【詩】別れ
朝日が輝いていた。
何色かは言えないが、
言うなれば、
閃きと、
沈黙と、
華やぎと、
慮り。
それは
詩の色だ。
そうでなければ、
きっと残酷な
爪痕の軌跡だ。
思い出せそうにない
もどかしさよりも、
もっと痛切に
脳髄を突き抜けるもの。
これこそが
いたしかたのない
回帰への切望だ。
押し寄せる羊水の波。
目の眩む虹色の眩暈。
わたしの頭の後ろへと
抜けて行く海よ。
低い山並みは
彼方に蒼く連なり、
高く靡く雲は
淡く空を透かしている。
我がままの代償よ、
かけがえのない詩よ。
振り向くな、
まっすぐに空をみろ。
哀しみから発して、
喜びへと達するまで。
泥濘の中に
光る雲母のように、
愚かさの中にも、
光ることばがある。
茫然たる星空よ、
燦然たる人の世よ。
目を開け、
明らかな時を見よ。
困惑から発して、
歓喜へと達するまで。
滅びた都の跡に
残る仏像のように、
移ろいながらも、
変わらぬ思いがある。
悄然たる虫けらよ、
豁然とした夕焼けよ。
決意せよ、
別れを告げよ。
当惑の時を経て、
今、旅立ちの時を迎える。
大海に
石投げるがごとく、
打擲の音は聞こえず、
穴となった口に声はない。