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王子様は休業中  作者: 小林晴幸
いち。女装はじめました。
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7.初代王の意思





7-1 私と君との名乗りあい


 言葉が話せるようになって、少女がこちらをとっくりと眺め回してくる。

その無言の圧力に、そう言えば自己紹介もしていないと思い当たる。

だから口を開こうとした。

それが仮初めのものでも、せめて名前と、素性を明かすべきだと。

だけど私が話すよりも先に、彼女が言った。


「なんで一国の王子様が女装してるの? すごく気合い入ってるけど趣味?」


 空気が固まった。


「ねえねえ、趣味?」

 尚もきょとんと首を傾げて。

無邪気な問いに、とっさには何も答えられなかった。


だらだらと汗が流れる。

自分でも、これが何の汗なのかわからない。

ただ、冷たさばかりが意識できる汗だった。


「な、なんで王子ってわかるんですか?」

 動揺をにじませたサンドリオの言葉。

思わずといった様子でこぼれたそれに、少女がしたり顔でうなずく。

「語るに落ちたよ」

「…はっ 誘導尋問!?」

愕然とするサンドリオに、少女が生ぬるい視線を注ぐ。

そこには露骨な哀れみが込められていた。

反応を引き出されたサンドリオに、ベルリオが呆れた目を向ける。

「サンドリオ、お前って奴は…」

「先輩には言われたくありませんよ!?」

「なんだと、どういう意味だ!」

「胸に手を当てて、五分くらい考えてください。きっと心当たりも浮かびます」

 そこで実際に胸に手を当ててみるところが、ベルリオのいいところだ。


「それで、君はどうして私が王子だと?」

「さっきあの人が心の声だだ漏れだった時に「王子、王子」って連呼してたし。

後はこの場の状況から推察したんだけど、当たり?」

 そう言って、少女がベルリオを指さした。

「「「……………」」」

 私とサンドリオ、ラプランツェの冷たい視線がベルリオに殺到した。

「本当に、先輩にだけは言われたくありませんでしたね」

ぼそっとサンドリオがつぶやき、ベルリオは胸に手を当てたまま深く沈んだ。

そうは言っても、まあ、心の声のことだし。

不可抗力だとは認めるけどね。


「それで皆さんは、どうして女装なんですか。そして此処はどこですか」

 きょとんと首をかしげつつ、見上げてくる少女の瞳。

そこに純真な色を見いだし、どうしようもなくいたたまれなくなった。

とうの昔に、この場には女装男子しかいないと見破られ済みらしい。

まあ、先ほどまでの混沌ぶりを思い出せば、当然のことだけど。

純粋に気になると訴えてくる目に、どうしたものかと頭を抱えそうになった。

だが、このまま放り出すわけにもいかない。

先ほどの心の声、その嘆き。

あの中に含まれていた悲嘆の色。

込められていた気持ちが本当だと疑うべくもない。

そして嘆きの内容が確かに本当なのならば。

私には、どうしても彼女を放り出せない理由と義務があった。


 だからなるべく誠実に、真摯に話しかける。

こんな格好をしている時点で、色々と見た目からして無惨な有様だったけど。

そんなことは全て無視して、少女に自分を明かすところから始めた。

「事情の全てを説明する前に、自己紹介からはじめさせてくれ」

既に女装とばれた後だ。

本当の身分、本当の素性を明かすことはやぶさかではない。

 壁際に退避していた、側近たちを手招きで呼び戻す。

ついでなので彼らのことも紹介しようとしたら、若干、少女の警戒が高まる。

…先ほどまでの心の声を覚えていたら、仕方のないことか。特にベルリオ。

彼女の緊張をほぐすためにも、和やかに穏やかに。

まずは自分のことから彼女に教えることにした。


「私の名前はエレカルスノウ・エドレスカ・ホワイト。

既に知っているだろうけど実は男で、この国の王子をやっている………が、今は休業中」

「王子って休めるの? 休んでいいの?」

「国王の許可は取ってある。公務の全てを放棄するわけじゃない。

ゆっくりのんびり休暇を満喫するために、世を忍ぶ仮の姿として女装している」

「趣味なの? きれいな私を見てほしいとか?」

「ち、違う! これは私ではなく、私の母の趣味だ!」

「ああ…何となく理解できるかも。王子様って、美形だし?

