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1:私のくだらない日常
私は皇稚空。23歳。ただのOL。
「稚空。終わった〜?」
「まだ。琉璃は?」
この子は清水琉璃。同じ会社に勤める同僚だ。
「あと少し〜」
「じゃ、頑張ろ」
今は残業中。時刻は午後10時を回ったぐらいだ。
「終わった〜!稚空は?」
「私も終わった」
「じゃあ、飲みに行くよ!」
「ぷっはー!やっぱ残業終わりのビール最高!」
ビール如きで幸せになれるとはなんと楽な性格だろう。
「じゃあね〜」
はあぁ。疲れる。薄っぺらい友情。残業代もまともに出ないのに毎日残業。一緒にいるだけで吐き気がする。何故アイツはあんなに私に付き纏うのか。理解不能。こんなこと考えても無駄。帰って寝よ。
そんなことを考えながら歩いていたら後方から声がした。
「おい!危ないぞ!!」
キッキー!!!気づいた時にはもう遅かった。目の前には2つの光るライト。私は衝撃を受けると同時に宙を舞った。
「おい!大丈夫か!?」
「誰か救急車!」
私の意識は人々の声に静かに沈んでいった。