図画も季節も移ろって
翌月になり、父と川に向かう。
靴と靴下を脱いで浅瀬に足を入れるユミナ。
「ポーチ持ってきたから、この中に入れておくね」
父は水遊びをするユミナの近くで靴と靴下をポーチに入れる。
「妖精さんの世界に行ったら、裸足で歩くことになるからね」
「そっか。ありがとうお父さん」
「タオルも入れておくから、しっかりと拭くんだよ」
「はーい」
父と会話していると、霧が発生した。
「こんにちは、ユミナさん」
ユミナが足を拭き、リボンのついた縞々の靴下をはいていると声がした。
「こんにちは、プーカロウさん。本当に川からでも来れるのね」
「言ったでしょ。入り口はいろいろあるって」
「今日も絵を描いてきたよ」
「今回は僕も描いたよ」
お互いに笑いあい、ユミナとプーカロウは絵を交換し合う。
季節は巡り、夏になる。
ポーチがリュックに代わり、中にはバスタオルとラップタオルが入っていた。
プーカロウに空に浮かせてもらい、妖精の世界の川辺で遊ぶ。
光を反射してきらめく川を見て、ユミナも瞳をきらめかせた。
季節は巡り、秋になる。
木々は赤く染まり、花畑にはコスモスが咲く。
「夏休みにお祭りいったんだ。浴衣ってのを着てね。クラスの子と遊んできたよ」
「いいですねえ。今度、僕たちもお祭りやるけど、来る?」
「行く行く!妖精さんってどんなお祭りやるのか興味ある!」
季節は廻り、冬になる。
川辺にもハイキングコースにも雪が降り積もる。
「雪合戦だー!」
「かまくらも雪だるまも良いよ。せっかくだしいろいろ作ってみようよ」
プーカロウといっしょに雪でウサギを作るユミナ。
雪ウサギができあがると、ユミナはプーカロウと一緒の絵を描く。
季節は巡り春となる。
そしてまた、夏に秋に冬へと変わっていく。
巡る季節の中で、ユミナは少しずつ大きくなる。
めぐり変わっていく季節の中で、ユミナはまた城を訪れる。
「絵、だいぶ変わったね」
帽子と頭と耳と胴体と手足が描かれた絵をみて、プーカロウは質問する。
「毎日絵日記書き続けてるからね」
ユミナは絵を差し出し、プーカロウと会話する。
「前に描いたのも見てみる?」
プーカロウはお城の人を呼ぶ。
お城の人は以前渡した絵を持ってきてくれた。
「あはは。王様の絵なんて目とお鬚だけだよ」
自分の描いた絵を見てユミナは懐かしさがこみあげてくる。
「プーカロウに会った時から書いてる絵日記も、ずいぶんたまったんだよ」
「なつかしいね。僕にはつい昨日のように思えるよ」
ユミナはプーカロウからはちみつ水を受け取り、昔話に花を咲かせた。