死にた、
死にたいと、思った。
もう生きている意味が分からなくて、どうしたらいいのかも分からなくて、苦しくて。
考えられるのは私の前につながっていく、嫌なことしか詰まっていなさそうな、真っ暗な、トンネルのような道。見えるのは悪夢。触れられるのは人工的なプラスティックの箱の硬くて冷たい表面のような、壁。
感じるのは絶望と苦しみと痛みと、頬を伝う限りない涙。
自分はどうかしてしまったのだと、諦めようと、笑おうとした。
笑うことが出来るということは、まだ私にも人間味が残っているということだ、と解釈できるから。それが嘘でも、そう思うことは出来るから。今私に出来るのは、泣くことと考えること、だけだから。
笑えなかった。
必死で頬の筋肉を動かそうとする。目を細めようとする。
できない。
笑うという表情がどういうものだったのか、どこをどうすれば出来るのか、もう分からなくなっていた。笑わなくなってどれぐらい経ったのだろう。
もう何も見えない。
見えなくしたのは自分自身だ。涙をためて、周りが見えないようにしたのだ。
みんなの笑顔が見えないように。
楽しそうな顔が見えないように。
自分たちに満足する周りが、見えないように。
なぜなら彼らは、それらの表情は、私を苦しめるだけのものだから。
私は笑えない。
何も楽しめない。
自分が嫌いで仕方がなくて、でも自分以外にはなれなくて、苦しくて悲しくて死にたくて。
助けてくれそうな物も人も全部当たった。
今まではいい話相手になってくれていた犬の人形も、もう私には何の慰めも与えてくれなくなった。
学校のカウンセラーも、何も役に立つことなんて言ってくれなかった。頑張れ、と言われただけの、カウンセラーじゃなくても出来るようなアドバイスをもらっただけ。
友達は・・・・・・いない。
友達だ、と思っていた、と言うより信じて疑わなかった子にまで嫌われた私は、どこが悪かったんだろう。
言ってくれれば治すから。お願いだから嫌いにならないで、とは思ったけれど、言ったところで逆に嫌われるだけだろうと思ったから、何も言わずに、その子が去るに任せてしまった。
今は一人ぼっちになって、悩みを家族にさえ打ち明けられないまま、私は生きていく意味も希望も失った。
どうしたらいい?
こんなはずじゃなかったのに。
新しくスタートしようと息巻いて歩き出したはずだったのに。
私はどうしていつもこうして、全てをダメにしてしまうのだろう。
必死で本を読んだ。音楽を聴いた。生きていることの楽しみを探す。
見つからなくて、悲しくて苦しくて死にたくて。
でも私には死ぬ勇気なんてなくて、だから。
私は、生きてやろうと思った。
生きてやる。
私を壊したこいつらの目の前で、必死になって、みっともなくても嫌われても、もがいてもがいて生き抜いてやる。
それは私の復讐で、自分へのむち打ちで。
生き抜いてやればいつかは。
そういう希望でもいいじゃないか。
生きていけるなら。
生きていても、いいのなら。