それは遊びがいあるよね。女装させて遊びたくなるよね」

「…会ってもいないのに、母上様に共感しないでくれ」

「まあいいや。王子様が女装してまで『世を忍ぶ仮の姿』を装ってるんなら、王子様って呼ぶのはまずいよね? なんて呼べばいい?」

「それはスノウで。今は偽名としてスノウ・ホワイトと名乗っているし、元々愛称はスノウだ」

「(白雪姫かー…)スノウ様ね。うん、すっごい似合う」

「……それはどうも」

 偽名の考案者まで言い当てられて、何とも微妙な心地を味わった。


 同じ要領で側近たちの紹介をすませたときには、どっと疲れていた。

「皆さん、王子様だったり騎士だったりするのに不思議な格好、ありがとうございます。目の保養すごいです。騎士さんは笑えますけど」

 率直にして正直な少女の言葉に、ベルリオがうめいている。

何となく少女が不思議な感性を持っていることは理解できてきた。

なので、私はあまり気にしないことにして確認をとった。

「私たちの事情と、立場は理解できただろうか」

「うん。丁寧な説明をありがとう」

 そう言ってこっくりと頷く素直な様子。

彼女は次いで、もう一つの疑問として此処はどこかと尋ねた。

「此処は私の管理下にある離宮、その客間なんだが」

「あれ? 王子様は武者修行に諸国放浪に出かけた設定じゃ?」

「この女装の間は、離宮に滞在を許された王妃の遠縁が私、という設定なので」

「…その設定、すごく目立つんじゃない?」

「私もそう思うんだが、母に「その顔、その美貌で目立つのは既に確定」と押し切られた」

「なるほど。でもそれって、ものすごい憶測と誤解を呼ぶんじゃ…」

「既に呼んでいるだろうけど」

 言いながら、自分の浮かべている笑みが生温くなるのを感じた。

少女は口を半開きにして、困った様な顔だ。

「仮の住処とか、用意するつもりはなかったの?」

「この格好と母に強要された設定さえなければ、それも良かったんだ。でも一応、この姿の私は王族の末端に属していることになっている。そうなると王宮以外に寝泊まりするのは逆に不自然だ。それに元から多少の噂は覚悟している」

