アギラ(S)
アギラとは異常に魔力が宿った動物の総称である。
このアギラは強さによって、S,A,B,C,Dの五段階のランクに分けられる。つまり、今退治しようとしているネズミは、下から二番目の強さということになる。学校で平均的な成績をとっていれば、まず負けることはないだろう。
「ネズミはいったい、何処にいるんだ?」
魔法で作った光で薄暗い下水道を照らしながら、ムルフッフはあたりを警戒しつつ下水道を進んでいく。そんなに警戒しなくても良くないだろうか、所詮はネズミ。小動物に魔力が宿った程度のものなのだ。
「そんなゆっくり進んでたんじゃ、いつまでたっても見つからないぞ。俺はさっさと終らせたいんだが」
こんな大した褒美も貰えない仕事は、御免被りたいものだ。
学校では倒したアギラのランクによって褒美が貰える。下から二番目なんぞでは、貰えるものなどたかが知れているのだ。
「な、何を言ってるんだキミは。僕達は頼まれてここに来ているんだ。しっかりやらないといけないんだよ」
頼まれてって……。俺はお前に脅されただけだし、お前も寮長さんが言ったことをやってるだけで、頼まれたってわけじゃないだろ……。
そんなことを思いながら進んでいると、暗闇の中、俺たちの光を反射する六つの赤い玉のような物が見えた。
「やっと見つかったか。俺達を見ても逃げないあたり結構気性が荒いタイプだな」
「フシュルルル……」
こちらを威嚇するような声が下水道に響く。これは都合がいい。アギラになってもネズミはネズミ。人間を見れば怖がるし、近づきすぎたり危害を加えれば、すぐに巣に逃げ帰ってしまう。それでも魔力が宿っている生物は危険なため、俺達のような人間が退治しなくてはならないのだ。
「下水道で追いかけっこは、勘弁願いたいものだったしありがたいな」
「そうだね。早く退治してしまおうか」
魔封石を忘れた奴が何をほざいてるんだかな。どうせ倒すのは俺なのに。
「いや、俺一人でやる。ムルフッフは辺りをもう少し強く照らしてくれればいいから」
下手くそが魔法を失敗して、邪魔されても困るからな、と心の中で付け足した。
「わかった」
俺の言葉に頷いたムルフッフは光を強める。すると先程まで見えなかったネズミの姿が見えた。普通のネズミより遥かに大きい。だいたい猫と同じくらいだろうか。魔力が宿った生物はこいつの様に巨大化したり、体の一部が異常発達することがある。
「雑魚が、燃え尽きろ」
魔力を手に集め、手の少し上に野球ボール大の火の玉を三つ出現させる。それらをネズミに向けて一斉に放つ。それを見たネズミが口から火を吐いた。が、そんなチンケなもので相殺できるほど、俺の魔法はやわじゃない。
火の玉はネズミの火にぶつかっても全く失速せずそのままネズミにヒットし、ネズミを燃やし始めた。火に包まれたネズミは、そのまま地面を数秒のたうち回ると、そのまま動かなくなった。
どうもお久しぶりです。Sです(ペコリ)。
マリーボックスとして書く機会はもうないだろうと思っていましたが、こうしてまたここに帰ってこれてよかったと思います(感涙)。
新作です。新作。今回はいつもみんなに爆弾を投げつけるOからスタートです。前回みたいにやばいのができるのか心配でしたが、あら不思議。ちゃんと一周しました。私達がふざけずに一周できたことが今まであったでしょうか?このままの流れが続くことを切に祈るばかりです(これ振りじゃないからな。勘違いすんなよO)。
さてさて私の雑談はこれくらいにしてお話ついて。空に浮かぶ巨大な魔法陣。魔法が下手でも安心安全の魔封石。魔力を宿す生物アギラ。これからどんなふうにこの物語は展開し、どんな登場人物が現れるのか楽しみですね。まだ三話しかないので、内容についてはこれくらいにします。
これからまた長いお付き合いになると思いますがどうか最後まで読んでくれると嬉しいです。では、また一周後に会いましょう。