よろチキ(K)
「エレナは巨人見た?」
普段の会話と同じようなトーンを心掛けて、ふと何気ない感じで尋ねる。
「巨人? ハドアを探してたから見てないよ。どんな感じだったの?」
「やっぱりか。お前はホント…… 色々気をつけた方が良いぞ?」
こんな異常事態なんだから、何が起こったかぐらい確認しろよ……。
「だってさぁ、普通ハドアを探すのが優先でしょ?」
「優先でしょ? ってなんだよ。普通の状況じゃなかったんだぞ? こういう時ぐらい自分の心配をしてくれよ」
「えー、だって! ハドアがもし危ない目に遭ってたらどうするの!?」
そう言われてギクッとした。実際危険な目に遭っていたからだ。でも、エレナまで危険な目に遭う必要は無いだろう。
俺は恐ろしい巨人の姿を思い出しながら、自分の思考を復唱するように言った。
「エレナまで危険な目に遭う必要は無い」
そうだ。あんな目に遭う奴は少ない方が良い。
俺がそんなことを考えていると、エレナは目を潤ませながらポツリとつぶやいた。
「それはおかしい……」
えっ? 怒らせちゃった? 結構マズいこと言ったかなこれ。
「おかしいって、何が?」
「だって、あんたといる時点で、危険だもん」
それを聞いて思わず噴いてしまった。
「そっ、それどういう意味だよ!」
俺がそう突っ込むと、エレナはふふふと笑った。
「でもね、自分のこと心配するのってちょっと難しいから、だから、ハドアも私のこと心配して? そしたらおあいこでしょ」
歩きながらそう話す彼女の横顔は、とても真剣そうに見えた。だけど、それに真面目な言葉で返すのは少し恥ずかしかったから、少しだけふざけたような口調で言うことにした。
「あー、考えておきます」
食堂に着いて間もなく、俺は、食べられなかったカニピラフのことを思い出していた。
俺はまだ、カニピラフが食べたい。だけど、ここではカニピラフは注文できない。
どうすればいいんだ。カニピラフを食べたいのに…… ここにはそれがない。
もう仕方ない。食堂のメニューの中で、一番カニピラフに近い料理を選ぼう。それしかない。
ところで、一番カニピラフに近いメニューって何だ?
食堂の受付の上に並べて貼られたメニューを見て、それらしいものを探していく。まず米の料理は……
牛どん……。これは違う。
カツどん……。これはもっと違うな。別の日だったら食べても良いけど。
うどん……。最悪これでも良い…… けどよく考えたら米じゃないな。騙されるところだった。
海鮮どん……。うーん、あの気持ち悪い触手見た後でこれはな、気が引ける。
チキンライス……。チキンライス! これだ。これならそこそこピラフと近いような気がする! 君に決めた!
俺はスキップで受付までの道を走破しながら、受付のお姉さんに高らかに伝えた。
「よろしくチキンライス~」
「すみません。今ケチャップが無くって……」
「じゃあうどんで良いです」
どうも皆さん、よろしくチキンライス~! 『ウェザー・スルー』グルメ担当のKです。
今回はエレナとちょいとイチャコラしつつ、それ以外は特に進んでませんね。進展があったところといえば、食堂のメニューが充実してることと、ケチャップを切らしてることくらいでしょうか。
それから私、特にチキンライスが好きというわけでもないんですね。いや、好きなんですけど、そこまで食べる機会がないのでね。
カニピラフに至っては食べたことさえないです。
それからこの世界、どういう文化なんでしょう。馬車があるから西洋とかかな? と思いきや、うどん出てきましたからね……。
でもまあ、キャラクターの名前が変則的なんで、どこか見知らぬ異国の地、ということで良いですね。うどんがあるのも偶然! 香川県ではない!




