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episode8 転換点

---from professor kurotaki side---


「講和・・・講和・・・講和のう。」


私はヘドリアの真意を測りかねておる。


何しろ今まで干戈を交えてきた相手じゃからのう。


いきなり講和と言われても俄かに信じられなぬわなぁ


私の地底帝国のイメージは悪い。

いきなり洞窟から攻めてきてレッドドラゴンを召喚するような連中じゃ。

基本的に洞窟に巣食うモンスターと変わらないという認識でおる。


「ふふ。戸惑っているわね。」

ヘドリアは薄く笑う。


「そりゃあのう。いままで散々いじめられてきたのに、急にいじめっ子が仲良くしようと言ってきたら疑うのよのう。」

私はヘドリアの反応を見ながら答える。


「今もレンジャーワンが出撃しているはずじゃ。一方で攻めてきて、一方で手を取り合いましょうは矛盾が過ぎるのう。」


「ああ、あれね。あれは単なる時間稼ぎ。」


「時間稼ぎ?」


「私は地上の情報を知りたかった。その調査の時間が欲しかった。そして、レンジャーワンの司令官である貴方と会い、話する時間が欲しかった。だけど今、私たちが普通に洞窟からでてきたら、それどころじゃなくなるのが目に見えていたわ。レンジャーワンと交戦になることも。私自身はレンジャーワンと戦う意思がなくともね。だから、別な人に目立つように出撃してもらったの。おかげで地上を知ることができたし、あなたにこうやって会うこともできた。大丈夫よ。あの程度ならレンジャーワンなら問題なく対応できるはずよ。」


「ふうむ。」

魔石の洞窟の正面入口から帝国が攻めてきたということでレンジャーワンが出撃したが、それがダミー・捨て駒だったとはのう。それなら正面から攻めてきたのも理解できるが、だが、信頼できるかどうかは別な話じゃのう。

仮にヘドリアの言うことが正しかったとして、平気で仲間を捨て駒にする輩を信じることができるかと考えると難しいのう。


「そうね。」

私が返事をしなかったからだろう。へドリアは人差し指を顎に当てて思案する。


「・・・私なら信じないわ。」


「で、でですよね。いっ、いきなり仲良くしましょなんて う、疑いますよね。」

へドリアの部下たちが姦しく騒ぐ。へドリアのゲンコツが彼女達の脳天に落ちたのは見なかったことにしよう。


「そうね。信頼形成のためにも相互理解が必要かしら。少し昔話をしてもよくて?」


「必要な話しであれば・・・」


「フフ、聡明な男性は好きよ。」


ヘドリアそういって近くの椅子に腰をかけた。


聡明・・・聡明ねぇ。

私は苦笑する。


私はただの研究職じゃ。なりゆきで山吹、アオイ、赤石といったレッドドラゴンのようなおっそろしい怪獣を倒せる武闘派を率いる真似事をしておるが、私自身に何らかの戦闘力があるわけでもない。


その私と対面しているひるがえってヘドリアはその山吹達と戦える実力者だし、その部下戦えるだろう連中じゃろうて。

非戦闘員1名と戦闘員3名というう構図で逆らうのは無謀じゃろうて。


聡明だろうが、聡明じゃなかろうが相手の提案にNOと言える選択肢はないよのう。


「そうね。どこからお話しましょうか・・・私達が住んでいる場所ってどうなっていると思います?」


「ふむ。行ったことは無いのでな。詳しくはしらぬ。ただ、断片的な情報をつなぎ合わせるなら、国家がいくつもあり、その国家間が洞窟で繋がっているようなイメージをもっておる。・・・そのイメージがあってるかはわからんがのう。」



「正解よ。」


ヘドリアはアンニュイは雰囲気をかもしつつ足を組みなおした。


「そうね。どのようにお話ししましょうか・・・その国って洞窟の中の国なのよ。だから『地上』のあなた方からするととても規模は小さいの。それこそ巨人1体で制圧出来てしまうほどね。」


「市や町と考えたらいいのか?」


「そうね。あなたたちのことは電気の波を拾って調べさせてもらいましたわ。驚きましたわ。様々な電気の波にのって情報が飛び交ってるのですね。お陰で情報収集も容易でしたわ。その情報を拾い集めると、あなたの言う市や町という規模間の表現は間違っていないわね。人口も3万~10万程度ですし。」


「ほう。だから巨人一人で制圧できると・・・」


私は今までに出現した巨大モンスターを思い出した。

山吹、アオイ、赤石がいたから早期撃退できているが、いなかったら難しいだろう。




「そう。でもねこの地上は無理ね。」


「ふむ? なぜそう考えたのか教えてもらってもよいだろうか。」


「この広い空。どこまでも続く地上。どこまでも逃げれるし、すぐに援軍を呼べる。『地上』このように広大だなんて思わなかったわ。」



私は考える。

イメージするに地底の国家はアリの巣なのであろう。洞窟内のふくらみの中に彼らがいう国や帝国がある。


「そして私は考えたの。これだけ広いと征服は無理とね。」


「それで講和か。」


「正解よ。頭の回転がはやい男は好きよ。」


「しかし、ヘドリアさんや。帝国は目的をもって地上に攻めてきたのであろう。講和でその目的が達成できるのか?」


「そうね。何といったらいいのかしら・・・半分条件反射みたいなものなのよ。」


「条件反射??」

私は眉を顰める。条件反射で攻められたりドラゴンを放たれたりするのは理不尽すぎる。


「そうね。どう説明したらよいのかしら・・・帝国は他の地底国家を攻めた。そしてその国を征服し、他国の資源を手に入れることができた。それで攻めれば攻めるほど豊かになった。攻めれば豊かになる。そんな価値観が生まれたところに『地上』を発見した。条件反射で『地上』を攻めようとなった。ちょっとニュアンスが違うところがあるけど、まあ、この説明が一番わかりやすかしら。」


