episode6 魔石
タイタンの上司の苦労を上手に表現できてるでしょうか?
---from professor risa side---
まずいな。
私は眉を顰める。目の前のモンスターが思いのほか手ごわい。
相対するのはゴブリンと呼んでいる緑色の小人みたいなモンスター数匹とカボチャ頭に魔法使いのロープをまとったような格好で中空を移動するモンスター。
研究所に籠城していた時は研究施設の防衛機能を活用して迎撃しているので、問題ない敵と思っていましたが誤認していたようです。
ゴブリンはちょっとの攻撃ではひるまず猪突猛進で突っ込んできますし、厄介なのがカボチャ頭。中空から炎の魔法を連発してきます。
炎の魔法の速度は大したことはないのですが連発されると逃げるしかなく、その隙にゴブリンがおそってくるのです。
研究所のまわりに帝国兵やモンスターがいなくなった隙を狙って研究所から出て、脱出のための周辺マッピングを始めたのですが・・・・早々にピンチです。
ここは逃げの一手ですね。
やはりモンスターと戦うにはドラウプニルというオーパーツが欲しいところですね。
「GYAAAAAA!」
突然、カボチャ頭が叫びますと、近くにありました岩に吸い込まれました。
状況がわからずに戸惑っていると、今度はゴブリンの一体も吸い込まれました。
残ったゴブリン達は慌てて逃げかえります。
助かったのですが、何が発生したのでしょうか?
みるとカボチャ頭とゴブリンを吸い取った岩は赤黒い魔石に変化しました。
これはよくこの洞窟で発掘される炎を発する魔石です。
これは・・・
私はおそるおそる近づきます。
「危ないですよ。」と研究所仲間が注意を促しますが、私には危険に感じませんでした。
なぜなら、私たちは普段から魔石を取り扱ってますが、一度も吸い込まれるといった事態になっていないからです。
つまりここから導かれる仮説としては
1、岩の状態だと近くの生き物を吸い込む(INPUT状態)
2、吸い込んだ後は魔石としてその特性の魔力を発する(OUTPUT状態)
という二形態があるのではないか?
そして2の状態であるならば吸い込まれる危険はない。ということではないでしょうか?となれば触れても拭い込まれることはないはず。
実際に魔石に近づき、手を取り発掘しましたが吸い込まれることはありません。普通の魔石です。
限界と想定される日まで残り57日です。
脱出の方法の一つとして地上の黒滝教授とドラウプニルを複製できないかという事を論じましたが、これは何かの解決方法を得たかもしれません。
要研究です。
---from underground empire side---
「レッドドラゴンに続きグランドドラゴンまで倒されるとは・・・」
宰相ユミルが驚きの声をあげる。
「そうね。ただ・・・タイタンの仮説は当たっているようね。あの神に匹敵するドラゴンキラーの力は3人揃わないと出せない・・・」
ヘドリーが顎に人差し指を当てる仕草をしながら前向きな方へ話を移行させる。
内心、私空気にならなかったわ。とガッツポーズを出しているのは秘密だ。
「それは、そうですが。課題はどうやってその状況にもっていくかですよ。バーンの策も敗れたようですし。」
心配性の宰相ユミルが訴えるように集まっている四天王を見る。
「ふむ。吾輩が戦った頃はとてもチームとは言えず“個人個人で戦っている印象があったが、話を聞くとそうでもないようだな。」
デビルフィッシュが腕を組む。
「「「お恐れながら!」」」
この場は帝王と宰相ユミル、そして四天王以外は入れない。
ところが、その場にタイタンの部下であるプロミネンス、ライト、ファイアが現れた。
「何だ、テメェ等引っ込んでろっ!」
タイタンが叱責する。
「待て。」
帝王がタイタンを制する。
「お恐れながら」
帝王の言に勇気をもらいプロネミンスが口上をのべる
「前回のバーンの失敗はまさにデビルフィッシュ様がおっしゃられたように、奴らは“個”であると認識したためです。」
「ほう。それはどういう意味ですかな。」
宰相ユミルが先を促す。
「やつらは特段連携をしておりませんでした。特に赤い勇者は地上にてバーンが調査を行ったところ、地下に落ちた“城”にいる女性を救うのが唯一の目的というところまで調べました。」
「うむ。吾輩と戦った時もそれが動機であったな。」
デビルフィッシュが同意を示す。
「それは赤い勇者の事情であり、青い魔法使いのカグヤ様や空飛ぶ船を操る黄色い騎士の事情ではありませぬ。そのため女性の居場所のことだけを伝えれば赤い勇者のみ釣れるというのがバーンの策でした。」
