資料編「ゾディアックの愉しみ」〜規律の解体と翻訳の美学〜
【序文】破壊ではなく「反転」を 力任せに衣服を引き裂き、泥で汚すゾルバのやり方や、催眠で自ら脱がせるヒュノプスの術は、野蛮で美しさに欠ける。
真の支配とは、彼女が命よりも大切にしている「防具」を一切脱がせることなく、彼女の肌を外界から守るその**「強烈な着圧」そのものを、逃げ場のない「快感の増幅器(翻訳機)」へと反転させる**ことにある。
彼女が規律と信じ、窮屈さを誇りとしているロイヤルブルーの聖衣。それが自分を裏切り、敵の愛撫を数倍にして肉体へ叩き込んでくる矛盾。それに彼女が絶望し、抗えずに濡れそぼっていく様を観察することこそ、私にとって至高の愉悦なのだ。
暗い私室、グラスの中で揺れる緋色のワイン。私は独り、巨大なモニターに映し出される「記録」を鑑賞していた。
そこに映っているのは、深夜の埠頭で四肢を拡張され、ロイヤルブルーの檻の中で無様に潮を噴き上げた聖女――神代麗子の崩壊した姿だ。
(ふふ……お見事でしたよ、神代先生)
私は自らの股間に手を沈め、スラックス越しに硬くなった己を確かめる。
画面の中の彼女は、私がパンスト越しに押し込んだブルークリスタルの硬度に翻弄され、白目を剥いて痙攣している。その「先生」の仮面が剥がれ落ちた醜態こそが、私にとっての最高の媚薬だ。
今の時間は、彼女は高校で授業をしている頃だろう。
スーツの下にはレオタードはなく、ただ一点の曇りもない白いフルバックとパンストだけが、彼女の成熟した肢体を包んでいるはずだ。
だが、彼女がチョークを握り、真面目な顔で教壇に立っているその瞬間も、彼女の脳裏には私が刻んだ「翻訳」の残響が鳴り響いている。
レオタードを纏っていない今でさえ、彼女は自分の身体が「楽器」に変質してしまった恐怖に震えているはずだ。一歩歩くたび、あるいは腰を屈めるたび、下着のステッチが秘部に触れるだけで、私の指先の感触を思い出して蜜を溢れさせている……。
「……あ、あぁ……麗子」
私は自らの手を動かし、モニターの中の彼女とリズムを合わせる。
知的な女教師が、教え子の記憶と蹂躙の快感に塗りつぶされ、ただの肉の標本へと堕ちていく様。
私は自らの指を加速させ、彼女が絶頂に達した瞬間の、あの「先生」という呼び声を自らの喉で反芻した。
ドロルに晒された白、教え子に許した肌、そして私が調律した絶頂。
すべては私の手のひらの上だ。
男(健一)の愛撫など、彼女にとっては「物足りない」ノイズに過ぎない。
私の指だけが、彼女という楽器を真に鳴らすことができる。
「さあ、次のパトロールが待ち遠しいだろう? 神代先生」
私は空になったグラスを置き、モニターの中の、飛沫を上げて崩壊する彼女の顔を見つめながら、自らも深い悦楽の淵へと沈んでいった。




