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異界神記  作者: さばみそ
月読
20/32

太陽へと

町から村、村から村へと、各地の神の力を使い移動を繰り返していく。全ての神の居場所が判明したので、全ての神を経由しながらの移動経路をとる。研究者としての欲、もあるがもちろんそれだけではない。

「先生…」

世理須がちょっとだけ心配そうにこちらを見る。大丈夫。そう言って力付ける。自分に言い聞かせるかのように。



~二日前~

「やはり待っていましたね。月読」

部屋の扉を開けると、そこには一人の青年が立っていた。黒髪長髪長身で色白の、聡明そうめいそうな青年だ。いや、よくよく見れば、その姿は虚ろで透けている。空間に映し出された映像だった。

「まさか、私を他人に紹介する時がくるとはね」

「他人ではありません。家族ですよ」

「君がそんな言葉を使う時がくるとはね、という意味さ」

そう言って月読は笑う。さげずみではなく、むしろ嬉しそうに笑っていた。家族と紹介された二人も笑っている。いや、照れているのか? まぁとにかく、打ち解けてくれて何よりだ。


「そうか。ではルートもおおよそは決まったのだな」

「はい。おそらくこれなら全てを効率的に回れるはずです。神々の現状把握は必須ですから」

「あの、先生? もし途中の神が願いを聞ける状態じゃなかったら…」

世理須が珍しく心配そうに話す。今までは、過去を知って一喜一憂していただけ。なのに、今やこの星を救う話になっている。最初こそ、目を輝かせて自分がヒーローになるという想像で気持ちが高ぶっていた。だが、時間が経過して落ち着いてきたことで、失敗したらという不安に襲われているのだ。そんな普通の子供らしさに安心している自分がいた。

「大丈夫です。私を信じてください」

深呼吸をして、はいと大きく返事をする。もう大丈夫なようだ。しかし

(私は何を信じればいいのだろう…)

そんな不安が過る。月読か? いや、信用はしているが、そういう間柄ではないように思う。

「俺も先生を信じてるぜ! 先生は先生を信じてる俺たちを信じてな!」

三日月が左手を腰にあて、右手で自分を指差すポーズを取って笑顔で話す。私の感情を察してか、単純に話に乗ってきただけなのか、どちらにしろ私を力付けるには十分過ぎる答えだった。

(あぁ… 本当に出会えてよかった…)

「では、ありがたくそうさせていただきます」

月読がこちらを見て一瞬複雑な顔をした。ように見えた。が、直ぐにニヤニヤ笑う。見間違いだったのだろうか、どちらにしろちょっとムカついた。



「さぁ、今のところ順調です。このまま次に行きますよ?」

「おー!」

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