「確かにそうでしょうね。特にカグヤは逆に我々との接触は極力減らしたいでしょう。我々から離反して地上側の人間として動いているようですから。」
宰相ユミルが同意を示す。
「ええ、ですから意外なのです、損得を超えて今や地上の青い魔法使いとして活躍されているカグヤ様や無関係の黄色い騎士が、赤い勇者の姉の救出にここまで肩入れするのが。そしてそこがバーンの策が失敗した理由と愚考致しました。」
「・・・確かに意外ですね。」
「理由、動機はまだわかりませんが・・・我々、私、ヒート、バーン、ライト、ファイアは文字通り苦楽を共にした仲間です。それこそバーンがヒートの敵討ちを考えるように・・・敵の3人ももしかしたら、同じ価値観を共有しているのではないかと考えました。これではいくら赤い勇者だけを切り離そうとしても難しい。バーンの策が敗れたのも納得できます。」
「ありえねぇ。奴らが、お前ら5人と同じだって? 年月がちがうだろうが。」
タイタンが横やりを入れる
「確かにタイタン様の仰る通りです。ですがそうでも考えないと敵の動きが理解できません。そして敵の動きが理解できないと勝てるものも勝てません。」
プロミネンスがやんわり反論する
「あ? テメェ。負けたのは敵の動きを理解していない俺のせいだとでも言うのか?」
タイタンが体に魔力をたぎらせる。
「よせ。まずはプロミネンス等の話を聞こうではないか?聞けぬとあらば吾輩が相手しよう。」
ズイッとデビルフィッシュがタイタンの肩に手を置いた。
同時に蛸頭が赤から黒へ変色する。
デビルフィッシュが格闘戦ではなく、手段を選ばぬ残虐ファイトを行うときの色だ。
タイタンとデビルフィッシュの視線が交錯する。
どちらも臨戦態勢となる。
「うーん。四天王VS四天王も見世物としては面白いけど。今はプロミネンス達のお話をきいてみたいな。」
帝王はそういうと指先で丸を描く。
「ぬ。これは!」
「何しやがるっ!」
タイタンとデビルフィッシュはお互いに抱き合うような体制となり動けなくなった。
帝王は顎で合図を送った。早く話せというジェスチャーである。
「バーンの失敗は赤の勇者一人だけを手当てしたことです。3人同時であればどうでしょう? 幸いと言ってよいかどうかはわかりませぬが我ら3人残っております。我ら一人一人で奴らを分断する。これで進めとうございます。なにとぞ進軍のご許可をいただきとうございます。」
「「・・・我らに同胞の仇を討つ許可を!」」
プロネミンスの提案に合わせてライト・ファイアも許可を訴える。
「そ、それは危うい。誰か一人でも突破されれば成立しないどころか、合流の好機を与えることとなりますぞ。」
宰相ユミルが異を唱える。
「・・・我らが後れを取ると?」
「ええ、そんなことを言われるならプライドに触りますね。」
ライトとファイアが殺気立つ。
「ははははは。そうだね、矜持に触るね。ではその矜持に答えてくれよ。」
帝王が笑いながら3名に出撃許可を与えた。
「・・・御意。」
「・・・ああ。」
「ええ、見ていてください。最高の戦果をご覧に見せましょう。」
3名がそれぞれの言葉で返す。
・・・・・・
「よろしいのですか?」
宰相ユミルが帝王と二人きりになった空間で確認する。
「どっちにころんでもよいのさ。3人の策が成功したらよし、失敗したらタイタンの枷が外れる。」
「枷ですか?」
「タイタンは優秀な戦術家だよ。でも口は悪いが情に厚いところが欠点でね。部下たちの敵討ちゴッコにつきあって、本来の実力を発揮できないでいる。」
「・・・部下と言う枷を切り離し、タイタンの本領を発揮させる好機という事ですね。」
「はっはつは。どちらでもよいのさ。それよりもカグヤは殺さないでくれよ。」
「ヘドリーへ内密に言っておきましょう。万が一のことがあっても動けるように。」
「頼んだよ。」
---from Titan side---
「へっ! あいらも成長したな。」
俺は一人自分の部屋でグラスを傾ける。
あの帝王を中心とする打ち合わせの場には一定の実力者以外は入れないよう魔術による制限をかけられている。
あの場に来れたという事は、それだけの実力をプロミネンス・ライト・ファイアが備えたということだ。
単純に部下の成長は嬉しい。
自然と口角があがる。
「だが・・・あれでは負ける。」
部下の成長は嬉しいが、戦術としてみるなら、戦術でもなんでもなく博打だという事も理解している。
だが、あそこで正論をぶつけて強く反対すればどうなるだろう?
