汝はそれを何に使う?(S)
「起きよ。目を覚ませ」
女性の声が聞こえ、目を覚ます。
「エレナか?」
俺を起こしに来る女など、エレナくらいしかいない。
「ほう、この者はエレナというのか」
エレナの声で、普段のエレナとは違う喋り方をするエレナが目の前にいる。エレナは自分の体を眺めたり、自分の体をベタベタと触っている。なんか、うん。ちょっとあれだな。うん。
「あれ? ここは……」
周りを見渡すと黒だけが広がっている。自分の足元も黒。ちゃんと足場があるのかさえ不安だ。なのにエレナの体と俺の体だけははっきりと見える。
「先程申しただろう? 汝と話をするためにここにきた。ここなら何の邪魔も入らぬからな」
「おいエレナ。どうした? 頭でも打ったのか?」
それともこれは俺の夢か妄想だろうか。
「ん? 俺と話って…… まさか貴女は奈落の王?」
「ああ、いかにも儂が奈落の王だ」
いやいやいやいや!! さっき奈落の王に会ったばかりだぞ? 寝て起きたらエレナになってるってどういうことだよ!! さっきの蔦みたいな巨人はどこいった!!
「フフ…… 汝と同じような反応をした者が他にもおったな。あの姿では鏡がないと汝と話せぬからな。汝の記憶の中にある一番強い女性像の姿で話させてもらうぞ」
おいおいおいおい……。俺の中で一番強い女性像ってエレナなのかよ。他にもっといなかったのかよおい……。もしかしたらめちゃんこ可愛い姿で、奈落の王が現れてくれたかもしれないのに……。俺は下唇を噛み締め、空を仰いだ。まぁ、空はないんだけどね? 黒しかないんだけどね?
「ふむ、中々に可愛らしい女子だな。汝の思い人か?」
「いえ、違います。ただの幼馴染です」
先程の動揺は何処へやら、俺は冷静にそう返した。
「ふむ…… 汝がそう思っておるならそれでもいいか」
何だ、その含みのある言い方は。エレナはただの幼馴染だぞ。というか、いつも騒がしいエレナが淑やかというか、しおらしい態度取ると調子が狂うな。あと妙にエロいな。
「汝、名は何という?」
「ハドア・ステルターニです」
「そうかハドアよ。では、汝に問おう。儂の力の一端を手に入れたとして、汝はそれを何に使う?」
「えーと、よくわかりません」
俺がそう言うと、彼女の表情が固まった。
「いや、だってね。学長にいきなり穴に落とされたと思ったら、今度はさらにその奥で、奈落の王と二人きりって。俺じゃなくても予想外すぎるでしょ。それでいきなり話とか言われても、流石に困りますよ。挙げ句の果ては、まだ何かもわからない力を手に入れた後、それを何に使うかとか言われても。そんなの子供に遊び方の知らない玩具を渡して、これでいっぱい遊ぶんだよ?って言うのと同じですよ」
俺が思ったまんまを口にすると、奈落の王が下を向きながら震えている。あれ? これまさか怒らせちゃった? やっべぇ! 俺、最悪ここから出られなくなるんじゃ……。な、何とか機嫌をとらないと! 俺がそう思っていると、
「フフフ……。アハハハ!」
彼女が突然笑い出した。
「え? え? こんなふざけた答えをして、怒ってたんじゃないんですか?」
笑いが収まった奈落の王はこちらを見据えて話し出した。
「いや、すまないな。まさかここに来て、何も話して貰ってないとは。そう考えると可笑しくてな。笑いが止まらなくなった」
何だ。怒ってないのかよ。マジでビビったじゃないかコンチクショウ! くそ、学長ももっと事情を話しとけってんだ!
「汝は面白い男だな。気に入ったぞ」
そう言うと、黒い世界に金色に光る不思議な木が突然現れた。その木には色んな色の木の実がなっている。
「さぁ、好きなものを選ぶといい」
好きなものって言われてもな。赤とかオレンジとか見慣れた感じのものもあるけど銀色とか茶色とかあるぞ?
「えーと、じゃあこれで」
俺は一番目に付いた鮮やかな水色の木の実を手に取った。
「これ食べても平気なんですか?」
はい、どうもSです。
今回のお話はどうですか? 遂にハドアに能力が目覚める感じになりました。長かった。ここまで長かったですよ。私の予定ではヴァイオレットちゃんと契約する予定でしたが、こんな風になるとは。いやはや、これもリレー小説ならではですね。(け、契約しないとは言ってないんだからね!)ハドアが貰う能力はどんなものになるんでしょうかね。私個人ではある程度作っているのですが、順番的に私の番で回ってくるかわからないのでもしかしたら他の二人が出してくれるかもしれませんね。なんにしろ楽しみです。そろそろガチな戦闘もやりたいですねー。いつになるかはわかりませんが笑
さて今回はこの辺で。今回はなかなか内容に触れられたかな?では、さらばじゃー




