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03 - ピンクな妹 ノア 7才 - 前半

投稿・更新情報を目次に追加しました。


次回更新情報も載せてあります

■03

-side : 妹-

くぅーー、と姉さまのお腹が鳴る。


そこまで広いとは言えない部屋だ良く響く。

私とエルは姉さまをじぃーっと見る。


姉さまはじっと見返した後、すーっと目線をそらした。








姉さまかわいい…。


思わずにこにこしてしまっていたが、姉さまを呼びに来た目的を思い出す。

私とエルは姉さまの手を引っ張ってお昼ごはんを食べるために部屋に向かう。




「姉さまを連れてきた~」

「遅れました。リアを連れてきました。」

「…来た。お腹すいた。」


「うむ」



お父様に声をかけてから席に着くとメイドさんが食事を用意してくれる。

端的な姉さまの言葉に空腹加減が良く伝わる。


姉さまの前に家に仕えているメイドさんがサンドウィッチの入った皿を置く。

その皿がテーブルに載ると、皿にはサンドウィッチが無かった。











…別にサンドウィッチが虚空に消えたわけでは無く、姉さまの手が空中でつかみとっただけだ。


我が家の日常的な食事風景なのだが、メイドさんは目を丸くしていた。…新人さんかな?



姉さまは細い外見とは異なり、かなりご飯を食べる。


そのまま、姉さまはサンドイッチにかぶりつき勢いよく食べ始めていた。

私も食べ始める。今日のお昼はサンドウィッチにスパゲッティだ。


ちらりと見ると、姉さまは口いっぱいにスパゲッティを頬ばっていた。

姉さまはいっぱい、勢いよく食べるけど、お行儀が悪いという印象はあまり抱かせず、ちゃんと良く噛んで食べている。

がつがつではなくもきゅもきゅ?とでもいい表わせるような食べかたをしている。




姉さま食事を楽しそうに食べる。


表情からは読み取れないが雰囲気で分かる。

姉さまの感情を読み取ることができるのは私以外にはエルだけだろう。


そんなエルは姉さまのこぼれたパンくずを取ってあげていた。

姉さまにまっすぐ見つめられてお礼を言われて頬が赤くなっている。


そんなエルの表情には気付かずに姉さまは食事を再開、

姉さまの小さな口いっぱいにサンドイッチを詰め込んで、ほっぺたを膨らませてた。







姉さまかわいすぎる…















こんな可愛い姉さまだが、基本は黒い。



先ほど抱きしめてくれた時も、何か黒い、悪事を考えていることを感じとれていた。

世界征服でも考えているのだろうか?…姉さまならありえる。

まあ、日常茶飯事だから気にしないが。



ただ、食事をしている時は黒いことを考えていないようで、無心で感情のままに食事を楽しんでいる。



姉さまは無表情とその黒さのせいで一部の人を除きあまり良く見られていない。

というか怖がられている。


聞くところによると姉さまの黒い瞳の深さは何百人もの人を殺すような大量殺人者に匹敵するらしい。

…そもそもそんな殺人者いるのだろうか?



けれども、食事の時における姉さまの可愛さは万人共通らしく、皆暖かい視線を送っている。

みれば、バスケットを奪い取られて目を丸くしていたメイドさんも姉さまの食事風景をニコニコと見ている。




以前いっそ一日中食べていればいいのではいかと姉さまに言ったことがある。

それでは動けなくなってしまうとのこと。


丸々と太ってしまった姉さまを想像し、そうなっても自分が養うことを告げると

ほっぺたを両手で引っ張られた。


















今でこそ、私とエルには心を開いてくれている姉さま。

だけれども、昔の、正確には5才までの姉さまは心を閉ざしていた。

心を閉ざすと言っても別にひきこもっていたわけではない。



当時から私にやさしく、妹として自分を大事にしてくれていた実感がある。


頭もよくて行動的で、皆に内緒らしいがすごい魔法も使える。

姉さま自身にはなんの不満もない。


だけれども、姉さまが作り出していた世界に対する壁のようなものには腹が立っていた。



その壁が少なくとも私達に対して解消されたのは姉さまが5才の時に起こった事件が原因だった。


その年は姉さまが領主になるための行動を裏だけでなく表立って開始した年で、

その事件とは、南の領土の村近くの森の魔物退治だった。

****************************************************************************************

「ゴォアアアアアッ!!?」

断末魔を上げる魔物。

猪が巨大化したような魔物が一体だけ、と言えば大したことがなく聞こえるかも知れない。、

しかし駆逐されることなく長い年月を有して成長したその巨体は四本足の状態でなお成人男性の3倍ほどの高さにもなるまさしく化け物だった。


毛皮と牙は魔力を有している。

毛皮は所々で濃淡が異なる茶色であり、魔力により強化され、弓矢どころか並みの魔法ですら弾く。


牙は自然生物のものとしては不気味なほどに白く、

その巨体を生かした突進力を付加すれば人など触れただけで粉々になってしまうだろう。


人間風情が戦うにはそれこそ戦闘訓練を積んだ騎士か、国が保護する魔法使いの集団を派遣することになる。

少なくとも、数を揃えても一般人に敵うような存在では無い。






…はずだった。

猪は巨大な穴に足を取られ絶対の威力を有した突進は封じられ、さらに何重にも体に巻きつく強靭な網によってほぼ完璧に身動きを封じていた。


とはいえ魔力を有した牙にかかれば、強靭な網とて数瞬しか身動きを封じることなどできない。

足を封じているのも所詮は穴だ、溢れるほどの筋肉から放たれる脚力に抜け出せないはずがない。

破られるのは時間の問題だった。


しかし、その数瞬で猪は丸太大の木の杭を幾重にも受け、頭部をさしぬかれた瞬間、魔物は死に絶えた。

複数人で扱えるよう、その木の杭には持ち手として縄が巻きつかれていた。

そして木の杭を持ち、魔物を刺し貫いたのは村の男たち。


そう、巨大な魔物はたかだか”村人”に敗してしまった。



未だ自分たちがこんな化け物を倒したのが信じられないのか、村人たちの茫然とした雰囲気の中、

光が失われていく魔物の目の先には、当時5才のリア姉さまが悠然と立ち、魔物を見下していた。






上でも述べましたが、投稿・更新情報を目次に追加しました。

そこで次回予告で30日までに投稿とか書いちゃったから、バイトとの兼ね合いで死にそうに…

今回の話は簡潔にいうと「主人公リアの妹ノアは姉が黒いの知っているけど、受け入れている。そして親友のエルも含めた3人の関係の転機となる事件の回想突入」といった感じです。



回想に突入したまま後半に続きます。


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