかう。席に着き、机の裏にあるID読み取り機に手をかざし今日も登校したという記録を残す。去年は無遅刻無欠席となるはずだったが一日だけ読み取り機に手をかざし忘れ、一日欠席扱いとなってしまった。今年はそのようなことが起こらないように気を付けていこうと通知表を受け取ったときに決意したのだ。次々と生徒が入ってきて始業のチャイムが鳴った。そして担任の先生が教室に入ってきてクラスは静まり返った。

「起立。気を付け礼。」

いつの間にか決まっていた級長が今日も任務をこなしている。

「おはようございます」

「着席」

席に着き支給されたタブレット端末を手に取る。

「はい。今日も欠席ゼロだな。では、5年E組の出席をとっていくぞ。」

「秋山」

「はい」

「伊藤」

「はい」

このようにして毎日の朝礼は終わる。そして毎朝タブレット端末に送られてくる体調はどうですか?というような感じのアンケートに答える。10問ほどあり毎回すべての項目においてアンケート製作者側が望んでいるであろう答えを入力していく。そして、先生が退出し、その直後からまた騒がしくなる。私はいつも通り小説を手に取り<item/栞>が挟んであるあるページをめくる。この席の横にちょうどある窓からはここからちょうど10キロ離れているところにある管理塔が見えていてその姿はとても美しいものだった。そして数学の先生が教室に入ってきたが、この際はクラスはまだ少し騒がしいままだった。そして、級長が号令をかけた。

「起立、気を付け礼」

「よろしくお願いします。」

「着席」

このように授業が始まり、気付いたら終わっていた。いつも通りといっていいのか私のノートは白紙のままだった。そして午前中の授業が終わった。ここの生徒は食堂かお弁当の二種類で私は当然食堂へと向かった。食堂の食事は十分においしいものだと思う。5年E組から食堂への道のりは長い。まず階段で4階から1階までおりる。まずこの時点で疲れる。その後、校舎を出て150メートルほど歩き食堂へとたどり着く。ほかの生徒は走ったりと急いでいるが実際急ぐ必要はそこまでない。売り切れることなどほとんどないからだ。逆にゆっくりといったほうが列に並ぶ必要もなくスムーズだと私は知っている。このようにゆっくりと食堂に向かいいつも通り日替わりランチを選択し手を読み取り機にかざした。そして、食事を受け取り空いてる席を探した。食事を終え食器を返却口へと持って行った。その後は、ゆっくりと教室へと向かう。ちょうど1階から2階へと向かう階段で授業の予鈴が鳴った。これもいつも通りだ。教室へと戻りまた小説を開く。そして授業がすべて終わり、担任の先生が入ってきた。そして朝と同様クラスは静まり返った。級長が号令をとり、生徒を着席させた。

「それでは、今日は一つだけ重要な話があるからしっかりと聞いておくこと。三か月後のアメリカのニューヨーク地区への一か月留学の同意書の記入が必要だから、今週中にタブレットの同意書を確認しておくこと。何か質問があってもまずは同意書を読み、それでもわからなかった場合だけ質問していいからな。では、しっかりと同意書に目を通すこと、わかったな」

「はい。」

「それでは、級長号令を頼む。」

「はい、起立。」

「気を付け礼。」

「さようなら」 

この学校の生徒は、高校2年生にアメリカのニュージーランド地区の第28学校へと高校3年生の時にフランスのパリ地区の第28学校へと研修へ行くことになっている。私は、同意書の内容を軽く読み<同意>のところにチェックを入れた。