「ああ…会ったことないけど、聞く限り王子様の母上様はノリノリだったんじゃない? きっと王子様で持続的に遊ぶため、親戚設定にしたんだろうね」

 少女の物言いは、やけに同情的に響いた。

その意見は何ともありそうだったので、私の疲労感も増した気がする。


 さて、と一つうなずき。

少女が自分のことを私たちに教えようと、胸に手を当て切り出した。

「私の方は自己紹介もまだでしたね。私は諸国鈴蘭といいます」

 助けてくれてありがとうございますと、少女が頭を下げる。

育ちの良さを感じさせる、丁寧な頭の下げ方だった。

「すずらん?」

 聞き慣れない響きの名前に、首をかしげた。

「花の名前なの。こっちにはないのかな」

「花? ああ、もしかしたら『真意の水』が蓄えた語彙になかっただけかもしれません。

…ちなみにどんな花ですか?」

 知識欲の旺盛なラプランツェが意欲をそそられたのか、身を乗り出した。

急に花の説明を求められた少女は平然としている。

自分の名と同じ花を、よく知っているのだろうか。

存外すらすらと少女は説明してくれた。

「えーと。小さくて可憐な花ですね。私とは違って」

「そんなことはないと思うけど。君は小柄だし、十分かわいいんじゃないか?」

「ありがとう。でも花の方がずっとかわいいですよ。真っ白で見た目清純な感じがして」

「そんなに褒めるほどかわいい花なら、是非とも見てみたいな」

「ええ、本当にとってもかわいい毒花なんです」

「……………毒?」

 自分の笑顔が引きつり、そのまま固まるのが分かった。

「はい、毒。特に根っこや花に強い毒があります。可憐な毒花です」

「可憐な毒花…」

 自分でも、自分がひどく微妙な顔をしているのがわかった。


 白くて清楚で小さくて、それでも咲くをやめない可憐な毒花。

それっていったい、どんな花だ。


私の顔は疑問が丸出しになっていたんだろう。

言葉で伝える限界に頭を悩ませていた少女鈴蘭は、やがてはっと顔を上げた。

「すみません、私の荷物ってありますか?」

「ああ、それならここに」

 彼女の格好は汚れていたし、冬だというのにあまりにひどいので。

寝ている間に無断でそうするのはまずいかとも思ったが。

侍女の手によって彼女は着替えさせられ、元の衣服は洗濯に回してある。

だがそれとは別に、彼女の背負い袋はここにある。

中身はベルリオによって改められた後だが、特に危険なモノはないとのこと。

目が覚めたら返そうと思っていて忘れていた。

 彼女は両手で自分の荷物を受け取ると、大事そうに全身で抱え込んだ。

それからごそごそと手を突っ込み、何かを探す。

やがて取り出し、私たちに差し出してきたのは、小さなブローチだった。

「私、名前が鈴蘭だから鈴蘭モチーフの小物好きなの。それこそ、見つけたら思わず買っちゃうレベルで。それでこれは鞄につけてたお気に入り」

そう言ってよく見えるようにと掲げられたブローチには、確かに花の絵が。

なるほど、これがすずらん……「鈴蘭」か。

思ったよりもしとやかな印象の花に、意外の念が隠しきれない。

そんな私の様子も、全てわかっているというように。

少女はただ、朗らかに笑った。



「別名は君影草とか、谷間の姫百合。摂取すると嘔吐・頭痛・目眩・心不全・血圧低下・心臓麻痺といった症状を引き起こし、場合によっては死にます」

 付け加えられた要らない予備情報に、私の目は虚ろになった。





7-2 保護の申し出


 RPGからそのまま抜け出てきたような、絵に描いたような理想のお姫様(ヒロイン)

それが実は男だったという衝撃は思いがけず凄まじかった。

それはもう、劇的なまでに私の中の吹き荒れる全てを吹っ飛ばしてしまった。

諸々の嘆き、その衝動を、全て根刮ぎ一掃してしまうくらいに。


あまりに強すぎるショックに、私の中は真っ白に塗り替えられて。

嘆いていた全ては本当に吹っ飛ばされてしまったようで。

さっきまでは全力で嘆いていたのに。

その全てがどうでも良くなった訳じゃない。

でも、心の中が変に落ち着いてしまったのは確か。

あんなに悲観していたというのに、私の心は不思議に凪いでいた。

それを王子様のお陰だと感謝するのも、妙な気がしたけれど。



 さて、どうしようかな。

自己紹介が済んだ後、私は内心で思案に暮れていた。

だって、私、おそらくきっと異世界にいる。

ううん、本当はもう断定だってわかってる。

それでも否定したい、信じたくないと思うから。

往生際が悪い自覚はあったけど。

この期に及んで私はあがいていた。

だから、どうするべきか思案に暮れてしまう。


 異世界人だなんて言って、誰が信じる?

いいえ、そもそもそれを私は口にできるの?