「うーむ」


私はうなった。説明はわかりやすい。わかりやすいが攻められる方としては理不尽極まりない。

もやもやした感情が渦巻く。

そんなことで攻めてきたのか!と怒鳴りつけたくなるのを我慢する。


街の被害は誇張ではなく甚大

怪我人も出ている。

魔石の供給も滞り経済にも少なくない影響が出ている。


私自身も本案件が発生してから研究どころではなく、レンジャーワンという臨時のレスキュー隊を管理することになってしまった。


そして大切な共同研究者であるりさ教授は未だ救助できずにいる。


・・・そういった感情を押さえつける。

・・・押さえつける。

・・・冷静になれたかの?


私は内心の憤怒をため息とともに消す。

冷静にならねばならぬ。


「それでへドリアさんや。講話、講話というがそれで帝国は侵攻をやめるのか? 今までの話を聞く限りでは講和というのはお主の一存じゃろうて。帝国の意思ではあるまい。今の話を聞く限りやめるとは思えぬのう。」


「そうね。いきなりならやめないでしょうね。でも、あなたには何度も帝国の侵攻を食い止めた実績がある。そしてどこでも逃げれる広大な空と大地。これを元に征服は現実的ではないと思わせる事ができるたなら、交易しましょうという方向にシフトチェンジできると私は考えているの。」


「交易とな?」


「そう、帝国が他国を侵攻するのは他国の物資を手に入れて豊かになるため。であれば交易でもいいわけでしょ。例えば私たちが魔石を提供する。あなた方は地上の物資を提供する。」


「・・・もし、その話が現実として・・・私の手に余る話だ。私は一国立大学の研究員でしかない。なりゆきでレンジャーワンの管理もしてるが、いずれにせよ交易・・・他国との貿易は私の一存で決めることではない。」


「ふふふ。そう難しく考える必要はないのよ。物事は小さく始めればいいのよ。例えば私たちは魔石やその魔石を扱う知識を提供する。そのかわりあなたは・・・大学の予算内で私たちの欲しいものをくれたらいい。そこから始めません? そうするとあなたは魔石の研究を再開できるわ。」


ふむ・・・

停滞していた魔石の研究が再開できるのか・・・それも地底人の知識をもらいながら・・・予算内という事は研究費からか・・・それなら魔石採掘の研究費をまわせばいいので問題ない。現実的か・・・。いやしかし・・・ふむ、一番大事な事を聞かねばならぬ。


「洞窟内に私の研究仲間がいる。名前を藤リサという。彼女が洞窟内の研究所ごと崩落事故にまきこまれたのじゃよ。その捜索のためにレンジャーワンを臨時に組織しておる。そのリサ教授がいなければ研究の再開は難しい。その捜索の協力も可能かの?」


「あら、あの上から降ってきたお城のことかしら?」


「お城? たしかに研究施設は城塞基地に見えなくもないか・・心当たりがあるのか。」


「ええ。よろしければ案内してもよろしくてよ。」


この時、扉が開いた。


「! リサ姉の居場所がわかるのか!」

声をした方を見るとレンジャーワンのメンバーの一人赤石がいた。



---from Hedria side---


多少強引ではありましたがうまくいきそうね。

私はこの結果に満足した。


今、私は部下のメンドーサ・タイギ・ダル。そしてレンジャーワンの管理者黒滝。レンジャーワンメンバーのレッド・イエローと一緒にリサ教授が遭難したという研究所にむかっています。ほかにもレンジャーワンにはブルーというメンバーがいるはずだが、来ませんでしたわね。


理由は容易に推察できますわ。

彼女が裏切り者のカグヤであれば私と顔を合わせ難いでしょう。


それよりもあれが単に研究所とは驚きましたわ。

デビルフィッシュもタイタンも陥落させられなかった不沈城塞。

それが単なる研究所とは正直驚きましたわ。

なんでも洞窟内に作る研究所という事で対モンスター兵器が搭載されているとか・・・思ったよりも地上の戦力はバカにできないようですわね。


つまり、講和を結ぶ私の判断に間違いはないという事ですわね。


それにしてもレッドには助かりましたわ。

彼はリサ教授を助けたい一心で洞窟の探索をしたかったのですね。

なんでも恋仲だとか。

地上に進行してくる我が帝国兵は無粋なことに恋路の邪魔をしていたのですね。


そのレッドの行動力に驚くとともに助かりましたわ。

私達がリサ教授の居場所を知っていて、教える気があると知ると、講和に迷う黒滝教授を強引に・・・本当に強引に了解の方向にもっていきました。


その代わり私達は真っ先にリサ教授のいる研究所への案内をするということになり今に至るわけですが・・・


それにしても強いっ。


洞窟内の野生のモンスター程度では相手になりませんね。


私達でも移動には危険が伴う洞窟の移動がこれほど安全とは・・・何か皮肉を感じますわ。

まあ、あいてはレッドドラゴンを倒す強者。


レンジャーワン>レッドドラゴン>野生の洞窟内モンスター


こう考えると納得ですが、改めて敵にしなくてよかったですわ。

いつもなら何かと噛みついてくる帝国の目付け役であるダルが何も言ってこないということは彼女も同様におもっているのでしょうね。


「あれは!」

黒滝が叫ぶ。

目の前には白い巨大な建物があった。

「そうあればあなた達が探していた“研究所”よ。」


言うが早いかレッドが走って行った。


---from akaishi side---


ようやく!

