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私は、ダレ?

よろしくお願いします。

「ロックは破壊だあ、お前ら愛してる」

私の最後の言葉だったと思う。初めて有名なライブ会場でパフォーマンスが出来るとはしゃいだ。客席ダイブをした。…はずだった。

「えっ」

身体が宙を浮いた。

「キャー」

と奇声と打ちつけられる痛みと衝撃。


そして今、ベッドにいる。

見知らぬ天井、ベッドに部屋、はて?

「あれ、私は、ダレ?」

頭だけじゃない身体、背中痛いし、起き上がれない。頭をよぎるのは、客席ダイブ。宙に浮いた身体が交錯する。失敗したんだ、そりゃそうだ、初めてやったわけだし。

『はあ〜痛い』


「大丈夫ですか?お嬢様?目がお覚めになり良かったです。すぐに旦那様にお伝えします。」

甲斐甲斐しくベッドの布団を直し、水差しからお水を飲ませてくれた。外人のメイドさん。

『コスプレ?ここ病院じゃないよね?あれ?私ダレ?』

頭がガンガン痛い。痛い。

また意識が無くなっていく。


耳元で叫ばないで、と言いたいのに声が出ない。目を開けるとさっきと同じ部屋だった。身体が痛い。外人さん達に囲まれた。

私、英語話せない。どうしよう。単語とジェスチャーで乗り切ろう。保険証ないから家に。…家、どこ?


「まだ混乱しているみたいですね。視線が定まってません。意識はあるので、もう大丈夫だと思いますが、あの高さから落ちましたので、身体のお怪我の方が残るかも知れません」

医師らしき人に頭を下げるイケ外人が、

「アリーナ先生、ありがとうございました。この娘の今までの不徳のせいですので、致し方ないことです。恨まれて当然ですから。症状が軽くなり、動けるようになりましたら、すぐに領地にある修道院に移す予定です。なのでこの娘の立場など考えなくて結構です」

と言った。

片方は、医者で、もう一人このハリウッドスターみたいなイケ外人、結構辛辣なこと言っていた。動けるようになったらすぐにどこか、修道院に連れて行くみたいな。施設に移動って事?確かに、こんな広い個部屋、私には贅沢だ。だって私は…?

あれ、何故、私の事を思い出そうとすると、止まる、痛い、苦しい。声出ないし。

だけど、最後の曲だけは、あの曲だけは、頭に響かせてと忘れる前振りのようにずっと流れる。

「あ、あ、さ」

「お嬢様が」

声が上手く出ない。ワタシの名前って言おうとしているだけなのに。

「お嬢様」

「イリーサ、イリーサ、どうした?謝りたいのか?」

さっきから何言ってるのこのイケ外人。イリーサって誰よ。私の顔見て言うなって、私が外人な訳あれ、無い…何故みんな私を見ているの?

イリーサ?

と私はまた目を閉じた。


そしてあの日、意識が戻った日から、二日経ち、理解しなければいけない状況になった。

あの日から私は、話せません。怖くなったのもあります。だって知らない世界です。びっくりしたのは、私の父と名乗るあのイケ外人。お嬢様と呼ぶ、私専属メイド。記憶の混乱を察したのか、私に色々説明する執事。

鏡を見てびっくり。包帯だらけなのにもだけど私顔面整形しましたか?と聞きたくなるくらい、ザ外人、髪は、金髪。私の前は、確かサイド刈り上げていたような、驚くのは、イリーサのことを植え付けられる度に前の記憶が忘れていく。怖くて仕方ないから、執事が来ると、今日は寝たフリをした。

執事さんの言う事では、

名前、イリーサ・ダルリル

年齢、17歳になったばかり、なんと誕生日のプレゼントを請求しに行った王族の離宮から階段落ちをしたらしい。そして執事さんに言うには、私かなり評判が悪い、死んでくれればいいのにって思っている人がいるとか。今回殺されかけたらしく、死にたくなければ知らぬ存ぜぬを通した方がいいらしい。


全て執事さん談。


でもこの方かなり優秀で、誰も居なくなって現れて、

「貴女誰ですか?」

と聞くとは。

ドキドキしましたが、何を察したか、溜息をついて

「イリーサ様にそのような事を申し上げましたら、枕も水差しも手に届く範囲の物を投げつけます」

メイドにも同じように、常に物を投げつけるタイプの大変バイオレンスなわがまま令嬢だったらしい。

『正直に話せるものなら話したい』

ここで問題がある。

まず、私は、昔の名前を覚えてない。そして一番厄介なのは、イリーサの記憶もない。本物の記憶喪失である。この記憶喪失、非常に父らしき人に驚かれたが同時に領地に行けばいいと喜ばれた。イリーサは家族にも嫌われていたのかと複雑な気持ちになった。今更親子は出来ないから、私としては早くここから離れたいという気持ちがある。

イケ外人、すぐに現れるのがうざいのだ。

そして今日は、気持ちを落ち着かせる日として、寝たフリを選んでる。


さすがに気づきました。異世界転生だと。

そして説明を繋げていくと、イリーサは嫌われ者である。

ロックバンドの演奏中、調子に乗って客席ダイブしたら、知らない異世界のわがままで殺されてもおかしくない令嬢で誕生日プレゼントを請求しに王宮行って階段から落ちる死にかけ令嬢になったのが、私である。

何回唱えても最悪だ。

戻るには、もう一度ダイブいや階段落ち。

なんでこんな事になったんだ。




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