口に舌が最後、どうしたって認めないといけないのに。


運良く身分ある人に保護された幸運。

それを活用できるか否かが、きっと私の運命の分かれ道。

それはわかる。でもわかるからこそ、迷ってしまう。

私はどうしたらいいんだろうって。

此処の常識も知らない。何をしたらいいのかわからない。

生活の糧を得る方法も。

立ち居振る舞いのふさわしささえ知らない。

そんな私に、一体どんな運命が待ち受けているのか…。

それを思うと、死にたいくらい憂鬱な気持ちになった。

実際に死んだりは、しないけど。


何とかうまく立ち回らなきゃ。

ここで平穏無事な毎日を手に入れるためには、目の前の大きな幸運を掴むことが…

……この王子様にうまく取り入って保護を得ることが肝要。

それぐらいは、頭の軽い私でもわかるのに。

でもその方法がわからない。

既に好き放題、衝動に任せてやらかしちゃった後だし。

それで一体どうやって、自分を売り込めばいいと言うの?

自由に振る舞った後だけに、それが心底わからなくて。

私の頭の中は人生初ってくらいの勢いでぐるぐる渦を巻いていた。


 …と、私はちょっと前向きになった心でぐるぐる悩んでいたんだけど。

それが見事杞憂に終わり、案じた全てが無駄になる。

それも今、この瞬間に。


「ところでこれは確認だけど。君、異世界からの迷い人だね?」


 ずばっとド直球に、王子様が仰って。

何その断定口調。一体どんな確信があるというの。

私は否定する答えも見つからず、正直に頷くしかなかった。

何しろ考える余裕もないくらい、まっすぐな言葉だったから。


 王子様、なんで異世界なんて単語がさらっと出てくるの?

それもさも、ふつうのことのように。

こっちでは異世界云々って、普通のことなの?

悩んでいた私は何ですか。

疑問のような悪態のような、そんな言葉が胸の内を吹き荒れた。


 だけど疑問で身動きも忘れた私に、王子様はこう言った。

「その顔を見ただけで、答えはわかったよ。君が本当に異世界の人間なら、この国には…

…僕ら、王族には君を受け入れ、保護する義務がある」

 それははっきりとした声音で、きっぱりとした物言い。

何でそんなことを断言するのかわからないけれど、とりあえず気になることが一つ。

「そんな、保護を義務にするくらい、この世界には『異世界人』がありふれてるの?」

 私だけじゃないの?

それが一番気になって、一番大切なことに思えた。

「君がどんな規模を想定しているのかはわからないけど、この世界にはたまに『異世界人』が迷い込む。それは確かだよ」

「たまに、ってどれくらいの頻度で?」

「百年に一人か二人」

 その答えを聞いて、私は露骨にがっかりした。

もっと多ければ…ううん、私が会えるくらい、たくさんいたら良かったのに。

それが私と同じ世界の出身かどうか、問題だけど。

言い知れない郷愁。憂鬱に漏れてしまう溜息。

私は故郷をしのばせてくれる誰かに会いたい。


「それでね。何を隠そう私の先祖――建国の初代王も異世界の出身だったんだ」

 王子様から、意外なカミングアウトが。

え、いきなり意外なお話くらって、私の目が白黒してそうなんだけど。

ぎょっと王子様を見上げる私に、王子様は小さく苦笑。

私の頭を軽くなでて、気になる話の続きをくれた。


「今はそうでもないけど、数百年前は突如現れる身元不明の人間『異世界人』への扱いも酷いものでね。下手したら労働力として強制労働とか」

「え、それって奴隷? 異世界人に優しくなさ過ぎじゃないの?」


 私、数百年前の人間じゃなくて良かった。

心底そう思うよ。保護してくれる国のある時代で良かった。

安堵とはほど遠い心地だけど、ささやかな幸運に本気で感謝した。


「先祖はこちらに渡って以来、とてつもない苦労を重ねることになったらしい。そこで後生の異世界人が被る苦労を少しでも減らし、快適に過ごせるように尽力しようと、この国を作った」

 それはすごい。

というより、王子様のご先祖様、ちょっとスケール大きすぎないかな。

何をやってそんな展開になったのか知らないけど、大物の気配がする。

王子様はご先祖への畏敬混じりに、しみじみと仰る。

「いわばこの国は、異世界人に居場所を作ってあげるために建国されたんだ」

「いきなり建国の理由とか、壮大な話をされても反応に困るよ。

居場所を作るためだけに国丸ごと一個作るとか、スノウ様のご先祖すごいね」

「まあね。でもそんな訳だから、我が王家には初代の意思を尊重し、異世界人を保護、場合によっては必要とする支援を与える決まりなんだ。もちろん、本人が拒否した場合は除くけど」

