【絵無し絵本】げんつきくん
ぼく、げんつき!
さいこうじそく60キロの、にりんしゃだよ!
ぼくとバイクくんは、にてるけど、ちがうんだ
ぼくは60キロまででしか、はしれないけど、
バイクくんのさいこうじそくは、100キロなんだ!!
すごいはやい!!
きょうは、おおきなどうろをはしるんだ!
ブーンブーン
かぜをきるって、きもちいい!
あれ、うしろから、バイクくんがおいかけてきたよ
「よう、げんつき!」
「やあ、バイクくん!どうしたの?」
「おまえ、ひまならさ、ちょいとおれと、きょうそうしようぜ」
「きょうそう?」
「ああ、
このみちをまっすぐいくと、こうえんにつくだろ?
そこまできょうそうさ」
「うーん...いいよ!」
「よし、じゃあ、よーい、スタート!」
ブーンブーン
ぼくも、バイクくんも、おもいっきりはしる!
エンジンも、すごいおとをだしてる!
ブーンブーン
けど、バイクくんは、やっぱりはやい
ぼくとのきょりが、どんどんひらく
「バイクくん、みえなくなっちゃった...」
「やっとついた...」
「へへ、げんつき、おれのかちだな
おまえより、おれのほうが、ずっとはやいぜ」
「...」
いえにかえって、ぼくは、くやしくて、ないちゃったんだ
おかあさんが、しんぱいして、わけをきいてきたよ
「げんつき、どうしたんだい」
「きょうね、バイクくんときょうそうして、まけたの
すごい、くやしかったんだ」
「あらまぁ」
「げんつき、よくきくんだよ
あんたは、くやしがることなんてないのさ
あんたよりバイクくんがはやいのは、じじつ
しょうがないのさ」
「でも、くやしいよう」
「そうだね、くやしいね
でも、バイクくんのほうがはやいのは、かわらないよ
しょうがない、ってうけいれるのも、たいせつさ」
「......」
「あんたにはあんたのいいところがあるんだよ
あたしはそれをたくさんしってる
バイクくんよりもあんたのほうがずっとカッコイイさ」
「ほんとう?」
「ほんとうだよ」
「...えへへ」
しばらくたって
ぼくは、また、おなじどうろをはしってたんだ
そうしたら、また、うしろからバイクくんがやってきた
「げんつき、きょうそうしようぜ」
「うん、いいよ」
ぼくはがんばってはしるけど、やっぱりバイクくんにはかなわない
すぐにみえなくなっちゃった
「また、おれのかちだな、げんつき」
「うん」
「やっぱり、バイクくんははやいね!
かなわないや」
「おう、あったりまえだぜ」
こんどは、ぜんぜんくやしくなかったよ
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