ようやくだ!

日にすれば8日程度だが長かった。

未知なるモンスターの徘徊する魔石洞窟の遭難捜索。

尋常にはいかぬとは想定していたが、帝国兵とやらが地上侵攻してくるという出来事は完全に予想外であった。


そのためリサ姉の捜索には無関係な帝国や巨大モンスターと戦うなどの寄り道をせざるを得ぬなど理不尽な目にもあった。


それがようやくだ。

リサ姉の元へ行くことができる。


ヘドリアとやらには感謝せねばなるまい。

帝国は地上侵攻が目的である。当然、リサ姉の捜索に協力などせぬ。

ところがだ。

ヘドリアは進んで姉の居場所を教えてくれるどころか案内までかってくれた。

この恩はどこかで返さねばならぬ。


洞窟内のモンスターを我と山吹。そしてヘドリアの部下3名とともになぎ倒して進む。

我は「敵」としか認識していなかったが、洞窟内のモンスターと帝国兵は別という事らしい。

考えてみれば当然であるな。


ちなみにヘドリアの部下の戦力はなかなかのものである。

特にメンドーサの雷獣による遠距離攻撃は格闘戦のみの我と相性が良い。

逆にタイギの使う得物である双鞭とは相性が悪い。

何度か我の拳に鞭が絡まることがあった。

その都度、タイギが我を睨むが理不尽極まりない。

狭い洞窟で鞭と言う武器を使うのがどうかと思うのだが・・・


それはともかく、洞窟を進むと目の前にリサ姉の研究所があらわれた。

見間違えることはない。


我は施設へ走った。



そして、困惑が広がった。



「むう。」



施設内は無人であった。




---from Hedria side---


「これは・・・」

私は当惑した。


つい先日までタイタンやデビルフィッシュがこの城を包囲戦をしていました。

それがもぬけの殻なのです。


タイタンが地上でレンジャーワンの敗れ、行方不明となってからは数日、包囲が解かれていましたが、それまでは戦っていました。つまりレッドの探している彼女たちは生存していました。


我々帝国軍と戦い除けてきた相手です。洞窟内のモンスターに侵入されて捕食されたとは考えにくいのですが・・・。


幸いなのがレッドが恋人が行方不明という事態に直面していても冷静でいるということ。

いや、状況把握に懸命に努めているということでしょうか。


せっかく彼女に会えるというのに、不在だったという事実に直面し、激高してもおかしくない場面です。

人は見かけによらないといいますが、彼の内面は粗野な風貌とは違うようですね。

その激情を、懸命に抑え込もうとしているのがわかります。

おかげで助かりましたわ。

ここで彼に激高されてしまっては、講和の話も危うくなりますから。


「レッド。研究所内に争った形跡がないようです。」

イエローがレッドに話しかけます。

彼もまた冷静なタイプなので助かります。

幾度も帝国四天王の猛威を除けたレンジャーワンの強さはこのどんな時でもクレバーいられることでしょうか?


どんな理不尽な逆境であっても冷静に分析し対応しようと努力する。

これが彼らの強さ。


納得しましたわ。

努力し考動するものにしか幸運は訪れませんから。


「うむ。我もそれを考えていた。研究所の外は争いの跡があった。ヘドリア殿が道中説明してくれたデビルフィッシュやタイタンが隊を率いて攻めた跡であろう。これはヘドリア殿の話と一致する。しかし研究所内には争った跡はない。リサ姉たちは上手に研究所内の対モンスター兵器を運用し、タイタン達を撃退していたようだ。これもヘドリア殿の説明と矛盾がない。であれば、なぜ姉どころか他の研究員がいないのかー。」

「!」

「うむ? どうした。」

「レッド。あなた長文言えたんですね!」


レッドと呼ばれたおとこは微妙な顔をしましたわね。

イエローのセリフと風貌から察するに普段は寡黙なのかしら?


「もしかすると・・・自ら脱出することにトライしたかも知れぬのう。あるいは周辺調査に出たか?」

黒滝教授が研究所内のパソコンを見ながら誰に言うともなくつぶやきました。


「どういう事だ。」

赤石が食い気味に黒滝教授に迫る。

「ああ、りさ教授と通信した時にな、彼女はそんなことを言っておった。」

「ぬう。」

「妄動しないように釘は刺しておいたのだがのう。」

「・・・。」

「この施設からモンスターも帝国兵もいなくなったタイミングがあったらしい。そのタイミングでリサ教授は脱出を試みたと思われる。」

「ぬ。ではリサ姉はすでに地上に向かっていると!」

「そう急くな。リサ教授の脱出は失敗したモンスターに阻まれて研究所に戻った。その時の会話でドラウプニルがあればモンスターに対抗できる。脱出の可能性が増える。という話しになり、どちらが早くドラウプニルを複製できるか勝負しようという話しになってな。」

「ふむ。」


話しを黙って聞いていたが中々、興味深いですわね。


モンスターも帝国兵もいなくなったタイミングというのは、タイタンが行方不明になった混乱期のことでしょうか? 