敵討ちに反対なのか!と感情論で主張されて・・・結局、出陣することになるだろう。
それもタイタンに反感をもった状態でだ。
そこまで先の展開は読めている。
だから沈黙した。
だがよぉ。
同時に可愛い部下をみすみす死なせるわけにはいなかい。そこに俺の苦悩がある。
「あいつらとの出会いは何だっけ?」
俺は記憶のページをたどる。
俺は赤の国と呼ばれる地底国家群の一つで第一戦士団長を務めていた。
地底国家同士は大群の移動が困難な洞窟の通路で結ばれており、基本的に戦争は起きにくい。
じゃあ、俺が率いる第一戦士団は何と戦う戦士の集団なのかといえばダンジョンを徘徊するモンスター。野盗。そして竜を相手とする戦士団だ。
俺の国は竜にとって過ごしやすいのか大小様々な竜が生息し、赤の国の人々と生息域を争っている危険な国だ。
それらの危険から国民を守るのが戦士団だ。
その戦士団の任務の中には村々を回るパトロールも含まれている。
その日も俺は数名の部下を連れてパトロールのためある村を訪れた。
「あん? なんだこりゃぁ。」
俺は眉をひそめた。村を守るための柵は破壊されていて意味をなしてねぇ。村も被害を受けていた。大工が忙しく走り回ってた。
「おい。何でこんな被害受けてんだ。」
俺は出迎えた村長に疑問をぶつけた。村長の言う事をダイジェスト版で書くと「竜に襲われた」という事らしかった。
竜と言ってもレッドドラゴンとかグランドドラゴンとか、そのような巨竜ではなく、二本足で走行する馬をちょっと大きくしたようなサイズの小竜の群れであったようだが、それでも村人にとってみれば脅威なことは変わりはねぇ。
「なんで逃げねぇ?」
俺は疑問を口にした。村長への聞き取りからの情報を整理すると、どうやらその小竜の群れはこの村を定期的に襲っているらしい。考えたくはねぇが餌場と認識されている可能性がある。となれば危険だ。安全を考えると村を捨てるのが一番合理的だ。
「いてっ! 誰だ。何しやがる!」
突然、背中に痛みを感じて振り向く。
そこには5人の少年がいた。
状況からみてその少年の一人が石を俺に向かって投げたらしい。
「父ちゃんから留守は頼むって言われたんだ。逃げるなんてできるか!」
少年達はそれぞれ武器をもって俺に啖呵をきった。
へえ。俺が怖くねぇのか。
面白れぇ。
「これやめんか!」
村長が慌てて少年達をとめた。
「何で止めるんだよ。悪者から村を守るんだ。父ちゃんから留守は頼むって言われたんだ。」
「この方は人相は確かに悪いが悪者ではないよ。村を守ってくれる戦士団の方だ。」
オイ、人相が悪いは余計だ! とは思うものの子供相手に本気で怒るほど無分別でもない。
「何が村を守るだ! このまえ小竜が来た時守ってくれなかったくせに! 父ちゃんたちを守ってくれなかったくせに!」
タイタンは村長を引き寄せ事情を聞いた。
先日、小竜の群れが村を襲ったときに、この5人の少年の父親は村を守るため戦い。戦死したらしい。その時に父親かた『留守は頼む』という言葉を守っているという事だった。
それよりも
「守ってくれなかった」
この言葉に俺はダメージを受けた。
確かに全ての国中の村を守れるほど戦士団の数は多くはねぇ。
竜と戦える人員となるとさらに少なくなる。
だから現実的には難しい。
だがよ。面と向かって救うべき対象である村の子供たちから言われると堪えるわな。
「おい。小僧! 次は守ってやる!」
そう言ってその場を去るのが、俺にとって唯一出来る強がりでだ。
悔しいがよ。
その後、この村の滞在日数を予定の倍に伸ばしたのは、そのことが引っかかったからだ。
小竜が襲ってきたら約束通り迎撃しようと思ったからだ。
俺の予測ではこの村は小竜たちに餌場認定された可能性が高いとみた。
だから必ずくると考えた。
だが、いくら待っても現れず、次の村へパトロールにいく限界日数になってしまった。
そして不幸は常に最悪のタイミングでやってくる。
戦士団が次の村に去った後に小竜の群れが襲ってきた。
破壊された柵などなんの役目も果たさず村は蹂躙された。
戦える大人の数も減っていたことも大きい。
あ? なんで知ってるかって?
戦士団だけ先に行かせて俺一人残っていたからよ。
なんか文句あるか?
