学生改めカリバニスト2
※この文章には人によってはグロテスクで不快感を催す内容が含まれます。
連れられた警察署で当時の情報を話を説明し、私は帰路に立った。
任意同行は特に問題なく終わったが、問題が有るとすれば助けた少女を預かる事に成った事だ。
本来であれば警察に預けたかったのだが、何故か預かる事に成った。
普通に考えれば成人男性の家に女児を預けるなんてことはあり得ないのだが・・・
日本の警察は信頼しているが、流石にこれあってはならないはずだ。
この街の警察に対する認識を改めなければならないかもしれない。
よく考えてみれば自己紹介すらしていない事に気が付いた。
「そういえばまだ名乗っていなかったね、私は浅上祐樹だよ。所で君の名前だけでも教えてくれないかな」
「ロナだよお父さん。」
少女はこちらを向き頷くと、グッとサムズアップした。
きっとジャッキーをリスペクトしているのだろう。
やっと少女とまともに会話が出来た気がする。
そして私はお父さんではない。
そんなことをしているとマンションに着いた。
RC構造でオートロックと監視カメラがエントランスに設置された建物である。
なにより鍵がディンプルキーの2重ロックで安心だ。
扉を開けるときれいにまとまった部屋に着いた。
「ただいま」と言うがいつもの通り返事はない。
扉を開け部屋に入ると足元からグルグルと音が聞こえた。
何かと思い下を見ると、少女がお腹を抑えている。
そこで昼過ぎから色々あった事も有り、まだ食事を取って居ない事を思い出した。
大人の私も腹が減っているのだ、大人が辛いのであれば更に代謝の高い成長期の子供はもっと辛いだろう。
仮にも人様から預かっているお子さんである。
可能な限り快適な環境を整えなければ行けない。
「食事にしようロナちゃんは何か食べたいものはあるかい?」
そう聞くと少女は一言答えた
「肉が良い。」
どうやら肉をご所望の様だ。
成長期の子供にだ沢山準備してあげよう。
丁度良い所に冷蔵庫には先日貰って来た肉が山ほどある。
今日食べようと思ってかなり多めに解凍してしまっていたところだ。
実は一人では多いと思っていたところで、少女も減らすのに手伝ってくれくれるなら願ったりかなったりだ。
「なら今日は肉だね、準備するから風呂入ってきな。」
少女は両手でガッツポーズとをっていた。
そう言って着替え用に私のスウェットを渡すと少女は頷いた。
大きすぎるかもしれないが同じものを着るよりかましだろう。
少女はパタパタと風呂に走って行った。
さて、少女が風呂に入っている間に食事を作ろう。
冷蔵庫を確認すると、奇麗に切り分けられた人肉が入っている。
昨日からキッチンペーパーに巻いてチルドに入れていたので奇麗に解凍されていた。
さて、下準備をしている間にこの肉をどうしたのか紹介しよう。
この肉をばらしたのはつい先日だ。
私は実家で人間の処分屋をやっている。
私の実家は反社会的な活動をしており定期的に不要な人間の処分を行うのが私の仕事だ。
処分した肉の良い所は私がもらって帰る事に成っている。
趣味は料理なので肉の処分に困らないのもとてもいい。
量からして大き目の料理になるのが問題だが、ジビエと言う事で近所の人に配っている。
特に豚汁や筑前煮は非常に評判がいい、ご近所さんの評価も勝手に良くなるからおすすめである。
さて、今日調理した肉は田上先輩の元彼氏だ、彼は借金の返済で首が回らなくなったので処分した。
彼はつい先日まで数カ月ほどベーリング海でカニ漁船に乗ってもらっていた。
帰ってきたのは良い物の、使い物にならないカスだったのでそのまま殺処分した。
年間10万人の行方不明者の一人となってもらったが、親戚どころか両親からも煙たがられていたので問題ないだろう。
そんな彼も、調理をすればきっとおいしい料理として私たちを幸せにしてくれるだろう。
合わせて今日の献立は中華だ、中華はさっとできるのでお勧めである。
まず一品目は細切りにしてピーマンと炒めればチンジャオロースの完成である。
硬い肉や筋張った肉、安い肉を調理するなら一番の調理法だ。
下準備の段階で塩コショウと山椒をしみこませておくのがコツである。
解凍された肉を軽く洗い手慣れた手つきで調理をすると、風呂から上がった少女が覗き込んでいる。
