新章。ワープアがニートに着替えたら(※車いす整備士試験編)
筆者はいろいろあって前職を辞めた。
なのになんとか金を工面し、意味のない車いす整備士試験などを受けてきた。
まさか読者の皆様はこのような愚行を犯すことはないだろうが、車いす整備士試験をこれから受ける方がこの駄文を検索で見つけて来るかもしれないので真面目に書くことにする。
車いす整備士は自転車安全整備士などと違い、完全に個人で受験することが可能である。
まずカネがいる。受講料38000円。車いすレンタル5500円。標準形手動車いすの整備実技DVD12000円。事前実技講習を受けるなら15000円。無職なら工具も自前だ。インナーワイヤープライヤーが使えるのは大きいが無職には工具を揃えるのは高すぎる。これだけで1万円札が吹き飛ぶ。事前講習含めて二泊三日。宿泊費もかかる。食事は事前講習にはなく、本番二日のうち初日は昼と夜。二日目は朝と昼に出る。十万位用意しておく方がいい。工具は推奨工具を一括販売してくれるが、筆者のようにお金がなく、一部をダイ〇ー(※百円ショップ)でそろえたり親が使っていた古い工具を用いていた場合、試験前に教官に『この工具で受験してよろしいでしょうか』とお伺いを立てておかないといけない。教官の『よし』なく受験して推奨工具を使っていない場合失格となる。特に機械工具、ラチェット類の使用は即失格となる。金銭に余裕があるなら一式買ってもいい。そうでないなら指定の工具かちゃんと確認の事。筆者は父が使っていた金づちが危険と判断され失格になるため現地で推奨工具を購入した(※購入可能です。ただし全部そろっているかは在庫によります)。現金しか受け付けていないので筆者が現金を持っていない場合、ポートアイランドにあるニチイ会館では道具を買う手段が無かっただろう。なんせコンビニくらいしかお金を使える場所がない。
車いす整備士は民間資格だが業界各社が提携して生み出し、整備した車いすがちゃんと安全基準を満たしているかを試験するときなどに一定の基準となっている。車いすは外国では医療機器だが国内では福祉用具扱いになる。介護、看護、リハビリ、整体関係などなど車いすを利用する機会は多い。職場で習得を頼まれることはないとは言えないし、そもそも誰もが一度は世話になる機器なので危険な状態であってはならない。
完全に余談であるが、筆者が亡き父が末後に入院していた医院にてパンクと疑わしき車いすを応急処置したことがある。
「あ、俺自転車屋です」
筆者のヒキが強いことには定評がある。
「虫ゴムが破れているから、途中で切って差しなおした。応急処置だからちゃんと見てもらってください」
まさかこれから本当に自転車修理に続いて車いす整備士を志すとは思うまい。
会社でもたまに話題になった。バイトの人が新聞で見て『取るの簡単らしい』と言い出したからだ。
まぁ貸自転車屋は貸車いす屋にはならないとお流れになったようだが通じるところが多く、自転車安全整備士を受けるには二年の実務が必要だがこちらには要らないので腕試しで受けてもらって良いと思う。
にしたって金がかかりすぎるが。
前職で筆者たちに会社の人がとらせなかったのは完全に業務と関係がない資格だったからに違いない。
まさか筆者も『数万円ならいっか』が十万近く吹っ飛ぶ資格だったとは受けなければ情報を得ることはなかっただろう。知らない人は適当なことをいうものだ。