それとももっと前のこの研究所攻略を担当していたデビルフィッシュが地上侵攻作戦のために一時、離れたタイミングでしょうか?


それにドラウプニルとやら。あれが彼らの強さの秘密の様ですわね。


それにしてもレッドの彼女というのは研究者にしておくにはもったいないくらいアクティブな性格の様ですわね。

研究のためとはいえモンスターのいる洞窟内に研究所をつくったり、帝国軍相手に籠城戦を挑んで防ぎきったり、隙を見て地上脱出を試みたり・・・動きながら考えるタイプの様ですわね。


「それでだ。リサ教授の研究成果に何かヒントがないか調べてみたのじゃが。」

黒滝教授が一つの機械を取り出しました。

「あっ、あっ、あれノートパソコンっていうらしいですよ。い、い、いろんな情報が入っているみたいです。」

メンドーサが黒滝教授の取り出した機械を指さした。

彼女の使役する雷獣による地上調査で判明したことのようですわね。

情報を集約するマジックアイテムですか。地上には面白いマジックアイテムがありますわね。

「これによれば・・・モンスターを魔石化するのに成功したとある。」


えっ! まさか。“守護者の卵”に手を出したの!


「さらにモンスターを利用して土の魔石を作成することに成功。更に土の魔石で洞窟を変形・成形することに成功。脱出用のトンネルを土地の魔石でつくることで洞窟脱出の可能性あり。と書かれている。」


「ぬう。それではりさ姉はやはり、研究樹の外へ」

「そうだ。それも既存の通路は使っていないだろう。この情報が真実だとすればりさ教授は土の魔石で自在に通路を作ったり、塞いだりできることになる。そして、その方法を確立できているのであれば既に地上に脱出できていないおかしい。」

「そうか! そうですね。僕達がこの研究所にたどり着けているのです。もしスムーズにその方法で脱出できたのであればもう脱出してなくてはおかしいですね!・・・ということは・・・」

イエローが黒滝教授の話を繋ぐ。

「と、いうことは脱出途中で別なアクシデントに見舞われたということじゃな。」

「ぬう!」


「・・・“守護者の卵”に手を出したのならあたりまえじゃない。」

ここでタイギが口を挟む。

タイギも私と同じ可能性を考えていたのね。

リサ教授が研究していたモンスターを魔石化するという方法はそれ以外に考えられない。


「あたりまえ? 守護者の卵とはなんでしょうか?」

イエローがタイギの言葉に早い反応を示した。


黒滝教授とやらは一見。肩書とやらで賢そうに見えるが、どうやら目先のフラッシュアイデア優先の人物のようね。


メンドーサの雷獣を使った情報収集でいろいろ調べさせてもらったけれど

掘削機とやらを使った魔石洞窟攻略を指示したかと思えば普通にレンジャーワンに洞窟探索を指示したり、その場その場ででたアイデアで動いている節があるわね。


それよりもイエローの方が打てば響く・・・利発ね。

経験上、こういう人間の方が強いわ。動きながら考える事が出来るタイプの人ね


私は黒滝教授の警戒レベルを落とし、イエローの警戒レベルをあげた。


---from yamabuki side---

「守護者の卵とはなんでしょうか?」

僕は思案する。

今までの話から分かるのは2つ


その石はモンスターを魔石に変える力がある

そしてその石に関わるとアクシデントに見舞われる


問題はアクシデントの種類です。

どんなアクシデントでしょうか?


