お姫様抱っこと博士と助手の話
「あれ?博士、いつもよりご飯の量少ないですか?」
僕と博士しかいない研究室では、今日は少し心配そうな僕の声が響く。
「どうしたんですか?体調でも悪いんですか?それとも、美味しくないですか?」
「うん?あ、いや、そういう訳じゃ全くないんだが……」
「?」
「……最近、ちょっと体重が増えてきちゃって、それで少し食べる量を減らそうかと。」
「ふむ、なるほど……、ちょっと、博士、立ってもらいますか?」
「あぁ、分かった?」
博士は少し首をかしげながら、その場に立つ。
「少し失礼します。よっと。」
そして、僕は博士のことを抱き上げる。
「えっ!?じょ、助手君、なにを!?」
「うーん、なんだ全然軽いじゃないですか、これぐらいなら全然大丈夫ですよ。」
「う、うむ、な、なるほど?」
「よし、それじゃあ、下ろしますね。」
「待って!まだ下ろさないで!」
「え?」
「も、もう少し、もう少しだけ君のお姫様抱っこを堪能させてくれ……」
博士は真っ赤な顔&ぐるぐる目でそんな事を言う。
「は、はぁ、分かりました。」
な、なんか意識したらこっちも恥ずかしくなってくるじゃないか……
「……ま、まだですか?」
「も、もう少しだけ。この幸せな時間を……」
「これだけで幸せと言われると中々ですが……」
そうして、僕はもう数分間、博士のことをお姫抱っこすることになった。
「も、もういいよ。あ、ありがとう。」
「いえいえ、こっちこそすいませんでした。」
そして、満足した様子の博士を下ろす。
「まぁ、博士はまだ全然軽いですから、しっかりご飯を食べてください。ただでさえ、ご飯を食べずにぶっ通しで実験をすることもあるんですからね。」
「うむ、分かった。これからは気にせずに君の料理を食べることにしよう。」
「うん、そうしてください。」
「よし!それじゃあ、早速、お代わり!」
「はい、ちょっと待っていてください。」
そうして、僕たちはいつも通りの食事をするのだった。
皆さんこんにちわ 御厨カイトです。
今回は「お姫様抱っこと博士と助手の話」を読んでいただきありがとうございます。
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