俺に武器をむけた5人の子供も勇ましく戦おうとしたが、勝てる相手じゃねぇ。
武器は破壊され子供の一人が小竜の口に飲み込まれようとした。
「バカやろう! なんで逃げねぇって行ったろうが!」
俺はその子供と小竜の前に立ちふさがり火炎魔法の一撃で倒した。
へっ、レッドドラゴンのような巨竜ならまだしも、ブレスも出せないトカゲモドキの小竜なんざ俺にとっては雑魚だ。
強いやつがいると小竜の群れが本能で察しているのではないかと仮説をたててみたが・・・
当たったようだな。
「な、なんで・・・」
5人の子供の一人が泣きべそをかいていた。
ああ、怖かったんだな。
俺は乱暴にそいつの頭を撫でた。
「次は守ってやるっていったろう!」
といい再び火炎魔法をぶっ放し、襲ってきた小竜をまた一体仕留めた。
「おめぇらはどーすんだ? 留守を頼むって言われたんだろ? 父ちゃんによぉ。」
俺は発破をかけた。
子供とは言え男だ。プライドはあるだろう。
そのプライドは大事だ。
「留守は守る!」
5人の子供たちは俺の発破に再び武器を拾い上げた。
「おう。来いガキども!」
これがプロミネンスらとの出会いである。
その後、小竜の群れを退治し、5人の子供は俺の戦士団に入った。
そして共に戦う戦友となった。
俺はその時の情景を思い出す。
「ちっ、しょうがねぇ。守ってやるよ。」
俺ははグラスを傾けた。
グラスに映った俺の顔は苦悩に揺れていた。
---from akaishi side---
「なんと理不尽なことか!」
我は何度目かになる嘆息をついた。
我の目的はリサ姉の救出である。
そしてリサ姉は魔石の洞窟内にいる。
つまりリサ姉を救出するためには地下に潜らなければならない。
シンプルである。
しかし今、目の前で行われていることは真逆であった。
帝国軍がいたるところにあけた洞窟の出入り口の埋め戻し作業であった。
帝国が地上に出るのを防ぐためである
帝国の脅威は周知の事実である。
巨大なモンスターどころかドラゴンを送り込んでくるのである。
その脅威である帝国が来ないように通路を塞ぐ。
理由はわかる。わかるが!
我はリサ姉の救出が目的なのである。
その救出路を塞ぐというのは我にとって真逆の行為である。
更には!
その埋め戻し作業を我が行っているのである。
何故なら、その埋め戻し作業で最も効率が良いのが我が眷属シアルフであった。
そのため赤き巨人シアルフと我は同化し、埋め戻し作業をしていた。
「なんと理不尽なことか!」
なぜリサ姉を救出せずにこんなことをしてるのだろう?という葛藤が我の中におこる
いや、頭では理解している。
このまま埋め戻し作業をしないとどうなるか?
いつドラゴンが出てくるかわからない危険な穴が放置されるのである。
危険極まりないもぐら叩きになる。
であれば魔石の洞窟以外の出入り口は塞いだ方がよい。
そのあと、魔石の洞窟からリサ姉の探索にいく。
これがベストとは分ってはいるものの我の焦燥は晴れないでいた。
そのように苦悩しているときに三方から同時に爆発音が起こった。
我がその方向を見た。
その三方向の場所は知っている。
我がシアルフ使って埋め戻した場所である
「なんと理不尽な事かぁあああああ!」
と思わず我は叫んだ。
性懲りもなく帝国兵が出てきたらしい。
「我が邪魔をするな!」
我は怒りに任せて爆発音のする場所へ向かった。
---from wright side---
「・・・こちらにきたか。」
地上にあがった俺は向かってくる赤い巨人をみて戦意を高ぶらせた。
他の2地点から同時に爆発音が聞こえたのも確認しているファイア、プロミネンスも無事地上に到着したようだ。
前回、使った通路を使い地上に出撃しようと思ったところ埋め戻されていた。
どうやら地上人がやったらしい。
・・・地上人も馬鹿ではないということだ。
俺は引き連れてきた部下に土魔法を使用しての掘削作業を指示した。
埋め戻したなら、再度掘ればいいだけの話だ。
・・・問題は時間だな。
作戦ではファイアとプロミネンスと同時到着し、敵を分散させる作戦だったがこれではタイミングが間に合うかどうか・・・。
内心、焦ったが、何とか間に合い他の二人と同時に「地上」へ進出できたようだ。
今回の策は同時に三方から攻めることで敵を個別に撃破するというもので、3人同時に地上に進行しないと効果が薄れる。
そういう意味では第一段階は成功と見るべきであろう。