「・・・生き物を石に変える。」

タイギさんは僕の質問に端的に答えてくれました。

が、その短い言葉は事の重要性を伝えるには十分なのです。


「それはつまりリサ教授も魔石に変えられるアクシデントに見舞われる可能性があるということですか。」

「・・・そう言っている。」


それを聞いた赤石くんが駆けました。

その行動は読めたので僕は待ったをかけます。

「レッド、闇雲に探しても意味がありません。」

レッドは踏みとどまり僕を睨みます。

といっても僕を恨んでいるわけではないのはわかってます。

リサ教授の危機に焦っているだけです。


しばしの沈黙の赤石クンが口を開きました。

「・・・何か方法があるのか?」

「はい!」

僕はその方法を伝えます。

「メンドーサさんの雷獣にお願いしてみてはいかがでしょうか?」

メンドーサさんの雷獣は地上の電波を拾って短時間での情報収集に成功してます。

で、あるならば、リサ教授のスマホ。またはそれに準じる機器の電波を拾えるのではないでしょうか?」

発した僕の言葉。そしてここにいる全員が一斉にメンド-サさんを見ます。

「え、えええーっつとぉ!」

焦るメンドーサさんの前に赤石クンが前に出ます。

ズイッというオノマトペが聞こえてきそうです。

「頼む。」

レッドがメンドーサさんに土下座しました。

そうですよね。リサ教授を救うためにいままで頑張ってきました。ここで止まるという選択肢は赤石クンにはありません。

赤石クンは形振りに構ってられないのです。

「僕からもお願いします!」

僕も一緒に土下座しました。

「えっ。えっ。えーっとぉ。」

メンドーサさんはちらりと上官であるヘドリアさんを見まてます。

「助けてあげて。」

ヘドリアさんがメンドーサさんの意思決定の手助けをしました。

「は、はい!」

メンドーサさんがヘドリアさんの後押しを受けて雷獣を飛ばします。

ずんぐりむっくりのかわいらしいフォルムの雷獣たちは、電気に、そして電波に変化し消えました。

それも一瞬。

すぐに一匹の雷獣が戻りメンドーサさんに耳打ちしています。

それにしても早いです何か発見したのでしょうか?

「こ、こ、こっち!」

メンドーサさんが小さな足をとテトテト動かしながら案内し始めました。

僕達もついていくことにしました。


---from Hedria side---


「おい。」

ダルが小声でアタシに耳打ちする。

「なにかしら?」

私は不快を表に出さないように答える。できたかしら?

子飼いのメンドーサやタイギとちがってダルは帝国付きの目付けです。私に対する言葉遣いには敬意も品位のかけらもありません。

「好機だ。」

「・・・あら、なんのことかしら。」

「とぼけるな。レンジャーワンは2人しかいない。この洞窟の区画を土魔法で封鎖。奴らを洞窟内に封印すれば労せず倒せる。」

「随分と野蛮なことをおっしゃるのね。そうなると講和にはなりませんのよ。」

「講和の必要があるか? レンジャーワンがいなくなれば帝国に対抗できる戦力は無いはず。あとは力で言う事を聞かせたらいい。」

「・・・・。」

「おい。聞いてるのか?」

「私はね。昔、地の国で働いていたわ。」

「? おい。何の話をしている。」

「その地の国は滅んでしまった。その時に一緒にいた弟も離れ離れになったわ。」

「それがどうした? 戦乱の習いだろう? そんな話はごまんとある。」

「戦乱の習い・・・ね。 アタシね・・・今でも思うの。あの時、諦めずに探していたら・・・ってね。」

「? それが、今の状況と何の関係がある!」

「あのレッドとかという青年。これだけ理不尽な事があっても彼女の捜索を諦めてないわ。応援したくなるじゃない。」

「!」

私はスッとダルから離れた。


---from akaisihi side---


「ぬう。」

りさ姉よ。行動力がありすぎるわ。


やっとだ。

やっと崩落した研究所にたどり着いたというのにすれ違いとは。


まあ、そんな大人しい人であれば、そもそもモンスターのいる洞窟内に研究所を作ろうとは思わぬ。


そんな大人しい人であればタイタンやデビルフィッシュが攻めてきた時点で大人しく捕まっていたであろう。


そして、そんな人だからこそ、自力での突破をめざした・・・か。


しかたあるまい。

自分に言い聞かす。

そんな彼女だからこそ助かったことは多々ある。


我が家は両親が不在である。

それを理由にいじめられたことがある。


今思えば、子供のやることだ。

虐める理由なんて、なんでもよかったのだろう。


自分には当然にあるものが、他人にはない──その優越感が、行動の動機になるのだ。

いじめる側というのは、えてして「持っている」側なのかもしれない。

そんな中、何度も自分を救ってくれたのが彼女だった。


もっとも、彼女らしく方法はまるでスマートではなく、基本的に腕力だった。

おかげで、――大げさに言えば――彼女には生傷が絶えなかった。

自分のために傷つく彼女を見て、心配になって問いかけると、


彼女は不思議そうな顔をして言った。


「当たり前でしょ」


そのあと、少し照れたように笑って続けた。

「好きな人が困ってるのに、助けないわけないじゃない」

そして冗談めかして、にかっと笑いながら言った。

「だからさ、今度はあなたが強くなって、私を守ってよ」


それからだ。我は鍛錬に鍛錬を続け、気が付けば魔石洞窟内上層部の雑魚モンスター程度は倒せるまでになった。リサ姉を守る力を手に入れた。そう思っていた。


が、実際はどうであろう?

洞窟内での遭難という危機に対し、守るどころか会えもせぬ。

なんと理不尽な事か!


それでも

それでもだ。


我は諦めるわけにはいかぬ。

漢が守ると誓ったのだ。


前へ進むしかあるまい。

理不尽さで足をとめたらそこでおわりである。



---from professor kurotaki side---


「これは・・・」

私は当惑の声をあげる。


私たちはメンドーサ殿の使役する雷獣がキャッチした微弱な電波を頼りに進んでおる。

その雷獣が探り当てた通路は明らかに正規のルートではなく、人為的に開けられた穴であった。

さらにルートを隠すかのように非常に分かりにくい場所にあった。

「これは普通に探しては、見つからぬな。」

私は肩をすくめる。


「えっ。えーっと。すいません。」

なぜか、道案内をしてくれてるメンドーサ殿に謝られた。

「・・・地上人は変。」

メンドーサ殿に続くタイギ殿の言葉に私は首をひねる。

「変?」

「・・・私たちは素直にダンジョンの通路にしたがってモンスターを倒しながら進む。地上人はダンジョンの壁・天井・床を破壊して、道を作っていく。」

「ふーむ。」

タイギ殿の言わんとすることもわからんではない。


私も救出作戦の一環として重機を使用して掘削指示したしのう。レンジャーワンも巨大モンスターと戦闘するたびに1階層・・・時には複数の階層を破壊しておる。リサ教授も魔石に宿る土魔法で洞窟の天井に穴を開けて進んでおるようだしのう。

