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研究員VSカリバニストVS宇宙人  作者: 山田太郎
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スパイ2

監視してたら凄い物を見てしまった。

正直な話物凄くかかわりたくない。

私は天啓的な民間潜入型のスパイだ、世界をかけた戦いや悪の組織との対決はスパイでジェームズ・ボンドやイーサン・ハントにお任せしたい。

映像を見ればわかるが、経験豊な研究者が非常停止ボタンも押さずに固まっている。

視線を一点に集めて驚きの表情で固まっている時点で何か起こったと考えるべきだろう。

例えば信じられない何かが目の前に現れたなり、何か理由があって動けないなりの問題だ。

でなければ、普通に考えれば一人くらいは非常停止ボタンに走るはずである。

オカルトの類は信じていないが、関わるのはごめんだ。

見えない敵なんて戦いよう所か逃げようもない。

しかし、想定が出来れないレベルの事故だ、設置していた機材のことごとくが燃えて駄目になってしまった。

幸運だったのは私自身が現場で経過観察をしていなかった事だろう。

日本人の中に外国人が混ざると目立ってしまうだろう。

そう考えて見学を誘われたが控えていて正解だったようだ。

あの青年を通して事前に情報を確認し、入念な下見が出来たのは良かった。

全てを記録するために建物中にカメラを仕込ん打開があったと言う物だ。

現場で観察を行って居たら私も巻き込まれていたかもしれないと考えると恐ろしい話だ。

これが無ければ私が現場で記録を取らなければ行けなかったのだから。

しかし、何故あの実験が失敗したのかは本当に不思議だった。

記録した映像を見る限り、瞬間的に大きな熱エネルギーが建物内部を全て舐めまわした様に見える。

事前に貰った資料や、現場観察の限り建物内には爆発物や可燃物は無ったはずだ。

スパークによる着火を警戒してか可燃性ガス所かアルコールの類すらなかったほどである。

それらの対策を施された現場で行われた実験、爆発が起こった原因がつかめない。

更に不思議なのは実験は上手く行っていたと言う事だ。

正直な話実験の序盤は大成功と言って差し支えのない物だった。

マーフィーの法則を前提条件として行われた下準備は十分過ぎるほどで、想定されるリスクをすべて排除されたシュミレーションは完璧と言っていい物だった。

私の手元にもフローチャートとして記載されたリスクヘッジの資料を持っているが、これはわが国の産業でも手本にしたいほどである。

また、液化ヘリウム3を用いて極低温まで冷却する手順は見事なものだった。

水素化合物超伝導体の冷却では今までの記録を塗り替える温度まで下げていたのは驚きだ。

扱いにくい液化ヘリウム4に比べてさらに沸点と融点の値がシビアな触媒の制御はまさに職人技である。

最初に事故の件を聞いた時に液化ヘリウムの正気爆発が原因だと考えた。

ヘリウムは気化により体積が700倍に膨れ上がり、密閉された容器の中で高圧になった蒸気は容器を破壊して爆発するというものだが、確認した資料や動画から察するにこれは原因ではないだろう。

実験装置はきちんと整備されており破裂弁も準備されているのは確認している。

なお、実験装置の図面はもらっているのでわが国で活用される事に成るだろう。

本当に貰ってよかったんだろうか。

だがしかし、電流を流した際に異常が発生した。

実験を行った結果として「それ」としか形容が出来ない何かが発生したからだ。

専門ではないが、カメラに映った研究者たちの焦る姿を見る限り、突発的な出来事だったように感じた。

「それ」と形容される何かはカメラに写っておらず推測での話になるが、火災を起こした何かだと思われる。

カメラで見る限りカスレた何かにしか見えず、どの角度から見てもカメラの映像では確認できない。

しかし、「それ」は見た者が目を離せなくなる何かであることは想定できる。

カメラ越しに見ても根源的な恐怖と狂気を訴えてくるから恐ろしい。

動画を確認するだけで破壊的な衝動と自傷的な感情が湧き上がってくる。

頭の中をザラザラとした何かがはい回るせん妄が見える。

これ以上見てはいけない、私まで狂気に支配されてしまいそうだ。

動画から他にわかる事は「それ」は爆発する何かで、発生した折に建物内のほぼすべてのカメラがホワイトアウトし破損した。

生き残ったカメラや建物外のカメラで確認した所、見える範囲の人間は黒焦げになっていた。

感電による電撃症の可能性も有るが、建物内の表面溶解を見るに熱によるものだろうと想定が出来た。

何が起こったのかは想定でしかないが、仮に現場に行っていたら私は間違えなく死んでいただろう。

俄かには信じられない話だが、このまま報告するほかにない。

十分過ぎるほどの画像と映像のデータだけでなく、研究室で行われていた会話の音声データも有る。

何なら学生のレポートの写しには部外秘であろう実験の経過まで残っている。

これらの資料から実験を再度行っても、何かしらの事故以外の再現をできるだろう充実っぷりだ。

記録を添付し、ありのままの報告を行うしかないだろうし仕方が無い。

これほどないまでに豪華な内容だが、ほとんど学生がくれたものを再確認しただけである。

資料としての動画データや写真を添付、メールで送信した。

後味の悪い仕事だがこれで終わりのはずだ。

この仕事が終わったら本国に帰って休暇が待っている。

実験の動画を見てから不安がぬぐえない、何かよく分からないが此処は非常に危険な気がする。

あの事件は普通の事件ではない大きな何かが絡んでいる。

それは人の力が及ぶものではない狂気的な何かだ。

そう思っていたが、数分後に上司からの返信があった。

普段は数日後に返信が来るはずだが、なぜこんなに早いのだろうか。

私は不安を隠しきれない震える指でメールを開いた。

さメールの内容は非常に理解しがたいものが書かれていた。

『レポートは確認した。今後も監視と記録を行いたまえ。』

シンプルイズベストを地で行くかのようなメールである。

私の送ったレポートは多岐にわたり、資料の確認だけでも時間がかかるはずである。

これは私はこの国に左遷されたのかもしれない。

それか上司は本当は全て知っているのかもしれない。

確立としては前者の方が高いだろう。

冷静に考えれば今回の仕事は息抜きの様なものであった。

研究室の青年を篭絡して情報を流してもらうだけだったのだから。

しかし、何を言われようと上に逆らえないのは雇われ美との辛い所である。

この命令は残念ながら続行しなければならない。

今回の事故を参考にしなければ、今後はより注意して観測を進めるべきであろう。

私が死んでしまっては元も子もないのだから。

さて、まずは残ったカメラの映像のチェックをしなければ、何か情報があればそこから新たな情報が手に入るかもしれない。

倍速で映像の確認をするとすぐに情報を手に入れる事が出来た。

事故の後に建物から生きて出てきた人間は3人だけだ。

つまり生存者はスグに判明した。

今後接触すべき対象は救助された子供と救助に入った青年、そして救急車で運ばれた半死体。

今回の事件からの3人の生存者は全員病院に運ばれたようだ。

よく見てみると青年は私の仕事の関係者だった。

日本での協力組織の構成員の一人だ、可能であれば関わりたくないタイプの胸糞の悪い人間だったというのははっきりと覚えている。

住所が以前の通りなら今日中にコンタクトが取れるだろう。

来週日曜までには更新します

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