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04 - ピンクな妹 ノア 7才 - 後半

あけましておめでとうございます。

本編は前回の「03 - ピンクな妹 ノア 7才 - 前半」の後半です。

前回は親友のエルも含めた3人の関係の転機となる魔物の狩りの回想に突入して終わりました。


本編はその続きで回想に入ったままで始まります。

■04

****************************************************************************************


「姉さま!」

思わず姉さまに飛びつく。




「怪我は!?大丈夫!?」

「…大丈夫。それに戦ったのは村人。私は魔物をなぶり殺す戦術の成功を確認しにきただけ。危険は無かった。」



いつも通りの無表情な姉さま。


姉さまはいつもたんたんと、全て見通したようにどんなことでもこなしてしまう。

その奇抜な発想と行動に反対する人もいたが、後になればなるほど姉さまの行動が正しかったのだと証明される。


そのたびに反対していた人達の表情は驚愕に変化していった。


変わらないのは姉さまの表情だけで、

そんな姿を見てきた私にとって姉さまの変わらない表情は最も信頼できる証左だった。






「そっかー。さすが姉さま。真っ黒だね!」

思わず顔がほころび、安堵する。姉さまの言うとおり、危険はなかったのだろう。


私の自慢の姉さまが言ったことならば間違いはない。

…言っている内容は黒いけど。



「…」



押し黙ってしまっているエルに少しだけ不安な感じがしたが、無理を言って姉さまについて来る必要もなかったかもしれない。



そんな風に思考しているとランスさんがやってきた。


「リアお嬢様。魔物の死亡を確認いたしました。処理をお願いいたします。」








ランスさんは元々は中央の都市にいた国直属の騎士で、

騎士を引退した後、父さまに雇われたらしい。



でもなぜか今は姉さまの師匠兼部下で姉さまに忠清を誓っているけど…


元とはいえ騎士の忠清は高潔なものらしく、単純な雇用関係を表すものではない。

雇い主の父さまに対してもランスさんは忠清を誓ってはいない。



忠清とは主のためならば自害さえも厭わない、とても重いもので、

初老に入りかけていたランスさんでも姉さま以外に忠清を誓ったのは国そのものしかないらしい。


不思議に思った私は姉さまにランスさんが忠清を誓うまでに至った顛末を聞くと”ないしょ”と言われた。

人差し指を口の前に添えながら言う姉さまの姿は様になっているけど…やっぱり黒かった。











「…分かった。」



そんなランスさんの言葉を聞いた姉さまが魔力を行使する。

倒れ伏した魔物を中心に白く発光した幾何学的な魔法陣が地面に描かれる。


そして魔法陣の光が魔物に集まり、魔物自身が発光した。





光が収まると…特に何も変わっていなかった。




「姉さま。何をしたの?処理って?」


「…今日の夜ご飯はあれ食べるから」


「あれって…魔物を食べるの?」


思わず疑問を投げかけた私に続き、姉さまの返答にエルも疑問を持ったようだ。。

姉さまはランスさんに魔物の肉を捌く陣頭指揮をするように指示を出す。


「魔物って魔力の集まる部位以外は消えるはずだけど?」



そう、エルの言うと通りで魔物は死ぬと魔力のこもった所謂「部位」以外は消滅してしまう。

先ほどの猪風の魔物でいえば魔力のこもった毛皮か、牙のみが残る。

