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バケモンの弟子(O)

 俺は部屋に戻り荷物をまとめた。数日の着替えなど生活に必要な物を鞄に入れ、公欠届の準備をした。学長には「明日の朝早く出発ね」って言われたから中々忙しい。

 準備をし終えてから、明日の講義の教授達に公欠届を出しに行った。その帰りにエレナに会った。


 エレナに明日のこと言わないままでいたら絶対に心配される。目に見えている。


「お! ハドアー! 学長と何話したの?」


 エレナは笑顔だ。


「明日から学長と旅してくる」


 エレナの表情が変わった。


「え!? 旅!? するの? 講義は?」


「公欠届出してきた。学長曰く『ある物』を譲ってもらいに行くんだってさ」


「そ~…… なんだ。気をつけてね」


「おう、ありがとよ!」


 エレナは無理に表情を作っているように見えた。まあそりゃそうか。重度の心配性だもんな。

 ワイナードにも挨拶しておこう。

 部屋で準備している時には勿論、部屋にワイナードの姿は無かった。つまり、図書室にいるだろう。

 俺は図書室に向かった。やっぱりいた。


「ワイナードー!」


「ハドアか」


「相変わらず調べてるね~」


「この状況になるまで何故調べようとしなかったのか。昔の自分が情けない」


「そ、そうか。俺、明日から学長と旅してくるから」


「『ある物』を譲ってもらうって話か」


「そう! てか、学長がワイナード君はお察しかな? って言ってなかったっけ?」


「ああ。その言葉の通り、お察しだ」


「すげ~な、お前知りすぎだろ~」


「これも小さな頃から関わってきたことだからな。教えようか?」


「いや、明日朝早いから今日は遠慮しようかな」


「そうか、気をつけろよ」


「おう!」


 俺は部屋に戻り、明日に備え寝床についた。

 久しぶりのこの感情。ワクワクより緊張の方が勝ってる。これから何を貰いに行くのかわからないから余計なのだろう。


「でも、楽しみだな」






 目が覚めたのはまだ陽が昇っていない暗いうちだ。ワイナードが寝ている姿をどれだけ久しぶりに目にしただろう。

 ワイナードを起こさぬよう、静かに荷物を持ち、部屋を出た。

 どこに集合か聞いてなかった。困ったな。取り敢えず学長室にでも行けばいいのかな。


 誰一人としていない静かな寮内は初めてだ。寮から出る渡り廊下から見える中庭に人影が見えた。


「あ、学長だ。中庭集合だったんだ」


 中庭に出た。


「お、ハドアくん。時間と集合場所教えるの忘れてた申し訳ないね」


「困りましたけど、大丈夫っすよ」


「もう準備は整ってるかい? 行けるかい?」


「はい、行けます」


「よし、ほんなら行こうか」


 学長はそう言うと、俺に学長の荷物を持たせ、両手を広げ「少し離れて」と言うと、学長の足元に魔法陣が形成された。

 こんな短時間でこんな綺麗な魔法陣を、両手を広げただけで作るなんて。やっぱこの人バケモンだな。


「よし、入ってきていいぞ~」


 そう言われ、魔法陣の中に入った。学長は右手を俺の肩に置いた。置かれた瞬間、結構な圧を感じると共に視界は暗闇に包まれた。


「はい、転送終了~! やっぱ2人の移動は魔力量が多くなっちゃうね。圧出しすぎちゃったから少しここから離れるよ~。立てるかい?」


 気がついたら学長の声が聞こえていた。まだ視界はボヤけている。目は精一杯開けているつもりだが。学長が人の形をしていることがギリギリ分かる程ボヤけている。


「あ〜ボヤけているわけか。ハドアくんは転送魔法で転送されるのは初めてだっけ?」


 学長はいつも通りの声のトーンで話している。


「はい。初めててす。まだ何にも見えません」


「うぬうぬ、ワシも使い始めはそうだった。身体が一瞬の感覚で離れた場所に転送されるんだからな~。初めての転送で身体がついてこれるわけないんじゃよね」


「え、一瞬の感覚? 一瞬で移動じゃないんすか?」


「説明すると長くなるから、取り敢えずここを離れよう」


 学長に支えられ、何とか歩き出した。歩き出すと、自然とボヤは治り、いつもの感覚が戻ってきた。

 大草原? とでも言っておこうか。そんな中に馬車が通ってできたような道があり、そこの上を歩いている。


「さっきのことなんじゃが、転送されてる間、ワシ達の身体はどこに行くと思う?」


「その転送される場所じゃないんすか?」


「結果的にはな。だが、転送されてる時、視界はどうじゃ? 何か見えたか?」


「いえ、真っ暗でした」


「そうじゃ。なぜ視界が真っ暗になるのか。転送魔法ってのはな、転送する場所に我々の情報を教え、一度身体を分子レベルまで細かく分解する。そして情報を教えた転送場所まで運ばれ、そこで我々は組み直される。聞いただけだと意味わからんじゃろ?」


「え? じゃ、じゃあ、俺らは一回バラバラにされて…… 死んだってことっすか!?」


「死んではいないんじゃよ、何故死なないのかはワシも知らんがね」


 転送魔法が高等魔法って言われてる理由がはっきりとした。一回分解してまた組み直されるって、どんな魔法だよ。それを学長はあの巨人に使ったわけだろ?やっぱバケモンだ。


「ちょっとこの先の村に古き友の一人がいるんじゃが、挨拶に行くぞ」


「何か俺と関係あるんすか?」


「ありまくりなんだな~。もう爺さんになってしまったかな~。さっき圧を出したからワシの存在には気づいていると思うが。ハドアくんを見て喋ってくれるかはわからんけども、聞かせたいことがあってね。これから役に立つであろうことなんだ」


「な、なんすか?」


「彼は昔ね、君とは種類の違う適格者だったんだ」

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