導きの鳥
「これは…」
電波塔の制御室、いくつものカメラや計器が円を描くように並んでいる。電力を通したことで再起動したのだろう。しかし、所々、故障で砂嵐や虹が架かっている。そして、部屋の中心には祭壇があり、神が鎮座していた。
「神よ、私たちを管制室へとしてくれ」
「………」
「おい、神よ、聞いているのか?」
「………」
まったく反応しない。故障か? これでは管制室へは行けない? いや、他の神に願って修理は可能か?
様々な思考を巡らせる。
と、人影が現れる。月読だ。
「たどり着けたようだね。少し遅くなった」
「月読、この神は…」
「大丈夫。ちょっと私に任せてくれ」
そう言って神の前に立つ。
「システムオープン」
聞き慣れない言葉を発する。すると、彼の目の前に光の板が出現し、それに触れる。慣れた手付きで指を動かす様は美しくもあった。
コゴゴゴゴゴ…
奥の扉が開き、乗り物らしき物が目に入る。
「管制室との連絡挺、名をヤタガラスと言います。さぁ、乗ってください」
「あなたは?」
「ちゃんと乗ったら、その赤いボタンを押してください。私は向こうで待っていますよ」
そう言って姿を消した。私たちは言う通りにしてボタンを押す。
「ヤタガラス起動 発進シマス」
神と似た声がそう話す。そして連絡挺は動き出し太陽を、中央管制室を、天照を目指し進む。
メモ帳に『最後の神を高御産巣日神と命名。八咫烏の背に乗り天照へと向かう』
と記入する。いよいよである。




