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異界神記  作者: さばみそ
大和
23/32

導きの鳥

「これは…」

電波塔の制御室、いくつものカメラや計器が円を描くように並んでいる。電力を通したことで再起動したのだろう。しかし、所々、故障で砂嵐や虹が架かっている。そして、部屋の中心には祭壇があり、神が鎮座していた。

「神よ、私たちを管制室へとしてくれ」


「………」


「おい、神よ、聞いているのか?」


「………」


まったく反応しない。故障か? これでは管制室へは行けない? いや、他の神に願って修理は可能か?

様々な思考を巡らせる。

と、人影が現れる。月読だ。

「たどり着けたようだね。少し遅くなった」

「月読、この神は…」

「大丈夫。ちょっと私に任せてくれ」

そう言って神の前に立つ。

「システムオープン」

聞き慣れない言葉を発する。すると、彼の目の前に光の板が出現し、それに触れる。慣れた手付きで指を動かす様は美しくもあった。


コゴゴゴゴゴ…


奥の扉が開き、乗り物らしき物が目に入る。

「管制室との連絡挺、名をヤタガラスと言います。さぁ、乗ってください」

「あなたは?」

「ちゃんと乗ったら、その赤いボタンを押してください。私は向こうで待っていますよ」

そう言って姿を消した。私たちは言う通りにしてボタンを押す。

「ヤタガラス起動 発進シマス」

神と似た声がそう話す。そして連絡挺は動き出し太陽を、中央管制室を、天照を目指し進む。

メモ帳に『最後の神を高御産巣日神タカミムスビノカミと命名。八咫烏の背に乗り天照へと向かう』

と記入する。いよいよである。

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