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霧をさまよい、得たものは

 翌朝、ユミナはサンドイッチをお弁当箱に詰める。

 スポーツドリンクが入る水筒に、はちみつ水を注ぐ。

 それらをスケッチブックと筆記用具が入ったリュックに入れ、ユミナは出発した。


 ユミナは目的地に着くと自転車を止め、ヘルメットをかごに入れる。

 リュックを背負いなおし、帽子をかぶって、ハイキングコースへと向かう。


「プーカロウ、いる?」

 ユミナは何度も名前を呼ぶ。

 帰ってくるのは風の声と草木の揺れる音だけだった。

 たまに霧が立ち込めても、ユミナはその中を歩く。

「プーカロウ?」

 何度も何度も名前を呼ぶ。

 霧が晴れ、また霧に包まれる。

 ユミナは夢中で白の世界を歩き回る。

「わっ!」

 急に足元が崩れ、ユミナは道から落ちていく。

(服が汚れちゃう、膝とか肘すりむくのかな、プーカロウが押したのかな)

 いろんな思いがユミナの頭の中を駆け巡る。


 ユミナは後ろに引っ張られる力を感じた。

 道から落下しかけた足が、地面を踏みしめる。

「プーカロウ!」

 ユミナが顔を上げて名前を呼ぶと、そこには男の子がいた。


「助けてくれてありがとう、確か転校生の……」

「ヤスタカって言います。弓矢の矢に必須の須、動物の鷹で」

「私はユミナ。柚子の柚に光、奈良県の奈でユミナ」

 ユミナとヤスタカは互いに名前を教えあう。


「そっか。ユミナさんも妖精さんを探していたんだ」

「ヤスタカ君も?」

「うん。探してるのはニャットシーって言う怪盗の格好をした猫なんだ」

 ヤスタカは口で特徴を説明する。

「こんな感じ?」

 スケッチブックにイラストを描くユミナ。

「仮面みたいな眼鏡をしていてね、服はコートにネクタイで……」

 ユミナは再度スケッチブックに絵を描く。

「似てる!」

「よかった。助けてくれたお礼よ。何かに役立てて」

「ありがとうユミナさん。お礼に妖精探し手伝うよ、どんな姿なんだい?」

「私が探してるのは、プーカロウって妖精さんでね……」

 ユミナは三度イラストを描く。

「わかった。見かけたら、ここか学校で教えるね」

 ヤスタカは絵を受け取ると、クリアファイルに入れカバンに入れる。

「そうだ。これ、役に立つかも」

 ヤスタカはカバンから毛玉のようなものが入った透明な袋を差し出す。

「ニャットシーの毛なんだ。前にブラッシングした時にもらってね」

「ありがとう、ヤスタカ君」

 ユミナはお礼を言って受け取り、ヤスタカと手分けして妖精を探す。

 日記に記載されていたプーカロウと出会った場所を一つひとつ当たっていく。


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