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盗賊 2

ルイside


夕食を食べ終わり、宿に戻るとジェフリー様から話があると呼び出される。

扉をノックして、

「失礼します、ルイッセンです」

「入れ」

とジェフリーが言う。ソファーを勧められる。

「君に来て貰ったのは、明日の出発時刻を変更しようと思う。2時間早くして、日が昇る前にこちらを出るよう手配してくれ」

「それは、かなりこの領地が悪いと言う事ですか?それともお嬢様が狙われているのですか?」

と聞いた。ジェフリー様は、真面目な顔で

「どっちもだと思ってくれ。イリーサ嬢の件で明るみに出た婚約者候補達が全員破棄になった。娘を王妃にしたかったコロイド侯爵は、方々に金を使い領政を圧迫させていた。いろんな所から金を借りていたのだろう。金貸しも娘が王妃になるならという甘い蜜に寄っていた虫だ、それが白紙になったらどうなるかわかるな」

「はい、コロイド侯爵様は、金貸しに返金を求められ、怒りの矛先は、イリーサお嬢様」

「あぁ、どういう風に伝わるかわからないが、安全とは言えない地から早く去るべきだ」

「畏まりました」

すぐに宿は、金を払い、護衛とリリアンに連絡した。お嬢様には心配させるより寝てもらいたいので伝えない事に決めた。


「ジェフリー様、御者って昨日の方と変わりましたか?」

とお嬢様が聞いた。ジェフリー様の顔色が変わる。御者、挨拶しただけでまともに見てない。しくじった。

御者とジェフリー様が話ている、中に潜り込んでいたのか、と後悔していると、イリーサ様が、

「ルイ、こんな時に言う事じゃないけど、お小遣い私にも頂戴」

と言った。なんでこんな時?と思ったが、このお嬢様には、野生の感的な俺にはないものを感じる。言われた通り、宿で4泊出来るように銀貨を2枚づつ渡した。

「盗賊が来た」

馬車を操縦しながら思う。うちのお嬢様は、こうなることまで読んでいたのか?銀貨を靴下の中に隠したのも動けるうちに金を要求したのも。ソランさんも盗賊と応戦し始めた。人数が多いのかもしれない。道を外し、森の中に隠せれば、お嬢様ならなんとかするかもしれない。

「急いで降りて茂みに隠れて」

と言って馬を走らせる。

『本当にお金を渡せて良かった。しっかり隠れていなさいよ、お嬢様』

道に戻る。少しでも遠くに、お嬢様に危険が及ばないように。



ジェフリーside


リリアンの財布が盗まれた。そこはあまり気にしてない。それより、こんなに賑やかなのに、警備隊の姿を見ていない。

「警務隊に行って届けを出してくる」

と言って、離れた。警務隊でこね領地の話を聞くためだ。警務隊の建物がガランとしている。日勤をしている奴に聞く。

「国軍のジェフリーだが、この町で財布を取られた」

「少々お待ちください」

やはりおかしい、この時間警備隊が何チームかいて当然だし、日報を書いていていいはずだ。

「私、警務隊部隊長のハリスです。ジェフリー様お久しぶりです」

「ハリス、久しぶりだな。突然だか、警備隊、警務隊どちらもどうなっている?」


粗方の話は聞けた、このコロイド領地はかなり危険だ。ダニエルも知らなかったんだろう。裏で必死に抑えていたものが、不満が爆発するぞ。この地の出発を早めよう。


「ジェフリー様、御者って昨日の方と変わりましたか?」

突然イリーサ嬢が言った。御者?もう入り込んでいたか?

「すぐに馬車を止めろ」

馬車が止まらない、間違いない。

「絶対に外に出てはいけないよ」

イリーサ嬢に注意する。好奇心がありそうだから心配だ。

「昨日までの御者は、どこにいる?誰に頼まれてこんな事をしている?」

「黙秘か、この木に縛り上げます」

と護衛の一人がロープで縛る。主犯を言うつもりはないらしく、黙秘を貫く男を戻って門番に渡すべきか、次の町の警備隊に渡すべきかと迷っていると蹄の音がした。

「盗賊が来たようだ、ルイ馬車の操縦出来るか?」

「ソラン、護衛を頼む」

「ジョン、アーサー、俺と盗賊狩りだ」

と言うと、アーサーから

「ジェフリー様、馬はどうされますか?」

「盗賊から奪う」

と宣言した。気楽に考えてた友達の娘を送る道中がこんな事になるなんて想像してなかった。いやダニエルは、もしかして。あとこの時間を稼いだイリーサ嬢、確かにダニエルの娘だ。よく気づく。友達の娘を守るためにもここを防衛線として盗賊を抜かせないようにする。

「数が多いです、ジェフリー様」

「泣きごというな、ダニエルから護衛料追加貰え」

「来たぞ」


「三人抜けた、踏ん張れ、ジョン、アーサー」

こんな殴り倒したりするのも久しぶりだな、やはりまだまだ鍛錬はやらなければ。

「二人、そっち任せた、馬車を追う」

馬を思いっきり走らす、一箇所でソランが応戦、馬車を先に行かせたか。ソランの方に行き盗賊の頭を蹴り上げ馬から落とした。ソランに後を任せ馬車を追う。まだ見えないいや、馬車が横転している。

「ルイしっかりしろ」

横転に巻き込まれて気を失っている。足も折れているかな?馬車の中は、空だ。盗賊も一人。

ルイがどこかで、二人を下ろしているか、盗賊に連れ去られたか?馬は一頭で二人は無理だろう。

「イリーサ嬢、リリアン」

呼んでも答えない。途中で下ろしたな。

ちょうどジョンが来た。

「ルイを頼む。足が折れていると思う。近くの宿場町で落ち会おう、イリーサ嬢達が隠れているかもしれない。林道沿いを見てくる」

と伝え、馬を走らす。




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