あとは・・・俺のところへ一直線にむかってくる赤い勇者を単体の内に倒すだけだ
ふう。赤い勇者が俺の対戦相手か・・・あのデビルフィッシュと格闘戦をし、レッドドラゴンやグランドドラゴンを屠った勇者。
いいだろう。
望むところだ。
地底で最強剣士と呼ばれた俺だ。
レッドドラゴンを倒した地上の勇者とどこまで戦えるか。腕が鳴る。
最初から巨大化してるのは想定外だがまあいい。
こちらも巨大モンスターを人化魔法で人間サイズにして連れてきている。
人化魔法を解き放てばいいだけのことだ。
プロネミンスやファイアのところに青い魔法使いや黄色い騎士が行っているだろう。
奴らに遅れをとらないようしないとな。
後で何言われるかわかったもんじゃない。
特にタイタン様には安心してもらわないといけない。
タイタン様は本当は敵討ちみたいな動きは反対なのであろう。根が正直なので態度に出ている。その反対の理由は俺達が負けると思っているからだ。
だが、これだけは申し訳ないですがゆずれない。
ここまで育ててくれたのは感謝してる。
おかげで剣では誰にも負けない自負がある。
でも、ヒートとバーンは同じ村でともに生きた仲間だ。彼らを倒されてそのままっていうわけにはいかない。前に進めない。
だからタイタン様が反対であろうとやる。
そのかわり、タイタン様に育ててもらった力で敵を倒し安心してもらう。
それが今まで育てていただいた恩返しだ。
さあ、敵が最初から巨大な戦士姿なのであればこちらも人化魔法を解いて巨大モンスターを顕現させようじゃないか。
俺はプロネミンスほど呪文が得意じゃないから先行して呪文を唱えさせてもらう。
人化魔法解除のカンペを出してと・・・
「F・・・Fimbul!Jǫtunn!Fimb・・・ぬ、何事!」
魔法のタイミングでどこか攻撃を受けた。
魔法だ。 魔法の弾幕だ! うお、これはマズイ!
部下たちがやられている。
あ! あああっ! 人化魔法の対象である巨大モンスターが人化魔法を解く前に魔法の連打でやられてしまった!
ふと見ると青い魔法使いがいた。カグヤだ! なぜカグヤがここに!
「ぐおっ!」
背中に攻撃を受けて、慌てて地面を転がり間をとる。
!
黄色の騎士もいる。黄色の騎士の攻撃を受けたのだ。
「・・・な‼ なぜだ。なぜ全員ここにいる! なぜ手分けしない!」
思わず叫んでしまった。
「なぜってそりゃあ。レッドがここにむかってたからね。」
そういって黄色い騎士は斬り込んできた。
斬撃自体は大したことはないが、カグヤの魔法の連打が厄介だ。
後退するしかない。
「普通逆だろう! 他の場所にも我が帝国兵が出現してるのは見ただろう! 被害を防ぐために手分けするもんじゃないのか!」
青い魔法使いも黄色い騎士も首をひねる。
「あんたバカ? 戦力の分散はかえって遅くなる。これが最速!」
黄色い騎士も
「マルチタスクが上手な人は、多数のタスクを同時進行していません。一つ一つのシングルタスクを終わらせてから次に動きます。同時進行はいつまでたっても終われませんよ。」
といって青い魔法使いの援護射撃を受けて斬り込んできた。
(・・・負けた!)
俺は自分の敗北を悟った。
てっきり手分けして対処にあたるものだと思っていた。
地上の勇者たちはそうではなく、一つ一つを全員で対処する方針らしい。
となると分散しているのは俺達になる。
各個撃破されることになる!
「ぐあっ!」
青の魔法使いの攻撃で剣が飛ばされた。
そこに斬り込んでくる黄色い騎士
死を覚悟する。
(無念。ヒート・バーンの仇を討てず。タイタン様の心配を晴らすことはならず・・・)
そこに爆炎が発生した。
「何事!」
見ると俺と黄色い騎士の間に爆炎による炎の壁ができていた。
それが黄色い騎士の突撃と青の魔法使いの魔法を防いでいた。
そしてそこに俺を庇うように直立する男がいた。
「・・・な、なぜ・・・」
「あ? 守ってやるっていったろう!」といい男は火炎魔法をぶっ放した・・・そこにはタイタン様がいた。
---from yamabuki side---
うーん、困りましたね。
形勢逆転されました。
地上に爆発音が発生しました。
それも一か所ではありません。
3か所からです。
情報を集めてみると3か所から地底帝国が再侵攻してきたということがわかりました。
僕とアオイちゃんは真っ先に赤石クンのところに向かいました。
場所はスマホの位置情報でわかりますから。
え? なぜ、侵攻してきた場所にいかないのかですって?
