表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

【詩集】はるのことば

【詩】別れ

作者: につき

朝日が輝いていた。


何色かは言えないが、

言うなれば、

閃きと、

沈黙と、

華やぎと、

慮り。


それは

詩の色だ。


そうでなければ、

きっと残酷な

爪痕の軌跡だ。




思い出せそうにない

もどかしさよりも、

もっと痛切に

脳髄を突き抜けるもの。


これこそが

いたしかたのない

回帰への切望だ。


押し寄せる羊水の波。


目の眩む虹色の眩暈。


わたしの頭の後ろへと

抜けて行く海よ。


低い山並みは

彼方に蒼く連なり、

高く靡く雲は

淡く空を透かしている。




我がままの代償よ、

かけがえのない詩よ。


振り向くな、

まっすぐに空をみろ。


哀しみから発して、

喜びへと達するまで。


泥濘の中に

光る雲母のように、

愚かさの中にも、

光ることばがある。




茫然たる星空よ、

燦然たる人の世よ。


目を開け、

明らかな時を見よ。


困惑から発して、

歓喜へと達するまで。


滅びた都の跡に

残る仏像のように、

移ろいながらも、

変わらぬ思いがある。




悄然たる虫けらよ、

豁然とした夕焼けよ。


決意せよ、

別れを告げよ。


当惑の時を経て、

今、旅立ちの時を迎える。


大海に

石投げるがごとく、

打擲の音は聞こえず、

穴となった口に声はない。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