生肉から滴るドリップの臭いに誘われたようだ。
鼻の奥をツンと刺す匂いに誘われるのは仕方が無いだろう。
水を切る為にキッチンペーパーに肉を並べていると、横から小さな手が出てきた。
「調理するなんてもったいない。そのまま食べる。」
そう言って少女は生肉を食べ始めた。
肉を生で頬張るとは非常に前途有望な少女だ、調理という工程を一切含まないそのままの味にこだわりがあるのも理解できる。
確かに少女が言うように素材そのままを楽しむのは重要だ、調理において素材の味を引き出すためにもそのままの味を知っておくのは基本である。
だが、今回少女は客人であり私はホスト、そして調理を行う人間、調理と言う工程にプライドを持っている。
「少し待つんだ、料理が出来るまで待つんだ。」
そう伝えたが、少女の手は止まらない。
獲物を狙う狩人の目で生肉を見つめている。
少女の意志は硬く曲がらない、きっと素材そのものの味を楽しむつもりだ。
否、生肉の味に満足してしまっている。
この一つの強い意志を貫き通す姿勢にはリスペクトを隠せない。
そこで彼女の強い意志を尊重する代案を考えた。
「冷蔵庫にとっておきがある。君にはそれを渡そう。」
そう伝え、冷蔵庫に向かう。
少女はごくりと音を立て咀嚼していた生肉を飲み込んだ。
冷蔵庫の中から取り出したとっておきを見た彼女は目を見開いた。
「ハツとブレンズ・・・希少部位だ、下処理も終わっている。
刺身でも行ける逸品だ。」
心臓と脳である。
この二つは洗った後に流水にさらして下処理は完璧である。
中々見る機会もないレアな部位に少女は興味津々だ。
「ありがとう!!」
予想外の伏兵に少女は満足のご様子である。
ぴょんぴょん跳ねて喜ぶ姿は年相応に可愛らしい。
「大丈夫だ、調理はしない。これは素材本来の味を楽しんでくれ。」
肉を渡し頭をなでると少女はコクコクと頷きテーブルに向かった。
子供は苦手だが存外かわいいじゃないか。
私は調理の続きを始めた。
2品目は薄切りにして塩を振りかけた肉を熱い鍋に入れる。
肉がしっかりと反るまで強火で炒め、野菜とXO醤そして軽く潰した山椒を投入。
野菜に火を通せば回鍋肉の出来上がりである。
ポイントは最大火力で短時間で短時間で仕上げる事だ
ハツとブレンズに夢中だった少女も香ばしい匂いに誘われてやってきた。
これが中国3000年の歴史の力である。
「さぁごはんにしようか。」
少女は味わって食べているが、非常に将来有望な人材である。
普通であれば吐き気を催すような食材に対しても普通に接するのは中々のメンタルと言えるだろう。
耐性のない一般的な人間であれば、
人間ではなく牛の枝肉を見ただけでも食事が喉を通らなくなるというのに。
「君は凄いな。こんな料理を見ても驚かないなんて」
無意識のうちにつぶやいてしまった。
「いつも食べているから」
予想外の回答だ、この広い世界で同好の志が出会うとは数奇なものだ。
しかし、幼子にして奇抜な嗜好をしている。
少女の保護者とは仲良くなれそうだが、彼女は私同様今後の人生は日の本を歩くことはかなわないだろう。
「20代男性、少し筋張っている。」
食材の良し悪しまで見抜いた。
この少女効き人肉が出来るとは経験も豊富そうである。
食事を楽しんでいるところ悪いが今後の事も有る。
彼女に様々な事を聞いてみる事にした。
「君はなぜあんな所にいたんだい?」
「呼ばれたから」
「誰にだい?」
「分からない」
何も分からない事だけはきっちりとわかった。
せめて家の場所、もしくは住んでいる地域だけでも分からないだろうか。
「君はどこから来たんだい?」
「宇宙」
どうやら電波ちゃんなのかもしれない。
まだ10歳前後であろうに食人の電波系とは前世で何をやらかしたのだろうか。
「君の保護者は?」
「お父さん。」
そう言われても私には子供も居なければ彼女すらいない。
ここまでで分かったのが名前だけなのが非常に困ったものだ。
ロナという名前も本当かどうかは分からない、つまり何も分からない事が分かった。
食事を続けながら話をしていると、インターホンが鳴る。
モニターを確認すると女性が映って居た。
ハンニバルライジング的な不快感を目指しました
今後このような不快な内容が出てくると思いますがご了承ください
次回は来週日曜までには投稿します