タイギ殿が変と言うのもわからんではない。


「それはともかく、リサ教授たちはなんでこんなわかりにくいところから脱出しようとしたのかのう。」

私は悪態をつく。申し少しわかりやすい場所につくってくれたならよいのにと。

「えっ。えーっと。すいません。」

なぜか、道案内をしてくれてるメンドーサ殿に謝られた。

「・・・警戒したんでしょうね。」

再びタイギ殿がこの質問をひきとった。

「警戒とな?」

「・・・推測でしかないけど、この研究所とやらは私たちに攻められていた。道中にはモンスターもいる。気づかれない場所から脱出という発想はまともだと思うわ。」

「ふむ。なるほどのう。」

私は顎をさする。ひげ跡が指に当たる。

今日はそういやひげをそってこなかったのう。

タイギ殿が言外に「そこまで説明しないと理解できんのか、君は?」とでも言いたげだが、聞こえないふりをでもしておこうかの。


しばらく進む私たちの前に地響きと同時にモンスターが現れる。


「あっ ああっつ あれは!」

「・・・まずいわ。」

メンドーサとタイギが慌てた声をあげる。

ん。何がまずいのかの?

「今まで通りの洞窟内のモンスターであろう?」

洞窟内のモンスターはいままでレンジャーワンやヘドリア達が無難に駆逐してきた。あまり危機感がわかない。


「・・・ばかね。ここはあなたのお仲間のりさ教授が作った通路。通常のモンスターは出ないとは言わないけどでにくい。・・・そして最悪なのにあたったわ。あれは守護者よ。」


「守護者? 何かを守っているのかね?」


「昔からそう呼ばれている化け物どもだ。洞窟を破壊するとまるで洞窟を守るかのように現れるからそう言われているらしいがなっ!」


そういってダル殿は両手から剣を発生させた。幅広の質量のある剣だ。臨戦態勢に入ったということだろう。


しかしダル殿は無から剣という物質を生みおったか。帝国の魔法技術は私の想像を超えたところにあるようじゃのう。実に羨ましい。私の技術ではせいぜい魔石のエネルギーを電気エネルギーとして活用する。火の魔石を変換しての熱量エネルギーとして活用するといった、単純なエネルギーとしてしか活用できてないからのう。


それにしてもリサ教授が心配じゃな。

守護者とやらが、洞窟を守っており、その洞窟を傷つけた者を排除するために出現するするとしたら、まさにりさ教授の行為こそそれじゃ。


洞窟に穴をあけておるからのう。


「ん? それならなぜ、地上には守護者は現れんのじゃ?」


私は素朴な疑問を呟く。


レンジャーワンの面々は洞窟を破壊していた。

敵のタイタンの部隊も横穴を掘っておった。

私自身もリサ教授救出作戦のため重機で掘削作業をおこなっておったぞ。」



「私が知るかっ・・・昔から守護者が出現するエリアとそうでないエリアはあったけどな。地上付近は出ないエリアだったってだけだろ。」


そういってダルは両手に発生させた剣を開店してひねりを加えると同時に投げた。

守護者と呼ばれたモンスターに突き刺さる。


「皆様、あのモンスターはダルを中心にお願いしますわ。守護者は守護者の卵と同じ性質をを持つといわれています。つまり魔法は吸収されます。また、私達も吸収される可能性があるので近接戦闘は厳禁です。ダルのように物理での遠距離攻撃手段での攻撃をお願いします。その攻撃手段がない場合は援護に徹してください。場合によっては撤退しましょう。」

ヘドリアが号令をかける。


んんっ?ということはほぼ、戦える手段をもっているのはダル殿一人ということではないか?


赤石⇒格闘による近接戦闘 ×

山吹⇒剣による近接戦闘 ×

メンドーサ殿⇒雷獣による魔法 ×

タイギ殿⇒鞭による近接戦闘 ×

ダル殿⇒双剣による遠近両対応戦闘 〇


「私もいましてよ。」

ヘドリアが両手に銃を構えた。

そのまま乱射する。

守護者とやらの体が肉片となって吹き飛ぶ。

「おおおおおっ!」

ダルがそこに大剣を創り投げ入れた。

大剣は見事に守護者の喉笛に突き刺さり守護者は倒れた。


「おやおや、脅かしてくれる。守護者といっても、案外たいした力ではないようじゃな。」

私はそういいつつ守護者の死体の検分にいく。

研究者の性のようなものじゃよ。

出来ればサンプルを一部でもいいので持って帰りたいのう。


「バカが、守護者のいるエリアで不用意な行動はよせ!」

ダルが戦闘の興奮も冷めない状態て私に注意をする。


「まあまあ、そう怒りなさるな。見たところ、あっという間に片づけていたじゃないか。それにダル殿、美人がそんな顔をしていると、皺が増えるぞ? ははは。」


ん?


んん??? 


