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研究員VSカリバニストVS宇宙人  作者: 山田太郎
12/27

研究員4

私の心配に反して退院の手続きはあっさりと終わった。

生れてこの方入院も初めてだったので貴重な体験だったが、いくら三割負担とはいえ入院費は安くはない。

いや、今回の場合高額医療保障がかかるから3割以上なのかもしれない。

財布が焼け付く前に退院できたことを幸運に思わなければ。

内容としては確認として簡単な検査を受けただけですんなりと終わった。

何より1時間もかからずに病院から解放され驚いた。

私としても大助かりである。

大きな病院程手続きの時間がかかり一日がかりのイメージだったが、きっと今日は老人の診察が少なかったのだろう。

私は私物の荷物を受け取り、医者や看護師に礼を言い病院を後にした。

組織対策課の人間が訪れた事も有り、出待ちの警察を心配したが居ないようである。

とは言っても私服であるなら判断方法は無いのでどうしようもないのだが。

幸い私物の入ったカバンは更衣室のロッカーに入れており、殆どの荷物は助かっていた。

携帯や財布が無事だったのは非常に助かる。

現代人から通信手段と財布を取ったら何も残らない。

最悪財布さえあればどうにでもなるが、想像以上に苦労する事に成るだろう。

逆に言えば財布と携帯が有れば割とどうにでもなる。

文明の利器と資本主義に感謝しなければ。

さて、まずは現在位置を調べなければ、そう思い地図アプリを開いた。

スグに私の位置情報が確認できる。

ここ10年ほどで本当にべんりになったものだ、今いる場所は私の家から車で30分ほどの場所にあった。

こんな場所から歩いて帰るのは流石に遠慮したい。

文明の利器への感謝も早々さっそく助けを呼ぶ事にしよう。

私は端末を操作し、唯一生きている親交のある先輩に電話をかけた。

数コール後に返事が返ってきた。

「はろう、田上です。」

帰ってきた返事は相変わらず変な人だった。

多分この人はずっと変わらないのだろう。

「先輩お忙しいところ申し訳ありません。唐澤です。」

「生きとったんか、よかったな!!電話切ってええか!!」

相変わらず無茶苦茶である。

しかし、実家の様な安心感だ。

「相変わらず軽いですね、今退院したばかりですよ。」

「元気に電話かけてきてるんだから大丈夫やろ、で何の用や、もしかして迎えにこいてや?」

「流石です先輩、お願いできませんか?」

「位置情報おくりな、晩飯くらい奢れよ。」

「ありがとうございます。」

変人だが相変わらず面倒見のいい先輩だ、感謝しなければ。

電話を切り、田上先輩を待っている間に昨日の出来事を調べた。

私の予想していた以上に状況は悪いようだ。

今の所生存者は私を含め2名しかいないようである。

どの様な状況だったかは知らないが、私を助けてくれた浅上さんには頭が上がらない。

30分ほどすると2020年モデルのシボレー・カマロコンパーチブルが到着した。

私の前に止まったカマロはお世辞にも堅気とは思えない車だった。

腹の底に響く様な6.2LV8エンジン音は病院に不釣り合いもいい所である。

ホイールから内装まで含めて全てを真っ黒な塗装されたデザインは並々ならぬこだわりを感じさせる。

キャデラックから続くアメリカ車の魂を感じさせるエグゾーストが待機を震わせた。

V8エンジンがフランス生まれなのは置いておこう。

大切なのは事実ではなく魂だ。

この車もV8インターセプターをインスパイアしてカスタムされているが、MADMAXがオーストラリアの映画なのは秘密である

問題と言えばファーストコンタクトとしてイメージが悪すぎることくらいだ。

電動コンパーチブル仕様のハードトップが開き先輩が顔を出した。

オープンカー状態のカマロから先輩が手をあげ挨拶をする。

「ヘイ乗りなキッズ!!」

「ありがとうございます先輩。」

「家で良いだろう?」

カマロに乗り込むと返事を聞かずにすぐに出発した。

相変わらず自由な先輩だ、だが話が早くて助かる。

「相変わらずイカした車ですね!!」

「V8インターセプター仕様のカマロなんか私しか乗らないだろうしな!!」

「これもう別物ですよ、見てわかる人はいないんじゃないですか?」

「細かい事は気にするな、魂が大切なんだよ魂が!!」

よく分からないが魂が大切なようだ、とりあえず納得しておこう。

「しっかし、助かったのがお前だとは知らなかったよ、警察と消防に連絡したの私だぜ。」

「先輩が呼んでくれたんですか、おかげで命拾いしました。」

「助けたのは浅上だけどな、ちゃんと礼くらい言っとけよ。」

そういえば組織対策課の保田も同じ事を言っていた。

どの様な件で調べていたのかは分からないが伝えたい話ではある。

社会的には正しくない行動なのかもしれないが、命を助けられた義理は返さなければ。

「先輩、浅上さんの連絡先を知ってますか?」

「モチのロンよ!!」

「もしよければ感謝の気持ちとして私と先輩と浅上さんで食事をしたいのですが、もちろん私持ちで。」

「OK,任せな。高い焼肉な。」

今晩の食事が決まった。

話が早い先輩は大好きだ。


日曜までには更新します

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