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ギャップ(O)

「え~、そんなこと言われたってね」


「行かなくていいんすか?」


「倒せもしないで、しかも暴走してる巨人(やつ)の対策会議だなんて。まあ詳しく知ってるのは私だけなんじゃがな」


 誇らしげにアーカブ教授はそう言った。


「まあ行くとしよう」


「え、一ついいですか?」


「ん? なんじゃ?」


巨人族(ダイダリム)って倒せないんすか?」


「あれ、知らなかった? でも後でね、会議終わって時間できたら話してあげよう」


 そう言うと教授は部屋から出て行った。

 教授の部屋で一人になった俺は部屋を見渡した。

 さすがは魔法歴史科の教授だ。タイトルだけ見ても難しい内容だってことが伝わってくる。『手取り腰取り~愛の舞~』ってタイトルがあったことは忘れておこう。


 にしても今日は、色々な情報を聞きすぎた。整理がつかない。だが、今一番心配しなければならないのは、巨人がこっちに向かってきてるってことだ。


「でもよ、倒せないって言ってたもんな。なんでだ?」


 部屋の外がガヤガヤしている。

 様子を見に部屋から出てみよう。


 学校の皆は、廊下の窓から外を見て話をしたりしている。


「まさかとは思うけど~」


 俺も窓の外を見てみた。かなり遠くの方だが、巨人が歩いてくるのが見えた。


「まじかよ」


 思わず声が出た。倒さないとわかったからなのか? 目の前で見たときよりも怖い。

 それより、なんで真っ直ぐこっちに向かってきてるんだ? 巨人(あいつ)には視力がないはずなのに。何か特別な力があるのか?


 皆が巨人に注目している中、


「きゃーかわいいー」


「癒されるー」


「ぎゅーってしたい! ぎゅーって!」


 こんなことを女生徒から言われ照れながら廊下を歩く一人の男がいた。


「でた、学長」


 こっちに近づいてくる。窓から外が見渡せる所まで来ると足を止め、外を見た。


「あーあーこんな近くまで来ちゃってまー」


「きゃー学長かわいいー」


「しゃべったー」


 この学園で学長は人間扱いされているのか、稀に不安になるな。

 毎日のように女生徒から言われてるのにまだ慣れないのか。学長すげー照れてる。


「よし、ここからワシのショータイムじゃ! チミたち! よーく見ておれ!」


「きゃー頭ぽんぽんしたい!」


「うふふ」


 そう言うと学長はマントをバッと脱ぎ、丁寧に畳んだ。その後上半身をバリバリと破く勢いで脱ごうとして壁に手をぶつけ痛がる素振りを見せながらも服を脱ぎ丁寧に畳んで、畳んだマントの上に置いた。

 学長は窓を開け、体を乗り出した。


「そおおおおおおれ!!!」


 学長は勢いよく飛び出した。飛び出した瞬間、突風が吹いた。学長の姿を目で捉えることは出来なかった。


「どこいった!?」


 皆がざわざわする。


「あ! 見て! 巨人のところ!!」


 一人の生徒がそう叫んだ。

 巨人を見る。その巨人の足元が光っているではないか。


「なんだなんだ!?」


 まだ俺は学長の場所すら分かってない。

 もしあの一瞬で、1キロはあるであろう巨人までの場所へ行ったのなら、バケモノだ。

 巨人の足元の光を見る。よく見ると魔法陣のようにも見えた。


「魔法陣? 巨人の魔法か?」


 俺の言葉につられ、周りがざわついた。


「え、あれ巨人の魔法? ここ危なくね?」


「それより学長どこよ」


「逃げた? 学長逃げちゃった?」


 俺は次の瞬間から目を離さなかった。

 魔法陣が一番光った瞬間に、魔法陣と巨人諸共消え去ったのだ。


「え!? 消えた!!」


 その瞬間、重くのしかかる圧がかかった。


「す、すげえ」


 圧がしてから数秒後、巨人がいた方向から学長が飛んできた。


「やあやあお待たせ、ワシの服はここじゃったかな?」


 いつもと変わらない表情。もしあの魔法陣を学長が作り出していたのなら相当な魔力を消費して疲れ果ててるはず。なのに、ニコニコしてやがる。


「さっきの学長!?」


「えーすごーい」


 生徒達は興奮していた。俺は気になった。思わず声に出して聞いた。


「さっきのって転送魔法ですか!?」


 皆の視線が一気に刺さる。


 『翠色』の目をした学長は優しく服とマントを拾い、こちらを向き、歩いてきた。そして、俺の肩に手を置き、「優秀だ」とだけ言って学長は去って行った。


 鳥肌がゾワゾワと立った。

 暗くなった空に綺麗な魔法陣が大地を照らす。こんなにも清々しくこの景色を見たことはないだろう。


「あ! いたいた! ハードーア! 探したんだから」


 そんな感動の渦にいる俺に対し、キンキンとした声で呼びかけながら、駆けてくる女生徒が一人。


「一緒に夕飯食べない?」


 まあ、気分もいいし食べてやるか。


「まあ、許可してやる」


「あら、珍しく私の誘いにのった! そうこなくちゃ!」


 俺とエレナは食堂へ向かった。

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