七行詩 851.~860.
『七行詩』
851.
新生活も そろそろ長くなってきたけれど
ずっと先に 東京に出て
今も頑張っている人達がいる
この町で暮らすことを 夢見たのではなく
忙しさと 宿命と呼んだ我が儘を
人の笑顔に繋げてゆくこと
その方法は 人の生活の中で 私は学んでゆく
852.
都会の夜空に見える星は
ごく限られた数だけでも
それが自分を変えてしまい得る
まだ見ぬ出会いの数ならば
決して少なくはないでしょう
次はいつどこで 誰にぶつかるのか
見渡すには この道も空も 広すぎて
853.
ふと口にした 答えが誰かに似ていたって
解決までの道のりは 貴方自身が歩くでしょう
そして支える一人一人との出会いが
貴方だけの財産であるのに
必要なのは 全てを捨てる覚悟ではなく
全て出し切り 全てを失ったとしても
感謝を伝えに行くための 覚悟だと思うのです
854.
貴方の本当の価値を分かっていないのか
彼は 与える愛情の代わりに
大切なものを諦めさせようとする
それが幸せだと 貴方が選んだとしても
それまで貴方の歩を 進ませ 支えた人達とは違う
しかし 誰もが貴方の幸せを願い
貴方を止められはしないでしょう
855.
今新しく生まれた命が
大きく育ってゆくまでに
自分はどれだけ 大きくなれるでしょう
誰のもとにも 同じ時間が降りかかり
真っ白な紙も 黒い文字も
日に焼け 褪せてゆくでしょう
人はその中で 忘れられないものを探すのです
856.
鳥はその翼で 内側から鍵を開けることはできず
広い空を見つめているばかりだった
しかし 転機は訪れ
貴方が私を自由にした
もう誰かのために 何かを諦めることはない
空に羽ばたき 広い地上を見つめながら
自由に旅し 貴方のもとへと帰るでしょう
857.
過去は一度に話さずに
少しずつ見え隠れしている
奇跡が大きくなるにつれ
謎は深まっていくでしょう
一体 いくつの歯車が噛み合って
私たちは 出会うことができたのか
二つに分かれた魂が 向かい合うことができたのか
858.
自分では 自分の背中を
押してあげられないことがあるでしょう
二枚の鏡は 向き合うよりも 背を預け
足りないものを補って
それぞれの個性を尖らせて
試練は続く いつか一つに戻るまで
近づいても 離れても どこかで支え合いながら
859.
拾ったものは その手で置いて 棚に並べる
失ったものは 後から目に見える形で
記憶の回廊に並んでゆく
もらったものは 忘れてしまったかもしれない
奪ったものさえ 忘れてしまったかもしれない
奪ったものが もうこの手には残っていないなら
私はどうして 人のものを奪ったのでしょうか
860.
人生が二度あったなら
次は手に入れられるでしょうか
或いは 二度目は 出会うこともできないかもしれない
だとしても あの日に生まれてきたのは
貴方の鏡となるためだったなら
今もまだ どこかに感じていたはずです
月の光と影のように 分かれた同じ魂を