なんだ。


オイ。引っ張られる!


彼女が達が“守護者”と呼ぶモンスターの死骸に私の体が引き込まれる!


「う? おおおおおお・・・っつ。 があああっつ。」

守護者の死体に私の体が吸い込まれるっつ! 見ると守護者の死体に光る石がある


「あっあっ・・あれわ・・・守護者の卵!」

「・・・バカ。あれほど注意が必要と・・・」


何か聞こえるがそれどころじゃない。私の足が腕が光る石に吸い込まれる・・・いや、石に喰われる・・・。


「何をやっているっ!」

その怒号とともに石に喰われるのが収まった。

見るとダル殿が剣で石を弾いたようだ。

「がっ! しまった。」

が、そこで守護者の卵の暴食は止まってなかった。

今度はダル殿が石に喰われる。

「こ、このダル様がこんなところでっー!」


ダル殿が石に喰われた。


---from yamabuki side---


僕は何を見ているのでしょうか?

2mはあるかという石造のようなモンスターがあらわれました。

RPGでいうゴレーム、スタチューの類でしょうか?

他のモンスターと同じかと思い戦闘に入ろうとしましたがヘドリアさんの部下の方が警戒しています。なんでも守護者と言って通常のモンスターとは別ということらしいです。


僕は様子を見ることにしました。


ヘドリアさんの部下の話を聞くと魔法の類は吸い取られてしまう可能性があり、接近戦がもっと危険で生きている者を吸い込んでしまうそうです。


となるとあの守護者というモンスターに対して僕も赤石クンも攻撃手段がありません。

僕の剣や赤石くんの格闘は接近戦です。

僕は最近、炎のバリケードをだすことが出来ましたが、これは魔法攻撃でしょうし接近向けです。

スキーズによる砲撃も同様。あれは砲弾を射出しているわけではなく、魔法による砲撃です。

赤石くんも拳から電撃を放てますが、これも魔法攻撃でしょう。その他の攻撃は格闘家らしく全て接近戦用です。


そのため僕たちの出番はありません。


ヘドリアさんとその部下のダルさんが見事に物理攻撃による遠距離攻撃で倒しました。


そこまではいいのです。


そのあと、僕たちの上司である黒滝教授がおそらくサンプル採取のためだと思いますが守護者の死骸に近づきました。

その後、岩の残骸のように見えるモンスターの死骸の近くにあった光る石に吸い込まれ腕と足をもっていかれました。


そのあと、黒滝教授を救うために光る石を遠くに飛ばしたダルさんが、その飛ばした石に吸い込まれてしまいました。


問題は続きます。


その守護者が洞窟の奥から大量に顕れたのです。

概算で20体はいるでしょうか?


守護者達が呪文を唱えました。

「fjölmennr sannr・・・」


黒滝教授の片方の手足とダルを吸い込んだ、光る石が変化しました。ダルさんそっくりな姿にです。


そしてそのダルさんを残し20体の守護者は消えました。


「えっ えっ えーっとぉ。」

「・・・ダル大丈夫なのですか?」

メンドーサさんとタイギさんがダルに駆け寄ります。


「・・・・」

ダルが無言で剣を精製。その剣でタイギさんを斬りつけます。


「・・・なっ! ダル・・魅入られたかっ」

その言葉を最後にタイギさんが倒れます。


「えっ  あっ  あああつ。」

とまどうメンドーサさんにさらにダルの2撃目が迫ります。


僕は思わず走ります。

メンドーサさんを庇うために両者の間に割り込みダルの剣を僕の剣で受けます。

えっ! くっ!

なんという力でしょう。

正直、戦闘面では変身の力に頼りきりの僕の技量ではいなすことはできません。

変身のパワーを上回るパワーで押されたらそれで終わりなのです。

今、ダルさんにパワーで押されてます。


この鍔迫り合い・・・地味にピンチです。


「吐―っ!」

赤石クンが接近してくれていたようです間髪入れず掌底突きでダルを吹き飛ばしましてくれました。


「我が行く。」

「援護しますわ。」

赤石クンが偽(?)のダルさんにむかって突貫。

ヘドリアさんの二丁突撃銃が弾幕で援護します。


対して偽(?)のダルさんは剣を無限に空間に出現。同時に射出してきました。無数の剣による弾幕を展開します。


「ぬう。」

剣の弾幕を受けて赤石クンが大きく吹き飛ばされます。


「まずいですわね。Borg! borg!」

ヘドリアさんが呪文を唱えると土壁がバリケードのように展開されました。

その土壁に射出された剣が降り注ぎます。

その土壁が剣の射出威力の重量で破壊されていきます


僕も炎のバリケードを展開します。

いくつか炎のバリケードを突破してきました。

慌てて転がって割けます。


危ないですって!危ないです!


一方偽(?)のダルさんは銃弾を受けて怯みはしたものの、倒れるまでには至っていないようです。


「吐っ!」

ダルに空中から一直線に長い槍がせまります。

あれは・・・スキル幻獣の角ですね。

どうやら赤石クンは吹き飛ばされたように見せかけて幻獣の角の力で大きく跳躍し、空中から幻獣の角での串刺しを狙っていたようです。


ダルが上手に剣で槍のような角をいなします。


「フン!」

ここで赤石クンの幻獣の角の跳躍力を活かした跳び蹴りが間髪入れずに偽(?)のダルさんに炸裂しました。


この技が決まるのをはじめてみました!

