その名前は既に使われています(K)
「ラビウス・ユリウス・カエサル」
「は?」
「いやね、良い名前でしょ? やっぱ偉人っぽい名前付けた方が大成しそうだよね」
「あのさぁ……」
なんだこのオッサン。というかウサギの大成ってなんだよ。一角兎にでも成るつもりか。
「ひょっとして気にくわない? じゃあ…… ラビぴょん」
「は?」
舐めてんのかこのオッサン。しかもなんだよラビぴょんって。可愛いなぁオイ。全然大成しなさそうだよこれ。
「だからさ、ラビぴょん」
聞こえてるから。痛いほど聞こえてるからラビぴょん。でもこんな名前じゃダメだ。真面目な場面で「ラビぴょん」って言いたくない。
ここは威圧しておこう。
「あぁ? ちょっと聞こえねーんだけど」
「ひょっとして、ぴょん吉の方が良かった?」
「その名前は既に使われています」
それに、その名前だと白シャツと一体化するだろうが! 馬鹿か!
「あっそうなの? じゃあピョニー」
ピョニー…… 一番マシかもしれない。でも今までのが酷すぎたから感覚が狂っている可能性がある。ここは学長に付けさせちゃダメだ。
「帰ってからエレナに付けさせますんで、学長はもういいです。ありがとうございました」
俺がそう言うと、学長は名残惜しそうにした。
「いやぁ、ピョニーで良いと思うんだけどなぁ」
「あのね、学長。僕の今の心境、わかってもらえるかな?」
そんな俺のことなど意に介さず、学長は全身ドヤ顔でほざいた。
「じゃあラビエル。天使っぽいでしょ?」
「それむしろ幻魔皇っぽいです」
「駄目かぁ…… じゃあどんなだったらいいの?」
学長の透き通った声での質問に、心の内に灼熱の如き怒気を侍らせながら、できる限り声にドスを利かせて言った。
「いい加減にしろよな」
「ウッス」