それ以外の肉などはいくら捌いても、死んでから10分もしたら消滅してしまう。






「…魔物が消えるのは魔物が持つ魔力の特性のせい。」


姉さまが言うには魔物の魔力は特異で、なぜか死ぬと全身の魔力が部位に集中するらしい。

そして、この世界のものは全て魔力が無いと存在が消滅してしまう。

部位が残り、他が消えてしまうのはそれが原因らしい。


先ほどの魔法は空気中にある魔力を消えていく魔物の魔力の代わりに魔物の体に集めることで他の部位の消滅を防ぐ魔法らしい。




今まで魔物は倒すには村の戦力程度では不可能で、仮に倒したとしても残る部位は少なかった。

部位は魔力が強く残り魔道具などに用いられるが、供給が不安定なので、

あまり加工が商業として発展しておらず売れたとしても二束三文で買いたたかれてしまう。


魔物は倒しても収穫が少なく、度々村を襲う害獣だった。

これは村々に集団戦術を用いた狩猟方法が考えだされなかった原因とも考えられる。


だけど、

「…これから魔物は害獣から狩りの対象になる。

魔物の食用肉は村のものと認める代わりに、

魔力のこもった魔物の部位はグレンジャー家に安価で納品してもらう契約をした。」


なるほど、と思う。これほど大きな猪の魔物だ。普通の猪の何倍も食料事情を改善するだろう。

さらには安価でも買いたたかれるよりはましな金に換えてくれるのならば村としても文句は出ない。


そして魔道具の加工のネットワークを有するグレンジャー家ならば、莫大な金に変えることができる。




村人達は集団で狩りを行う方法を知った。先ほどの魔法だって微々たる魔力そのものを動かすだけなので、

単純な攻撃魔法よりも難易度が低い。たぶん簡単に村人全員が習得できる。


危険だが、猪をかるよりも何十体分もの食料肉を手に入り、さらに金まで入るならばこれからも魔物を村人達は狩り続ける。


リア姉さまが何もしなくてもグレンジャー家の財政は潤っていく。



「姉さまは悪どいねー」


「…ふっふっふ」


姉さま、無表情で笑うのやめて。棒読みにしか聞こえない。


























「嘘だ。」














エルの言葉で空気が止まった。


「…何が?」


「今回の狩りでリアが何もしなかったなんて嘘だ。君は魔物をおびき出すという意味でも、村人を動かすという意味でも生贄だったんじゃないか?」


「ね、姉さまが生贄だったってどうゆうこと!?」


エルの口から発せられた不穏な言葉におもわず反応してしまう。



「魔物は魔力を有する獲物を好む性質がある。

リアは魔力が弱いとはいえ魔法を習ってさえいない村人よりは罠に引き込むための生き餌としては優秀だし、

村人達もリア自身が生き餌となる作戦を示すことで、魔物を村人だけで倒すなんて夢物語を納得させたんだろうね。」



「…」

姉さまは、何も話さない。

そうだ、私達は魔物が罠にかかった後に駆け付けたが、死んでいく魔物の眼は姉さまをとらえていた。



「ねえ、もし村人が失敗したり、土壇場で怖気づいたらどうするつもりだったの?あの時、魔物が狙っていたのは間違いなく君だよ?」


「…魔力の障壁を貼るつもりだった。」


「あの牙に貫かれたら障壁なんて貫通してたね。君ごと。牙以外だったとしても君の魔力じゃ防ぎきれない。死ぬつもりだったの?」


「…衝撃を逃がす方法、致命傷を避ける方法は「知っている」。…HPが1でも残って(生きてさえいたら)いたら、全回復できる(もとに戻る)んだ。問題はない。」










…姉さま、何を言っているの?









