・第二話
街の中心、ホテル『ギリアン』の保健室。
目の前の、太ももを銃で狙撃された男性を治癒魔法で回復している。
つくづく、使えない魔法だと、思う。
俺は生まれながら、攻撃魔法の才能がなかった。
小さい頃はよく友達に馬鹿にされたし、自分でも情けないと今でも思う。
基本的に、魔力というものは至る所に秘められる。
例えば、ここで一回手を打ってみたとしよう。
そこには、手と空気が触れることによって生じた『風』。
手と手が合わさってできた『衝撃』。
打たれた時に鳴る『音』。
他にも、『速度』、『熱』、『摩擦』……――。
色々な要素に魔力が秘められていて、それの一部をさらに利用するのが魔法だ。
先述した『風』で出来る魔力は、一般的に攻撃魔法を作りやすい。
そこに出来た魔力を抽出し、活性化させ、摺り合わせて、完成。
言うだけならば簡単だが、俺にはそれが出来なかった。
唯一出来たのが、『言霊』。
「まあどろ、いんどろれんた!」
言葉に帯びた魔力を使い、俺は魔法を使う。
一般的にはその声量や高音低音を利用するが、俺の場合は魂を抽出することが出来る。いや、それしか出来ない。
それ故、俺がこの激戦区に来る前、日本に居たころに取得した職業は『僧侶』である。柄にもなく。
「おぉ、ありがてぇぜ、兄ちゃん。そんなクールな元ヤンみたいな顔つきしてるくせに回復魔法たぁイカすねぇ」
「うっせぇ怪我人。傷口蹴られてぇか」
そう言いながら、部屋を見渡す。
ここには現在、数人の患者がベッドに横たわっている。
寝てる奴もいれば、俺らの会話を聞きながらケラケラ笑っている奴も居る。
俺はポケットに手を突っ込みながら、
「じゃぁ安静にしてろよ。騒いだりしたら外に捨てっかんな」
と言って、踵を返してドアの方へ向かう。
あいよー、という返事を背中に受けながら、ドアノブを捻った。




