話し合って決めましょう
(前みたいに話してよ。楽しかったときみたいに)
自分が客ととして扱われてる雰囲気を何とか変えたいのか、ユミナは考え込む。
「………………」
静寂が訪れる。
「……両方選んでも良いかな」
長い静寂の果て、ユミナは口を開く。
「どれかひとつを選んで学んで、また選ぶ。それの繰り返しですよ」
プーカロウがユミナにやさしく答える。
「大人になるっていうのはそういうことで――」
「わかってる」
プーカロウがすべてを話し終えるより先に、ユミナは答える。
「でも私はプーカロウにもっと会いたい!お父さんやお母さんヤスタカ君も!」
「そりゃ僕だって会いたいさ!会えるものなら!」
ユミナは思いの丈に、プーカロウも応える。
「なんなんだよ!せっかく気持ちを整理させたってのに!」
「落ち着きましょうか。ほら、水でも飲んで」
王様は空になったコップにはちみつ水を注いで説明する。
「『妖精の世界に来れるのは子どもだけ』、これは絶対です」
王様がユミナとプーカロウを割って入る。
「でも!」
「私たちと過ごす時間を、家族やお友達にあててください」
なおも食い下がろうとするユミナの目を見て、王様は諭すように話しかける。
「私もプーカロウも、ユミナさんがそうなってくれることを望んでいますよ」
「それでも私は、プーカロウと逢いたいです!」
「なら、ずっとここにいますか?」
「家にも帰りたいです」
「どちらかを選んでください」
「もっと選ばせてください!」
ユミナは王様に言い返す。
「選ぶ、とは?」
王様がユミナに尋ねる。真意を探るかのように。
「ほかの道だってあるはずよ!ちゃんと話し合おうよ!」
「例えば、どんな?」
王様がさらに深く質問する。
「えーとえーと……妖精の世界は子どもだけって言うなら、草むらはどうなの?」
「あー、通り道の。あいまいな場所ですよね、あそこ」
「あそこだけでも入れたら、すごくうれしいの」
「確かに。でも僕たちの仕事増えませんか、それ」
「私は逢いたいだけ。お父さんもお母さんもヤスタカ君もそれを望んでるはずよ」
「わかりました。少し考えてみましょう」
静かに意見交換の様子を見ていた王様は、一言だけ告げて部屋を去っていく。
「ほかの妖精にも声をかけておくよ」
「うん。お願いね。また逢おうね」
「ただ、うまくいくかどうかは王様次第だからね。覚悟はしといて」
霧が出てきた部屋の中で、ユミナとプーカロウは約束を交わす。
「あと、はちみつの水にレモン入れるとおいしくなるよ!試してみてね!」
白くかすんでいく中、プーカロウの姿が消える直前に、ユミナは大声で叫んだ。




