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自転車安全整備士、自転車技士、車いす安全整備士試験覚書  作者: 鴉野 兄貴
技師筆記試験は おぼえげーだ

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【コラム】殺人光線LEDライト

 20世紀は白熱電球が照らした。21世紀はLEDが照らすとはスウェーデン王立科学アカデミーのノーベル賞受賞理由であり名高いと思われる。

 LEDライトは高性能、コスパ高くそして軽い。自転車の装備品として急速に普及してきた。

「アレ、良いすよね」「パクるヤツいるけどな」

 先輩には思うことがあるらしい。

 ちなみに、LEDライトの中でも発電機搭載モデルは古い普通の自転車ライトの発電機を取ってニコイチ(二つの部品のいいところを取って合成する修理法)可能であり、ライトが壊れたからと言ってポイしてはいけない。


「あれは殺人光線だぞ。もっと性能落として良い」「?」


 曰く、バイク乗りの先輩にはとても怖い代物らしい。

 LEDライトの寿命はよくわからない。メーカーが言うには7割しか光らなくなったら寿命であり、その気になれば五割六割の明かりでも『おkおk』な点検をしているような会社だとスルーされる光量だったりする。

「マジで? いきなり電気がきれたりしないのか」「先日ラジオでそういっていました。光量考えなければずっとつくと」


 自転車点検整備修理において一般的な『ライトが壊れた』は当然ライトがつかなくなることをさす。

 その九割九分は接触不良であり、電球の根元の接触部にイオン塩がつくことで発生する。

 ここを適当にこすればつくようになることが大半だ。

 駄目なら発電機の根元の電線が切れていたり抜けていることを疑ったほうがいい。

 鍵みたいな小さな鉄片であっさり直せる案件であり、知っていれば修理代を払わずに済む。



「LEDは五割でも眩しい」「……?」


 取りあえず鴉野の使うLEDライトは取り外し可能の充電池式、懐中電灯として使えるモデルなのでこれを出してくる。

 光量も照射範囲も調整できる優れものである。

 一方、先輩は『これを使って。鴉野さん』と申してスモークつきのバイクヘルメットを差し出してきた。

 先輩のほうが年下だったりする。言葉遣いが変なのはそういう事情だ。


 照射角度を最大にして弱めの光を受けてみた。

 眩しい。なんじゃこりゃ。しばらく見ているとチカチカしてくる。

 鴉野の視力は1.5あったりする。

「眩しいですね」「位置は解る。でも周りの人が見えなくなる」

 自転車は普通に車道も歩道も走るし、逆位置からビームを喰らう。

 バイクはヘルメットのせいでもとより視界が乏しい。

 そして人間の視野は高速移動するとき、極端に狭くなる傾向がある。

「カウンターで逆走するチャリに遭遇したら全く見えなくなる」

 なんでも、スモークつきのヘルメットは車のハイビームをも防ぐそうだが。

「あれは(小さいけど)ヘルメットでも防ぎきれない」

 つまり、逆走するチャリは知らないところで災禍を引き起こす可能性がある。

 最後に先輩のありがたい忠告を掲載しておく。


『明るいからそこにいるのは解る。だから光は下向き足元側に向けてほしい。

 出来たら逆走せず、道路右側を走らないでほしい。

 周囲に人がいた場合、その人たちが完全に消えるのでとても怖い』


 バイクや車は歩行者や自転車乗りからみたら『怖い』かもしれない。だがそれ以上に『怖い』目にあなたは他人を晒していることがあり得る。

 自転車安全整備士を目指す、目指さないにかかわらず、逆走はくれぐれも避けてほしい。

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