やだなぁ。
戦力の分散は避けた方がよいからに決まってるじゃないですか。
下手に三方向に分かれて相対して、互角の勝負にな戦闘時間が延びて被害拡大する。または誰か一人が負けるギャンブル性が残るよりなら、戦力を集中し一つ一つクリアしたほうが早いという判断ですね。
更に言えば赤石クンの行動はシンプルです。
敵が来たから向かう。
そのような行動をとるのは目に見えてます。
戦略も戦術もなにもありません。
ですから、赤石クンが向かうところに僕たちも向かった方が戦力が分散されずに済むわけです。
何も敵に付き合って、こちらも戦力を分散させることはないですから。
そのため、真っ先に赤石クンが向かった敵のところにむかいました。
それで敵兵を急襲し、巨大化しそうな敵も真っ先に倒し、残る敵は隊長と思われる一人のみというところで敵の幹部が現れました。
たしかタイタンとかいう炎の魔法を操る猛者です。
この僕達の作戦には一つ問題があります。
戦力集中し速攻で倒さないと帝国が進行してきた他の2方面の手当てがまったくないので地上の被害が拡大してしまいます。
そのため速やかにクリアしたかったのですが、ここでタイタンが現れるのは想定外でした。
原因は悔しいですが僕です。
僕は研究者です。
赤石クンのように格闘技の修練を積んだわけでもなく、アオイちゃんのような一国の部隊長でもありません。つまり白兵戦能力では素人です。
そのため、ライトという敵の将を倒しきれず、もたもたしている間にタイタンと言う最悪な援軍がきてしまいました。
これで形勢逆転です。
タイタンは炎の魔法を使います。
これはアオイちゃんはスキル「胡蝶の舞」で無効化はできます。
ただし、アオイちゃんの魔法も使えなくなります。
そうなると僕の素人剣法でライトとタイタンの二人を相手にしなければならないのですが・・・難しいでしょう。
僕は戦いの素人です。
二人の戦士相手に通用するものではありません。
アオイちゃんの援護をもらっても一人の将を倒しきれなかったのです。
相手が二人になったら無理です。
ですがそうも言ってられません。
僕の必勝パターンであるスキーズを呼び出すか・・・
これであれば今の目の前の問題は解決できますが・・・僕の中でそれは手詰まりになると警鐘が鳴っています。
その理由は・・・
「なんと理不尽な事かーっ!」
赤石クンが走ってきました。
巨大な鎧姿=眷属の姿をとっていたはずの赤石クンが、変身も解いて素の姿で戦場に現れました。
「ちょっ、なにしてるの? ねー。 その姿おかしいよね。ここに来る格好じゃないよね?」
アオイちゃんがすかさず赤石クンにツッコミます。
誰よりも早い条件反射で対応できるのはアオイちゃんの訓練の賜物でしょう
「うむ。移動中にシアルフが分離し、変身も解けたのだ。」
やはり。
僕の危惧は悪い方に的中したようです。
このドラウプニル。
即死ダメージを受けても問題ないとまでは言いませんが、「痛い」で済みます。
防御力だけでも破格の性能です。
それに眷属を呼び出す能力も付与されます。
このような性能をもつ道具が無制限に使えるはずがありません。
消費エネルギーの問題もあるはずです。
おそらく使用の制限時間のようなものがあるはずです。
その危惧をしていたのですが悪い方にあたりました。
結果的に赤石クンが身をもって証明してくれたのですが、やはり時間経過で変身が解除されるようです。
赤石クンはずっとシアルフ状態で埋め戻し作業をしていましたからね。
相当長い時間、変身していたはずです。
タイムリミットを超えたのでしょう。
僕も長い時間、変身し続けていると同じく変身が解除されると思われます。
それが手詰まりになるのではないかという僕の危惧です。
僕が仮にスキーズを呼んだとしましょう。
この場は何とかなったとしましょう。
しかし、まだ2方面の敵が残っています。
他の方へ行っている向かう途中にタイムリミットになり変身が解除される可能性は十分にあるのです。
「はっはー。鎧も付けずに戦場へ来るとは・・・って、なめんな―!」
タイタンが激怒の爆炎魔法を放ちます。
「ブルー! 胡蝶の舞を! レッド! 変身を! 変身はできるはずです!」
「「!」」
アオイちゃんがすかさず魔法の蝶のカーテンを展開してタイタンの爆炎魔法を無効化します。
こういう時の対応の速さは彼女の武器ですね。
赤石クンは長時間シアルフの状態でした。
変身のタイムリミットが時間ではなく、エネルギーの消費量であるなら。
シアルフを呼び出すまでは回復していなくても、変身するくらいなら回復している可能性があります。
赤石クンが僕の呼びかけでドラウプニルを操作します。
うん、明らかにスマホやパソコンに慣れていない人の操作ですね。
中空に表れたタッチパネルを人差し指でポチポチ押しています。
操作が終了しました。
「An armor changes Tor」の機械音が鳴り響きます。
赤石クンの体が派手な真紅の西洋甲冑のようなものに覆われました。
腰回りは大きなスカート装甲。肩の倍はある巨大な肩当に、膝から下もフレア装甲。右腕には二回りも大きな円筒形の腕あて。左手には腕には炎をデザインしたようなシールドが装着されまする。
「Completion! The Fighter ・RED」
機械音と共に真紅の重装戦士に赤石クンが変身しました。