「それはものすごく、私にとっては都合良すぎだけど…」

「なにかな、歯切れ悪いね」

「うん。そんなこと公約しちゃったら、騙りが続出しない?」

「公にやってるわけじゃないから。さりげなく情報収集はしてるけど、表だってやってるわけじゃないから。異世界人の中には周囲に知られない様に振る舞っている人もいるしね?」

「つまり、秘密裏に保護活動?」

「そうだね。それに騙るにも、見たことも聞いたこともない異世界の人間を装うなんて、簡単にできることじゃないだろう? そんなことができるなら、作家なり役者なりになれる」

「ああ、上手に騙れる人間なら、保護は必要なさそう」

「そういうことだよ。保護するにも、ちゃんと調査はするしね。見つけた時点でしっかり生活の基盤ができていた時は、簡単な支援くらいで終わる場合もあるし」

「…こっちに迷い込んで、一番に縋ったのが貴方達で良かった」

「その点、君って凄い勘をしている。一発で僕等を嗅ぎ分けたみたいなものじゃないか。

誰にどうすれば助けて貰えるか、分かってたみたいだ」

「あの時は、本当に直感的に突進してたんで私にも何とも…」

「多分、君は勘に従って行動した方が正解だったんだよ」

 その言葉に、「本能で行動してるだろ、お前」と言われた様な気がした。



 なんとなく都合が良すぎる気もしたけれど。

向こうから私の保護を申し出てくれたのは正に渡りに船。

コレを逃したら、本気で進退窮まる。

言語の壁は改善されたとはいえ、私は依然として金無し・宿無し・常識無しの異世界人。

諸々の不安すぎるアレコレに、今にも潰れそう。

 ここでこの話を蹴るのは本気で馬鹿だと思った。

でも、私の世界には「うまい話には裏がある」という名言もあるし。

もうちょっと、詳しい話を聞いた方が良いよね?

王子達はすぐに保護という前言を撤回する様には見えないし。

私は心持ち姿勢を正して、更に突っ込んだ話を聞こうと身を乗り出した。


 

 その結果、私はやっぱり王子達の保護を受けることになった。

取り敢えずは一ヶ月、様子見で。

魔法使いの話によると、異世界人は異質なモノとして元の場所へ弾かれる事があるそうで。

その期限の上限が、大体一ヶ月。それを超すと、自然には戻れないと思った方が良いそうです。

それもこの世界によほど身体やら魂やらが馴染めない場合に限るそうだけど。

まあ、要は馴染まない存在は送り返されるって理解した。

それ本当に家に帰れるの? とも思ったけれど…

もしかしたら一ヶ月以内なら勝手に家に帰れるかもと聞いて、まずはそこに希望を持とう。

 それでも駄目だった時は、色々模索してみるつもり。

こっちで働いたりして生活の糧を得ながら地道に学んで、やることは一杯ありそう。

異世界の人間が建てた国と言うことで、王宮の奧にある秘密書庫には異世界関連の資料がこっそり集められているそうです。異世界の人間が求めれば解放してくれるそうなので、自然と帰れる可能性が潰えたら、先ずはそこで調べ物でしょう。

 親切な王子様達のもと、それがはっきりするまでは一緒にいて、色々と荷担しようかな。

面白そうだし。女装王子様がどんな苦労をするのか、見てみたいし。


 ということで。

私は当面の宿として王宮の離宮に根を張り、王子様という権威と財布をガッチリ握って。

それなりに快適そうな異世界生活がスタートするのを、不思議に凪いだ心境で受け入れた。


 沢山の疑問を吹き飛ばす女装のインパクト凄いと、しみじみ噛み締めながら。





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