いつもなら長大な角が邪魔して、跳び膝蹴りまでつながらないのですが、初めて決まりました。ある意味感動です!

さすがの偽(?)のダルさんも赤石クンの幻獣の角の力を借りた跳び膝蹴りは堪えたらしく、見た目にも相当ダメージを受けていることがわかります。


無理に立ち上がろうとしてますが、もう、動きがカクカクしています!


「オ・・・・オ・・・・オノレ!」

偽(?)のダルさんは両手をお椀の形に重ねました。

何をする気でしょう。

その満身創痍の状況で何かできるとは思えませんが・・・


-ドクン-


何やら嫌な予感がします。

偽(?)のダルさんは両手に何とは言えないのですが、人が触れてはならない、見えない「渦」が出来ているような嫌な不思議な感覚がします。


-ドクン-


偽(?)のダルさんは両手に石が出現しました。


-ドクン-


あの石はまさか“守護者の卵”でしょうか?


-ドクン-


大変です。


あのアルウィーズの原石に一番近いのは、先程跳び蹴りを放った赤石クンです。

-ドクン-


このままではダルさんと同じように赤石クンが守護者の卵に・・・!


---from akaishi side---


「ぬう・・・」

我は戸惑う。


目の前にはアルウィーズの原石とかいう魔力も人も吸い込む石がある。

おそらく、このままでは我も石に吸い込まれ、目の前のダルのようになるのであろう。


危機である。


しかしながら、その危機が迫っているにも関わらず、我が意識は別にあった。


それで戸惑っている。


-見たことがある-


のだ。


普通に考えてそんなことはありえぬ。


“守護者の卵”とやらの名前も初めて聞いた。その効能も同様である。


にも拘わらず、この“守護者の卵”とやらが人を吸い込む場面を我は知っている。


なぜだ?


それに守護者とやらの大群の中にいた3人あれは・・・


-目の前に“守護者の卵”やらが迫る。-


---from yamabuki side---


「危ないです!」

僕は赤石クンへの元へ飛び出します。

このままではダルさんのように吸い込まれてしまいます!


「こんのバカぁ! berg-nos  berja  bellr!」

罵声とともに石礫が連続で飛んできました!

これは確か土魔法ストーンバレッドの魔法です。アオイちゃんに教えてもらっていたのを思い出します。


赤石クンに迫っていた守護者の卵はストーンバレッドの魔法を吸い込み。

僕のよく知る研究対象 土の魔石に変化しました。


「そんな石ころなんて魔法浴びせて魔石にしちゃえばいいのよ! そうしたら吸い込む能力はなくなってただの魔石になる。そんな初歩的な事もわからんの!」

悪態をついてアオイちゃんが青い魔法使い変身した姿で現れます。

現れたついでにぶん殴られました。

「バカぁ! さっき黒滝を救おうとしてダルが吸い込まれたのを見なかったの! 同じことすんじゃないわよ。」

もう一つ、ポカリと頭を叩かれました。


いやぁ、でもアオイちゃんが言っているのは正論です。


さきほど、ダルさんは黒滝教授を救おうとしてアルウィーズの原石に吸い込まれました。

僕も赤石クンを救おうとしていたら同じ目にあっていた可能性は高いです。

アオイちゃんに感謝です。


「あんたっ! 石に魅入られたわね! Gandir!gandir!gandir!」

アオイちゃんが偽(?)のダルさんに向き合い、マジックミサイルを連打します。


赤石クンの跳び蹴りで大ダメージを追っていた偽(?)のダルさんは避けることもできずに的のように魔法を喰らい続けます。

「オ・・・・オ・・・・オノレ!」

偽(?)のダルさんは手にもつ土の魔石を使用したようです。


土がオーバーボディーのように集まり、偽(?)のダルさんを覆い始めました。

傍から見ると巨大化しているようにも見えます。


「甘い! スレイプ!」

アオイちゃんは機械仕掛けの騎馬を呼び出しました。

騎馬は戦いのいななきとともに眩い光を纏い土のオーバーボディーを纏い巨大化し始めた偽(?)のダルさんに突貫。

粉砕しました。



「ふぅー。これは一旦退却ね。」

その後、アオイちゃんは周囲を見ながら言いました。

「同感です。」

僕も同意します。


黒滝教授は手足を欠損し重傷

タイギさんは斬りつけられ倒れています。

ヘドリアさんも偽(?)のダルさんの飛ぶ剣を受けたらしく倒れています。

彼女の土魔法では無数の剣による弾幕を防げなかった模様です。

「ヘドリア様ぁ!」

メンドーサさんが彼女の傍で泣いています。


そして、ダルさんもいません。


これはアオイちゃんのいう通り撤退すべきでしょう。



---from akaishi side---


我は撤退中に思案する。

守護者とやらの大群の中にいた3人あれは・・・


リサ姉と研究仲間ではなかったか!


アオイちゃんは心配で一行の後をつけていました。


【次回予告】

講和を提唱した帝国四天王 ヘドリアは道半ばで斃れた。

このまま講和の道は閉ざされてしまうのか?

そして残されたメンドーサは?

次回、episode9 帝国への道

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