僕の考えは当たっていたようです。再度の変身はそれほどインターバルを必要としないようです。
賭けでしたが賭けに勝ちました。
「ぬぅん。」
赤石クンが変身後、間髪入れず、肩から背中にかけて力を入れる。腰を捻転。腕を鞭のように広げ体に巻き付ける。
「吐ーッ!」
捻転を戻すと同時に高速で 掌底を敵にむかって突き入れました。
体がバネが戻るかのような速度で回転する。
そこから速射で繰り出される大砲のような赤石クンが得意とする片手突き。
『Mjollnir hamme』
機械音と同時に右腕装着されている二回りも大きな円筒形の腕あてから放電。
タイタンに向かって電撃が走る。
「! タイタン様!・・・・ぐぁああ!」
ライトがタイタンの盾となりまともに電撃を受けた。
「ライトぉ・・・ちい 撤退だ。」
タイタンがライトとともに消えました。おそらく転移のスクロールを使ったのでしょう。
それよりも・・・
「急ぎましょう。レッド、ブルー。敵は一つだけシンプルですが非常に厄介なことをしてきました。」
「厄介なこと?それって何さ?」
「距離です。」
---from aoi side---
よっしゃ。タイタンとライトは退けた。
のこりは2か所、そこにはおそらくタイタンの部下であるプロミネンスとファイアがいるんだろうな。
見ると巨大モンスターが出現していた。
そりゃそうだ。
あの戦闘の時間があれば人化魔法は解除できるよなー。
んー。あれはワイバーンとワイアームか。
偽ドラゴンを出してきたね。
さすがにレッドドラゴンやグランドドラゴン級を何体も集めるのは厳しかったか?
よっしゃ。
亜竜なら巨大なトカゲと変わらない。
これなら勝機がある。
この戦いで山吹は一つ心配していたことがあるらしい。
心配事を抱えたまま戦場にでたらいかんよ。
どれどれ悩める少年よ。そのお悩みお姉さんに聞かせなさい。
という訳で聞きだした山吹の心配事は戦場と戦場の距離だた。
もっといえばそれに伴う時間。
レッドドラゴンやグランドドラゴンを倒したアタシ達の最大火力
眷属7体を収束した状態である『ヴァン・アース権能収束』
この状態は3分が限度だ。
このことから山吹は眷属のような大きな力を無尽蔵に使えるのはおかしい。もしかしたら眷属も制限時間があるのではと推測したらしい。
奇しくもその推測を赤石が証明した。
赤石の眷属 シアルフ
この状態で戦場まで移動しようとして赤石だが、山吹の予測通りタイムリミットがあるらしく途中で眷属融合状態も、ついでにレッドへの変身状態も解除されてしまった。
それでも根性で戦場までたどり着いたのは赤石らしいけどね。
つまり、今いる場所からアタシのムニちゃんや山吹のスキーズで移動してもワイバーンやワイアームのところにたどり着くまでの間にタイムアウトになる可能性があるのだ。
そういう意味で今回、敵は上手な距離をとってきた。
だけどね、こちらにもまだ勝機があるんだよ。
相手が連れてきたのがワイバーンやワーアームではなくレッドドラゴンやグランドドラゴンだったらお手上げだった。
あの手の本物のドラゴンを倒すには3分しか使えない『ヴァン・アース権能収束』が必要。
レッドドラゴンクラス相手でも1体は倒せるが、そこでタイムアウトだよねー。もう一体は倒せない。詰んでいたんだなー。
だ・け・ど。
ワイバーンやワーアームは見かけはドラゴンだけどね。
強固な龍鱗もブレスも龍語魔術も魔法体制ももっていない亜竜。
強さは前に戦ったギガースと同程度。
これなら勝てる。
「イエロー! あの2匹の竜の中間地点にスキーズで移動!」
「ま、待ってください。レッドを見たでしょう。まだちゃんと検証してませんが、あまり眷属は長い時間維持できないようです。あの距離まで移動するとタイムアップでスキーズが離脱する可能性があります。そうなると対ドラゴンの決戦兵器である『ヴァン・アース』が使用できなくなります。」
なるほど、ワイバーンやワーアームは見かけはドラゴンだもんね。『ヴァン・アース権能収束』じゃないと倒せないと錯覚するわけだ。
「それは敵の術数にはまってる! あの2匹は前のドラゴンほど強くない。ギガース程度なら『ヴァン・アース権能収束』はいらない。」
「! わかりました! 来てください! スキーズ あなたの出番です!」
『イエス。マイマスター』
山吹の理解が早くて助かりますな―。
惚れてしまうぞ
私達は急いでスキーズに乗り込む。
『ふーん。』
「なによ。カグヤ。なんか文句でもあるの。」
珍しい。
こういう緊迫したシーンでカグヤが語りかけてくるのは。
カグヤはなんだかんだ言って優秀だからね。場をわきまえてる。
『いえ。青の国最高の戦術家であるアンタに文句なんかあるはずもありませんわ。』
「ちょっ 喧嘩売ってる?」
『私はもはや実体のない身ですわ。喧嘩したら勝てるに決まってるじゃないですか。そんな決まりきったことするわけありませんわ。』
「・・・やっぱ喧嘩売ってるでしょ?」
『いえいえ。一つだけ気になっただけですわ。』
「何?」
『タイタン様の動きです。』
「ん? ライトと一緒に撤退したのでは?」
『それならいいのですが・・・』
「何よ。思わせぶりじゃない。」
『ええ。オープンエンドの物語って素敵だと思いませんか?』
「生死のかかった場面で、そんなん困るわ。」
カグヤめ、煙に巻いて答えようとしない。
何を気にしてる?
