2、異世界の神様?閻魔様?
ふと眩しいと感じて眼を開ける。
ぼんやりと周りを見渡してまた正面を向く。
正面?どこが正面になるのかもわからないほど何にもない。
例えて言うなら西遊記題材の超有名漫画に出てくるあの真っ白い部屋かな。
自分の身なりに変わりはない。
いつもの通勤スタイルに大きめの肩掛けバッグ。
子供の頃から忘れ物をしたくない私のカバンの中には
用心していろんな物が詰め込んである。
その中身もそのままだった。
おかしいな。トラックに轢かれたのは夢か?
目が覚めるまでもう一度眠ってみようか。
周りを見渡してすぐに横になろうとした時
『……コラコラ!夢ではないぞよ?……』
すぐに座って左右振り返るが誰も居ない。
背筋が凍るとはこういうことを言うのだろう。
心臓がバクついているのに暑くない。
突然冷や汗が滲み悪寒に襲われた。
私はホラーが大嫌いだ。
映画やドラマでのそういうシーンは作り物であるにも関わらず
見た後は一人でトイレに行けなくなる。子供か!
待てよ?心臓がバクつくなら今は生きてるな等と
少し冷静になった所でまた声をかけられた。
『ココでは考えてることもわしに伝わるぞよ?
あまりおかしな事ばかり考えると後で恥ずかしくなるのは其方じゃよ?
少〜しばかり顔を上に向けて見よ』
声の主は少し上にいるらしい。
斜め上を見るとそこには、ウィルオウィスプのような
青白い球体が光を放っていた。
『どうでもいいが、
この多忙な時期に遊んでる暇はないのじゃ。
異世界から魂飛ばして来おって
ぶっちゃけイレギュラーな対応は面倒なんじゃ!』
ぶっちゃけって…ここは異世界版黄泉の国か?
この光る球体は、おそらく神様もしくは閻魔様なのでは?
それにしてもこのノリに圧倒されて若干引く……
「ご迷惑をおかけして申し訳ありません。
何か手違いがあったということですかね?」
『なんじゃ何か文句あるんか?引いてる場合ではないぞ?
多忙だと申したではないか。ちゃっちゃと話を進めるぞ。
仰々しく言葉を選んでられんのじゃ。早速手続きするぞ。
名前と歳と死んだ理由を述べるのじゃ!』
神?的存在はせっかちらしい……。
ここまで読んで頂きありがとうございました。