プーカロウの示す道
「今いる場所はね、妖精の世界の人間の住む世界の境目なんだ」
プーカロウは宙を浮きながら、ユミナに向き合って話す。
「ユミナちゃんはここに迷い込んじゃったわけなのさ」
「どうして私だけ?お母さんもこればよかったのに」
ユミナは自分より大きい草をかき分け、歩く。
「ここに来れるのは、子供だけなのさ」
プーカロウは少し高さを上げ、ユミナの歩く方角を見つめる。
「入り口が小さいから?それとも私に特別な力があるから?」
舞い降りて、ユミナの近くに浮かぶプーカロウに質問する。
「どうだろう?僕たちは人間の子供が来たら、出口まで案内する約束があるから」
プーカロウはあれこれと話し出すユミナの質問を聞き流して答える。
「誰と約束したの?」
「王様と」
「どこにいるの?」
「お城」
「私も会えるかな?」
「どうかな、会いたいなら案内するよ」
プーカロウはいったん言葉を区切って、またユミナに話す。
「お母さんとどっちに会いたいのかな?」
ユミナはプーカロウの言葉を聞いて、手と足をとめて考え込む。
「うーん。お城にも行ってみたいしお母さんに会いたいし」
プーカロウも止まる。
宙に浮いたまま止まっている姿を、光が照らす。
草むらに舞い降り、ユミナと目線を合わせるプーカロウ。
「どうする?」
「とりあえずお母さんに会う。そのあと決める」
プーカロウの言葉に父の面影を見て、ユミナは決める。
「わかった。なら、こっちだね」
また宙に舞い上がるプーカロウ。
プーカロウが飛ぶ方向へ、ユミナは草むらを歩く。
しばらく進むと、空に白い雲が出てきた。
草の緑と空の青、白い雲の三つの色が混ざり合う。
「わっ」
ユミナが風景を眺めながら歩いていると、石につまずき、転びかける。
「上ばかり見ていると転ぶよ」
「はーい」
プーカロウにユミナは返事をして、また歩きだす。
「急にでこぼこしてきた気が……」
足元を注意して歩くユミナ。
「人間の世界に近いってことさ」
楽しそうに話すプーカロウ。
かき分けている背の高い草の先に、黄色い花が咲いている。
その花を照らす太陽。
「そろそろ草むらを抜けるから。あともうひと踏ん張りだよ」
「ありがとう、プーカロウさん」