思いを踏みしめ進む先
ユミナは失意のまま家に帰る。
(手に入ったのはヤスタカ君からもらったこれだけか……)
もらった毛玉の入った袋を見つめるユミナ。
「そうだ!」
ただいまを言って玄関を開けるとユミナは部屋に直行し、宝物入れを探す。
「あった!」
プーカロウから受け取った絵を手にするユミナ。
そのまま階段を降り、リビングにいる父と母に声をかけた。
「やっぱりお父さんとお母さんも大切にしていたんだね」
父と母から妖精さんとの思い出を借りるユミナ。
(物を大切にしていると、精霊が宿るっていうし)
ユミナは庭に出て、ときを待つ。
父と母が手入れをしている季節の花が咲き、緑の多い庭で、待ち続ける。
「来た!」
庭に霧が立ち込める。
ユミナはその中に一歩踏み込むと、霧の中に落ちていく。
「ユミナさん?」
吸い込まれるようにクッションへと落下したユミナは、懐かしい声を聞いた。
「プーカロウ!」
涙を浮かべ、ユミナは名を呼ぶ。
「よかった、また逢えた!逢いたかったよプーカロウ!」
「僕もですよ。でもどうやってここに」
「みんなの力を借りたの」
ユミナは道具を見せ、事情を説明する。
「そうだったんですか……」
「ねえ、プーカロウ。久しぶりなのになんでそんなによそよそしいの」
かしこまった口調で話すプーカロウに、ユミナは疑問を投げかける。
「あー、それはですね……」
プーカロウはしどろもどろになる。明らかに視線が泳いでいる。
「誰か来ているのかね、プーカロウ」
「王様!」
ユミナが声に振り向くと、妖精の王が姿を見せる。
それと同時に今いる場所がお城の中と、ユミナは気づいた。
「おやユミナさん。お久しぶりです」
「お久しぶりです。王様さん」
「王様だけで良いですよ」
あごひげを手をあて、王様は微笑みながら、話す。
別室に移動し、コップが三人分出される。
ユミナはこれまでの話を王様とプーカロウに話す。
「なるほど。『妖精の世界に入れるのは子供だけ』ですか」
「急すぎたから、びっくりしたよ。せっかく賞とったのに」
ユミナは安心した様子ではちみつ水を飲む。
「それで、ユミナさんはどうするの?」
プーカロウが話しかけた。
「どうするって?」
「ここにいるか、帰るかですよ」
プーカロウの言葉にユミナは戸惑う。
「決めるのはユミナさんですから」
どこか他人行儀に話すプーカロウを、ユミナはいぶかしむ。




