とある一日
「いってらっしゃいませ、ご主人さま」
彼を送り出したら、家事も本格的になる。
さあ、お洗濯しなくちゃ。
あたしは洗い物をまとめて洗濯機に放り込む。
『あっ、彼のワイシャツ』
あたしは思わず頬ずり、そして深呼吸
『はぁ~、彼の匂いだわ』
こっそりワイシャツにキス。
洗濯機をまわしている間に、あたしはダイニングテーブルを片付ける。
彼の食べ残しをお皿にまとめて食べる。
「うん、おいしい」
夫の食べ残しを食べるのは、妻の特権なの。
テーブルの布巾がけとお皿洗い。
洗濯物を干して、お掃除。
彼の書斎の椅子に座ってみる。
あん、ご主人さまの椅子って大きい。あたしはすっぽり納まってしまう。
なんだか、ご主人様に優しく包まれてるみたい。
ちょっとうっとりしてうたた寝しそうになる。
お洗濯ものを取り込んで、夕食の買い物。
スーパーのチラシで値段チェックの後、商店街へ向かう。
商店街ってスーパより安い時があるのよね。『妻は質素を旨とすべし』ですもの。質素倹約だわ。
「奥さん綺麗だからおまけしとくよ」
やだ、奥さんだなんて。決まり文句とは言え恥ずかしい。
家に帰って夕食の支度とお風呂の用意。
「ガチャっ」
玄関のカギを開ける音。
彼が帰ってきたんだわ。
「お帰りなさいませご主人さま。お食事になさいます?お風呂になさいます?それともア・タ・シ?」
あたしは笑顔で出迎える。
「お前だぁ~」
嬉しい。彼はあたしを抱きしめると、優しくキスしてくれる。
愛しています、ご主人さま。




