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05 - ピンクな親友 エル 7才 - 前半

■05

-side : 親友ノア-


エリシエル・ホワイト。

現在7才。南の領主の双子の娘リアとノアの親友でエルと呼ばれ、従者を務めている。


性別は女性、髪は茶色で少し癖っ毛、趣味は読書。

そして、




白の国、別名”精霊に守護される国”と呼ばれるこの国において、

国王を代々務めるホワイト家に次期国王、つまりは王子として僕は生まれた。


それでなぜ南の領主の従者を務めているのか疑問に思うかもしれないが、

その理由は実に簡潔で、暗殺されかけたため身を隠しているためだ。



なんとか暗殺から逃れ、一時的に城を離れると、自分は既に殺されたことになっており、


父である王に会おうにも、暗殺の黒幕である宰相を通さなくてはならず、城に近づくことさえ叶わなかった。

殺されに行くわけにもいかず、南の村における山奥、国教である精霊教の総本山に身分を隠し身を潜めることとなる。


そしてそこで、当時4才の僕はリアとノアに出会った。

************************************回想*******************************************

-城にいた頃-

王都の城は、どんな建物よりも高くて、巨大だった。

そんな城で生まれた僕は歩けるようになってからは城を駆け回るのが大好きで、よく護衛の人を困らせたものだった。


小さな足では、いくら駆け回っても城は広くて、広くて、未開の地はどこまでも続いていた。


城だけだって踏破できなかった自分にとって、さらに大きい世界を思うと僕の胸はいつもドキドキしていった。

城から抜け出すことは叶わなかったけど、無数にある城の窓から見る景色が際限なく広がっている世界の一端を感じさせた。


窓から身を乗り出す僕に心配したのか、母は物語をよく読み聞かせてくれるようになる。

女性でありながら、王子を名乗らせなければならない娘に少しでもお淑やかになって欲しかったのかもしれない。

だからだろう。物語の内容は王子様とお姫様の恋愛などの少女が夢見るような乙女チックで実に理想的なものだった。



策略というには短絡すぎるものだったが、母の思惑は結果的に成功し、夢見るような恋愛に僕はうっとりとしてしまったのだ。

どんなにやんちゃでも僕も少女で、恋に恋するような乙女だったから。







そんな母の策略にまんまと嵌った僕は、乙女的なもの以外の書物にも興味を持つようになる。

くいつくように本を読むようになって、従者を引きずりまわしながら走り回ることはしなくなった。

所謂、レディーになったのだ。


少なくとも足を縺れさせて転ぶまで走り続けないほどには、




けれども、大人しくなっても僕の世界に対する興味は尽きなかった。

小さな瞳に映る世界は新しいものばかりで、

仮に同じものでも知識を得た前後で違うものを感じとれた。


例えば中庭の花一つ見ても、季節によるその変化を知り、花言葉を知り、

虫との相互関係を知って、知識を増す度にその花は私にとって変化し続けた。







世界は果てしなく広くて、知識は色鮮やかにその世界を変えてくれる。






今は王子を名乗っているが、国が安定するか、弟が生まれれば公に姫を名乗れるようになる。


王子様の仮面を捨てたら、城を出て世界中を見て回りたかった。


その時になれば、自分にも物語のように手を引いてくれるような王子様が迎えに来てくれるのだと信じて疑わなかった。













けれども、城を出ることは意外にも早く叶うこととなる。4才の誕生日を迎えて少したった頃だった。


父の遠征中に城で反乱がおきた。

剣と剣が鍔迫り合うよな光景を直接は見ることは無かったが、飛び散る怒号と行きかう使用人の慌ただしい姿に城の兵士同士が戦っているのだと分かった。


母に手を引かれ、馬車に乗り込む。一度城から身を隠すらしい。

繋いでくれていた手は柔らかく包みこんでくれるような暖かさを感じた。。


途中で二手に分かれる。追手を撒くためらしい。

母と離れるは嫌だったが、有無を言わせぬ雰囲気に何も言えなかった。

なぜか、母の乗る馬車には僕の代わりに良く似た子供が乗っていた。


母と手を離し、いつも護衛をしてくれていた人が手を引かれ別の馬車に乗る。

よく苦笑をしていた印象の彼の顔は見たことが無いほどに真剣だった。


夜、外から怒声が上がる。

護衛の彼が血だらけのまま山奥の教会を目指すように言い、こと切れた。

外に出ると生きている人はいなくて、転がっていた死体は仲間の護衛の人だけだった、つまり…







その後どうにか教会にたどりついた。

そしてこの教会で親友となる双子の姉妹と会うこととなる。















僕の読む物語では王子はどんな困難、例え城ほどの巨大な竜を相手にしてもお姫様の手を引き救い出していた。


僕の手はどうしようもなく小さくて、安心させてくれるように包み込んでくれる暖かさも、

歴戦の戦いを感じさせるような堅さも、力強さもなかった。



だけど、今でも思う。ただ手を引かれるだけではなく、僕が、王子が引っ張って道を示したら、




手を引いてくれた2人と、もう一度会うことができたのではないかと

第3話と同様に回想に入ったまま次の話に続きます。


今話は簡潔に言うと「主人公の親友エルはじつは死んだはずの王子で、4才の時に殺されかけて教会に保護され主人公と会った」となります。




小説から想像されるキャラと私の絵のギャップがある人もいると思います。


私としては小説だけでも楽しめてくれていただければありがたいので

絵は各話の小説に貼り付けるのではなく目次のリンク先に移動しました。


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