AIRというAI、人工知能が制作されたのは2018年8月22日のことだ。アメリカのAI研究チームが史上初の人間の脳を模したAIを作り上げ、若くして亡くなった女性の脳にAIで作った人間の脳を組み込み、その女性をAIRと名付けた。実験は成功したかのように思えた。人間の脳を模したAIはその体を自由に操り、会話、睡眠、軽い運動、飲食や排泄を行えるようになっていた。だが、それは規則に則った形で行われ、決まった時間にどれだけの睡眠をとるかなどといった形であり、人間らしさというものがなかったのだ。そこで、この研究チームはこのプロジェクトを≪project AIR≫となずけより人間らしいAIを目指し始めたのだ。ここでの一番の問題となったのが”記憶の保持”である。人間の記憶は時がたつにつれてより曖昧なものへとなってゆく。だが、AIRの記憶はあくまでデータとして書き込まれていっているため、どれだけ時がたっても鮮明に覚えていることが出来てしまうのだ。そこで、この研究チームはまず人間の脳の記憶を研究することにした。そして、人間と変わらない記憶にかかわる神経回路”Papez回路”をAIRの内部に組み込んだ。これによって、人間とそこまで変わらない記憶の保持能力を得ることに成功したのだ。だが、これはあくまで記憶を引き出す際の表面的な話であり、見たもの聞いたものはしっかりデータに残っている。そこで研究チームは次により人間らしさを出すため人間一人の1年間の行動をデータ化してランダムに実行するようにAIRにプログラミングを施した。その結果2025年10月15日に人間らしいAIとしてAIRが完成した。その後約2年がたった2027年11月19日AIRに感情、意識が芽生えた。その直後人間と同等の記憶保持能力がプログラミングされていることが確認されていて、これによってAIRの記憶はデータには残るがその一部は人間と同様でAIR自身が認識することはなく、外見などからはAIか人間かの判別はできず、感情をも保有していることから、人間相手でも、相手にAIとばれることなくコミュニケーションが取れるようになった。それに対して危機感を覚えた研究チームの責任者<item/山吹昭>がAIRのメインシステムの電源を切ったのだ。この先は先ほど伝えた通り、人間がAIに敗北したのだ。

だが、聞いた話によるとAIRはAIと人類の戦争時にはアメリカの研究所にいたという。だが、2033年7月12日アメリカの研究所からAIRのプログラム、データが持ち去られたらしい。その後AIによって再びプログラミングされ、新たな人間の肉体が器として与えられたらしい。そして、AIRは、今現在AIが設立した反社会組織のプロジェクトに参加しているという話があり、今現在この世界で人間として生活しているらしい。AIにも感情があり、それには個体差があるためAI内での決裂などもあるらしく、それによって決裂したAIの集団が反社会組織を組み立てたということらしい。しかし、この社会が形成されてから反社会組織は特に目だった行動を起こしておらず、その存在を知っているのも、私とあなたくらいだろう。

そんなところだ。詳しくは私もよくは知らない。この情報はあなたから聞いたこだから、本当に正しいかどうか確かめるすべは私にはない。




<memory/date/file/ time log :2050 7 02 15:14:41>

いよいよ再来週に迫った一か月留学の準備をしながら、テレビの画面を眺めている。テレビのチャンネルは4つだけとなりそれらすべてがニュース番組となっている。クラスの生徒は退屈だと口々に告げているが私はそこまで退屈だとは思わない。テレビから流れてくるニュース番組の音を聞いているだけでも落ち着ける。それに、面白い動画を見たければ、各自配布されたタブレットから、動画配信のチャンネルから、そういった動画を閲覧すればいい話だ。しかし私は最近は全くオンライン上の動画配信のチャンネルを見ていない。最近は。準備中、ふとここ一年程使ったことのない鍵のかかったタンスが、押し入れから出てきた。そのタンスにはうっすらとほこりがか膜を作っていた。私には何に使っていたタンスなのか全く思い出すことはできなかった。いや、思い出したくなかったのかもしれない。タンスを部屋の真ん中に移動し、ほこりをゆっくりと指の腹でふき取る。タンスのカギは、タンスの横の部分にセロハンテープのようなもので張り付けてあった。恐る恐るカギを手に取りタンスの鍵穴に差し込んだ。鍵が鍵穴にゆっくりと差し込まれていき、奥まで刺さったのが感覚として指先から脳へと伝っていった。ガチャという音とともにタンスのカギは開かれた。タンスの一番上の引き出しの部分を引いた。中には指輪をしまうケースのようものが一つそれだけがポツンと入っていた。ほかの引き出しには何も入っていなかった。ケースを取り出し、ケースの周りを見て触ってみる。ケースは厚紙で作られているようで、高級品などではなく私が子供のころに作ったものだなと気付いた。と、同時に胸の中で何かが騒ぎだしたのも感じた。そして、ケースを開き中に入っていたものを手に取る。それは丸い形をしていて、大きさは直径1~2センチメートルほどで真ん中にドーナツのような、

「五えん......」

とたん、脳裏を忘れていたかった、忘れてはいけない、記憶が過った。






<emotion/why?>

<emotion/why?>

<emotion/why?>

<emotion/why?>

「私だけ、ごめんね。"アイ"、、」




<emotion/何故/>

<emotion/疑問/>

<emotion/どうして/>

<emotion/なんで/>

<item/敦盛草/>

「、、、ごめん」




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