第3章第4話:共犯者の自白(汚濁の解剖)
アジトへ戻った麗子は、自らの身体を抱きしめるようにしてソファに蹲っていた。
鏡に映るロイヤルブルーのレオタードは、今や彼女にとって「自分を辱めた拷問具」の残骸にしか見えない。
「……健一……。私は、もう……だめよ……」
麗子は、震える声で語り始めた。第2章4話から続く、ゾディアックによる執拗な「調律」の記憶。
「彼は……知っていたわ。私のウエストのどの部分が、レオタードの着圧で一番敏感になっているか。私のヒップを包む生地を、どう動かせば、私が理性を失うか。……彼は、何度も、何度も、何度も……私のVラインを、指で……ねっとりと、なぞり続けたの……」
彼女は、ニップレスの跡が生々しく疼く胸元を、レオタード越しに自ら押さえた。
「胸の突起も……。ただ触るんじゃないの。レオタードの張力を利用して、私の芯まで、彼の熱を『翻訳』して送り込んできた。……クリスタルの角が恥丘に沈み込んで、あの光が消えた時……私、あなたのことさえ……忘れそうになったのよ」
それは、聖女としての彼女が、自らの不浄を健一に差し出すための「全自白」だった。
ゾディアックの愛撫は、エクリプスの他の下級怪人のような粗野な暴力ではない。麗子の肉体の解像度を完璧に見極め、彼女が最も恥じらい、隠し通そうとしてきた「女としての隙」を、レオタードというフィルターを介して悦楽に変換する、逃げ場のない芸術的な蹂躙。
「……麗子。そのすべてを、俺に話してくれてありがとう」
私は彼女の足元に跪き、彼女の震える手を、そっと自分の掌で包んだ。
「君のウエストに残った指の感触も、二つの突起に刻まれた敗北のリズムも。……そして、あの光を失った瞬間の絶望も。全部、俺が上書きする。ゾディアックの指が君を『廃人』にしようとするなら、俺の体温は、君を『麗子』として繋ぎ止めるための楔になる」
麗子は健一の胸に顔を埋め、声を上げて泣いた。
自らが感じてしまった快感、裏切られた装備への不信、そしてゾディアックの影。
その重すぎる「残滓」を、健一という共犯者に預けることで、彼女はようやく、再び戦場へと向かうための「濁った勇気」を繋ぎ止めていた。




