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事後処理
「それが、この骨の詳細ということですね?」
この世界にはあまり似合わないスーツ姿の、銀縁眼鏡の青年がそう言うと
「そうだ…」
と、あの神が答えた。きれいに整えられた短い黒髪を、ポリポリと掻きながら溜め息をつく。
「答えてくれてありがとうございました」
「お前の願いを叶えただけだ…」
「では、ついでにもう一つお願いします。村人たちの骨を集めて、お墓を作ってあげてください。墓碑もお願いします。出来れば13回忌まではちゃんと墓を手入れしてくださいね?」
「その願い、叶えよう…」
神は少女の骨を集めて、洞窟の外へと出ていった。
「やれやれ… まぁ、これでここは解決ですね。罔象女神とでも名付けましょう」
青年が外へと出ると、光が真上から差していた。細めの目を更に細める。
「必ず到達します。待っていてください」
青年はそう空に向かって呟き、再び歩き出した。
次の目的地は、まだ決まっていない。