瞬間、私は姉さまの言葉の意味に血が頭に昇って沸騰した。


護身用として渡された小刀を取り出し思いっきり自分の手の甲を突き刺した。

目を見開くエルとこんな時でも無表情な姉さま。


非力な私では貫くことはできなかった。血が流れる。

でもそんなことも、痛みも気にならないほど、私は怒っていた。


そのまま、もう一度刺そうとすると、姉さまがとびかかってきて小刀を奪い取られる。


「…何をしているの、やめなさい。」


私の傷が白く発光した。エルの回復魔法だ。

姉さまの言った通り傷一つ残らなかった。


「ノア?なんでそんなことを?」


エルも私の突然の自傷行為を攻めるような表情をしている。

だから私は、


「なんで?回復できるんだから、問題はないんでしょ?」



姉さまの瞳を覗き込んで言った。

私が初めて向けた怒気に姉さまがひるむ。


「…ち、違う。私とノアは違う。」


「同じ。だって双子だよ?私も姉さまが後で治ったとしても傷なんか負って欲しくない。

ましてや、死ぬほどの大けがだったらとっても心配するし、悲しいんだよ?」



困まった感情を示す姉さまを抱きすくめる。



「…だって、この体は本物じゃなくて、偽物で、私はここにはいなくて、」



抱きしめていると姉さまは言葉をこぼす、だけどそれはいつもの断言するような力がない。

エルも私ごと姉さまを抱きしめる。


「リア、僕は君の悩みは分からない。けど君は、ここに生きているよ。だってこんなに暖かいじゃないか。」







そんな私達の言葉に姉さまは、やっぱり無表情で、


だけど、私の耳には姉さまの小さいつぶやきが届いた。

「…私は、この世界に、生きて、いる…の?」

************************************回想終了*******************************************

それから、私とエルは良く姉さまを抱きしめるようになった。

私達を感じとって、姉さまに自分がこの世界に生きているんだってもっと感じてもらいたいから。

抱きしめる度に、なんだか姉さまとの間にある壁が薄まって、近くに来てくれるように感じた。




最近では姉さまからも抱きしめてくれたりする。

私達としても姉さまに抱きしめてくれることは嬉しいから、喜んで受け入れている。



あの時以降、私の姉さまに対する見方は変わった。

自慢の姉という所は変わらないが、姉さまは完璧な超人なんかじゃなくて、とても脆い部分をもっていると分かったから。

それに姉さまの脆い一面を見てしまって以来、姉さまが可愛くて可愛くてしかたがなくなってしまった。



















視線を感じ、ふと顔を上げる。姉さまの熱い視線。

残念ながらその視線の先は私でなく私のサンドウィッチに向かっているが。



そうだ、昼ごはんを食べてたんだった。

昔の回想をしていてぼーっとしていた。



姉さまはもう自分の皿を空っぽにしていて、私とエルの皿を物欲しそうにちらちらと盗み見ている。

私とエルが向けている視線に気づくと、姉さまはびくっとした後、すーっと視線を横に逃がす。

さっきも見たけど姉さま特有の恥ずかしさを表す表現だ。















やっぱり、姉さまはかわいすぎる…



もうこれは結婚するしかない。

しかし姉さまは私達を大切にしてくれているけど、向けてくれる感情は家族としての親愛みたいだ。



だけど、姉さまには悪いが私とエルはそれだけでは満足できない。





別にエルと姉さまを取りあうわけではない。エルは姉さまにとっての親友だが、私にとっても親友だと思えるからだ。

それに姉さまが心を開いてくれたのだって、エルが姉さまの考えを見抜いてくれたからで、尊敬もしている。



そう、目指すは私とエルと姉さまの三人でらぶらぶな生活!



3人、しかも全員女性で結婚なんて認められないのでは、と考えていたがエルがなんとかしてくれるらしい。



なんとかってなんだと聞こうかと思ったが、黒く笑うエルに言葉が引っ込んだ。

頭がいいしエルも対外、黒いような気がする。



なので、後は姉さまの私達に対する好感度を上げるだけだ。

これもエルの発案で色んなことをしている。



例えば今姉さまが私達のお皿をちらちら見ているのだってエルの作戦のひとつによるものだ。


私達3人の料理は平等に盛り付けている。盛り付けの担当は私だ。

だけど、そもそも食べる量が違うから、姉さまには足りなくて、私達には少し多い量となる。

なぜ最初から、姉さまの料理の量を多くしないかというと


「姉さま?」

「…何?」



「あーん」

「…あーん。」



これのためだ。




エル曰く、食事を分けあって食べることは、関係を進展させる。

さらにはこのあーんも恋人同士や新婚の夫婦が行う動作らしい。

かわいく口を開けて待つ姉さまがかわいくて私も気に入っている。



以前間違えて食べかけのサンドウィッチを渡してしまったことがある。

食事中の姉さまは食べることに集中しているので気付かず、私が気付いたときには姉さまにサンドウィッチは頬張れていた。


エルが言うにはそれは間接キスといい、それを日常的にすればそれ以上の行為、

例えば口と口のキスなんて行為のハードルを下げことができるかも知れないなんて言っていた。

さすがに、恥ずかしくて故意にはしようとは思えなかったけど…。




もちろんエルに頼ってばかりではない。私発案の姉さまとの関係を深めるための作戦として最近料理を習っている。

姉さまは自分で思う以上に食べることへの執着が強い。料理長が知らないようなメニューをいっぱい知っているほどだ。

胃袋さえつかんでしまえば、姉さまは私達から離れなくなる…はず。




それだけじゃない、姉さまは将来領主になる。その補佐をできるように勉強も努力している。

昔から姉さまについて行って本を読んだりしていたのでこれについてはそこまで苦労はしていない。



今後も私は進み続ける。

全ては私とエルと姉さまの桃色で、らぶらぶな結婚生活のために。



主役級以外の名前が今回初めてでました。


ランスさんです。騎士で、やりなんかを使うイメージから

名前を決めました。


基本的に文章がうまいとは言えないのでせめて名前や地名だけでも分かりやすくを心がけてます。





後、「投稿・更新情報など」に次回更新情報を載せていますが週1更新くらいになりそうです。

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