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自転車安全整備士、自転車技士、車いす安全整備士試験覚書  作者: 鴉野 兄貴
技師筆記試験は おぼえげーだ

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日本の町工場技術はせかいいち~~(棒)

 ふざけんな。

 筆者は内心そう思っていたが表面ではニコニコ維持である。意地ともいう。

 目の前にいるのは国内メーカーの某社の方である。

 先日納入した商品がまた酷かった。


 塗装は錆止めなしでいきなり噴きつけている。焼き付けもやっていないので簡単に剥げる。一か月持たないはずだ。と言うか持たなかった。

 車輪の泥が跳ねて身体を汚したりしないようにするための部位、一般に泥除けと言われる部分の裏を見たら塗装していなかった。あり得ない。

 ハンドルはぐにゃりと曲がっている。左右、上下。

 座席の高さも指定した。守られていないが。


 リム……つまり車輪だがスポーク調整もまったくやっていない。形だけは行っているが。

 これは自転車技師・整備士試験のメインと言ってもいいスキルなので今更だが、輪っか部分と軸部分をスポークと言う針金でつなぐわけだが適切な長さにしなければ壮絶に車輪はブレる。


 これが国内メーカーの納入する商品である。

 え。日本の部品技術は世界一? アホ言うな。

 その世界一の部品技術を持っている奴が何人いるのか。絵師にタダで絵を描き、音楽屋や歌い手に楽曲と歌をタダで提供してもらい、動画師にタダで働けというWeb作家を想像してほしい。無理である。



 その無理を半年くらい前に某ユーザーWeb小説コンテストに関わることで筆者たちはやり通したが、正直折衝を担当した主催の苦労たるや半端なかったことだけは伝えておこう。

 仕事のやりがいこそがベンチャー企業の報酬と言うが我々はまがりなりに営利企業である。翻しWeb小説コンテストは無償で成り立つがその後の関係者の躍進を考えたら『報酬』は一応あったと考えたい。


 じゃ、初めからタダだったらどうなるのか。

 冒頭の通りである。むしろタダ仕事をカネ払ってやってもらう羽目に陥る。


 世界よ! これが日本の部品技術だ!

 人件費削っていた自転車部品メーカーは国内で安い部品を作れなくなってしまい、中国で作るようになったため、日本側に良い品を安い値段で作る技術が死滅してしまったというのが現状である。

 ものにもよるが二〇年前のフレーム、つまり本体部分を持ってきてガリガリ塗装剥いで再塗装したほうが壊れにくい。錆はあるだろうが。フレームだけは辛うじて国内生産を維持できている。それでもそのレベルだ。

 さて。今はどうなっているのか。

 その恐ろしい実態を少し話す。


 ※なおこのコラムは一応『無笑』のカテゴリに入っているのですべて嘘っぱちだと思ってほしいです。というか筆者が思いたい。



 ベルは左につけるように指定した。

 うんついているね。前に引いて動くベルだけど。バネの向きが違う。

 と言うか、予備のベルバネも逆だ。これは売りそびれを突っ込んだのじゃないだろうか。

 まさかのこちらの発注ミスかもしれないが。


「えーと」


 筆者はなんというかその状態である。


「リコール」


 上司の判断は当然の措置だと思う。

 後日やってきた担当者は営業の人だった。何故に営業。


「あの。治せますかね。と言うか総点検整備も頼んだはずですが」

「ええと、私営業が専門なので」


 上司は筆者を呼びつけ、点検整備を命じた。


 なお、筆者のスキルが業界の人間で言えば素人以下である事実はこのコラムを読んだ関係者なら普通に気付くはずだ。それゆえ逆手にとって知らない人向け、あるいは今からなぜか資格を取らされる羽目になった方向けに書いているが。



 というか、数がパナイ。

 普通ブレ取り台……スポークの長さ、もとい針金の長さをニップルという金具の閉め具合で調整する台でブレ具合を調べて治すわけだが。


「視認でブレていますが」

「JIS規格には合致しています」


 そんなJIS規格あってたまるか。試験なら落第は確定的に明らかだ。


「おそらく中国から日本に輸送する際、数を増やすために横に倒して積んだのでしょう。我々の所為では」

「もう俺が手で直したほうが良いんじゃね」


 筆者がそのような邪な考えに至ってしまうのもやむなし。ハンドルはもうどうしようもないから交換だろう。塗装も再塗装確定だ。ベルもバネをハメ治しだ。


 結局整備士資格のない上司のほうが筆者より上手なので彼が担当した。整備士資格とは何だろうか。


 これは数を頼んで買った代物だが、一応仕入れ一万円を超える商品である。そんなもの商品じゃねえ! と仰るお客様もいらっしゃるがこれが実態である。我々が舐められているか、このようなバカげた商品しか納入できない程度の報酬しか我々が払っていないのかどちらかといえば双方である。



 ソニーも台湾に吸収合併された。

 かつてトーイと呼ばれ壊れる代名詞だった日本製品はJIS規格によって製品保証されたが一時的にJISに合致していればそれでいいという怠慢でも産んだのではないだろうかと疑いたくなる。

 そのうち日本は天皇制だけ維持して中国や台湾に吸収合併されるんじゃねえだろうか。いやまじで。とあっちのほうのコラムの文体ならぬ口調で書きたくなるがこんなものであり、販売店の努力次第で少し品質が向上する状態である。


 格安量販店にお勤めの整備士の皆様は頑張ってほしい。いや、筆者の知っている近所の量販店には常駐の整備士や技師などは存在しないが。


 フレームは辛うじて国内生産を死守しているが、二〇年前の状態の良いフレームを再塗装したものと今のものでは溶接が簡素化されているため昔のモノのほうがいい。他の部位は上記の通りお察しである。

 ギア。歯車も簡素化されている。これは貸自転車の話だが、勘のいいお客様は『古いほうが性能よくないか』とご指摘する。ほとんどのお客様は新品で綺麗な自転車に乗りたがるがその方は状態の良い古い自転車は無いかと仰る。

 ぶっちゃけチェーンにせよベルにせよ塗装にせよ昔の部品のほうが良いので貸自転車に関しては再塗装して一部を新品と換装して車体を使おうかという案が出ている。



 日本の町工場の部品技術はせかいいち~~(棒)。


 これは遅れてきたエイプリルフールである。

 間違っても事実じゃない(はずだ)。

 自転車の部品メーカーは町工場が多かったとか、国内で作るくらいなら中国に拠点持っていったほうが安いらしいので結果国内技術が全滅したということを解説しておくがこれは当然筆者の冗談どころか妄言のレベルなので信じてはいけない(たぶん)。というか筆者が信じたくない。

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