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ご主人さまとお出かけ

今日はご主人さまとお出かけ。

「おい、出かけるぞ」

「はい、ご主人さま」

あたしは彼の後ろを三歩下がってついていく。

貞淑で従順な妻。

夫の三歩後ろについて歩くのって妻だけの特権で、ずっとあこがれだったけど、ちょっぴりさみしい。

そう感じていたのは彼も同じだったようで、彼はあたしの腕を手繰り寄せて片腕を差し出した。

嬉しい。

あたしは彼の腕にしがみついて歩く。

こうして並んで歩くなんて恋人時代に戻ったみたい。

あたしは彼に胸を押し付けてみる。

「おい、あんまりひっつくな」

うふふ。彼ったら照れているんだわ。かわいい。

『ほわーん』

どこからか甘い匂い。

あそこだ、今評判のクレープ屋さんだわ。

あたしはうれしくて駆け寄る。

「ふぐぅっ」

あたしは腕を後ろに引っ張られる。

彼は乱暴にあたしを引っ張ると、近くの公園まであたしを引きずるようにつれていく。

ベンチで彼のひざの上に乗せられる。

「バチン」

あたしは彼にお尻をぶたる。

公園内は人影は疎らとはいえ、公衆の面前でお尻をぶたれるのは流石に恥ずかしい。

「止めてください。イヤぁ」

あたしの抗議を無視して、彼はあたしのお尻を打ち続けた。


「うぅっ、痛い、痛いよう~」

泣きじゃくるあたしを置いて、彼は公園の外へ。

煙草かしら。公園内は禁煙だからって彼ったら真面目なんだわ。

ぼんやりする頭でそんなことを考えていると、いつの間にか目の前に5歳ぐらいの女の子。

「おねえちゃん、なんでおしりペンペンされてたの?」

「お姉ちゃんねえ、悪い子だったからお尻ペンペンされたのよ」

子供の前だと、なんだか素直になれる。

「じゃあ、いいこになるには、ちゃんとごめんなさいしなきゃだね」

「ええ、ちゃんとごめんなさいして、お姉ちゃんいい子になるわ」

こんな小さな子供に諭されるなんて、ありがとう、お嬢ちゃん。

きっとあなたはいいお嫁さんになれるわ。

女の子にバイバイしてると、ご主人さまが戻って来た。手にはクレープが二つ。

「はい、これ」

ご主人さまからクレープを一つ手渡される。

嬉しい。

「おいしいです、ご主人さま。ありがとうございます」

彼ってなんて優しいの。

愛しています、ご主人さま。


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