『ふふふ・・・それよりも私も少しお手伝いしましょうか?』
「は?」
『要はこの空飛ぶ船スキーズでできる限りワイバーンに近づいて、レッドのシアルフ。アンタのスレイプがタイムアウトになる前に倒す時間を稼ぎたいのでしょう?』
「よくわかってるじゃない?」
『であれば、標的にこちらから近づくのもそうですが、標的に近づいてもらうのもありですわよね?』
「? そんなことできるの?」
『私には攻撃魔法はないですが、それ以外は優秀ですわ。』
「うっわ~。自分で自分のこと優秀って言ったよ。こいつ。」
『kalla draca hljóð』
カグヤがアオイのツッコミを無視して魔法を唱える。
すると遠方にいたはずのワイバーンとワイアームがこちらに向かってきた。
「チャンスです!」
山吹が好機としてスキーズの大砲の射程内に自ら入ったワイバーンとワイアームにむけて砲撃する。
ワイバーンとワイアームは何かにとりつかれたかのように砲撃を受けつつも向かってくる
何が発生しようとも敵はこちらに向かってくる。
これがカグヤの唱えた魔法「龍を呼ぶ笛の魔法」の効果。
それにしても2体同時に呼び寄せるなんてやるなー。
「悔しいけど。今は最適な魔法だな。」
『ふふ。魔術師の戦いはこうでないと』
自慢げにいうカグヤをぶん殴れないというのは残念だがしょうがない。
『マイマスター 本艦の活動時間を超過しました。一時機能停止します。』
スキーズが活動終了を告げる。残業はないらしい。
いずれにせよ山吹の仮説。「眷属には活動時間があるのではないか?」が立証されたことになった。
今いるのはワイバーンとワーアームの中間地点。
しかも向こうからこちらに近づいてきている。
めっちゃ悔しいがカグヤの敵をおびき寄せる魔法の効果だ。
この距離ならタイムアウトは気にしなくていい。
カグヤのお陰というのが気に喰わないけどな。
「来るがよい。我が眷属 シアルフ!」
赤石が自身の眷属を呼び出した。
赤石の足元に巨大な魔法陣が展開。
その魔法陣からせりあげるのは30mもある巨大な真紅のフルアーマー
その巨大なフルアーマーと赤石は同化した。
どうやら、シアルフのクールタイムは終わっていたらしい。
問題なく呼び寄せることができた。
シアルフのクールタイムが間に合わなかったら、私の眷属でなんとかしようと考えていた。
私の眷属は全部で5体いるからな。
だけど、いらんお世話だったようだ。
赤石と同化したシアルフは背にあるスラスターを噴射し斜め上空に飛び上がりながらワイバーンにむかう。
そんなら、私の相手はワイアームだ。
「おいで! フギフギ! ムニちゃん!」
召喚した機械仕掛けの鳥に乗って飛翔する。
「gandir!」
ワイアームに接敵すると魔法弾を発射。ムニちゃんも同時攻撃を行う。
ワイアームは真正のドラゴンではないのでブレス攻撃を持たない。
魔法の弾幕をまともに受け悲鳴をあげる。
「ごめんねー。今回時間が無いので一撃で決める。とどめ! スレイプ!」
私は機械仕掛けの騎馬を呼び出す。
騎馬は眩い光を纏いワイアームに突貫。粉砕した。
「GYAAAAAA」
モンスターの断末魔の声に振り返ると赤石のシアルフもワイバーンを倒していた。
相変わらず、跳び蹴りの体勢で額からランスのような長大な角を飛び出させ、ワイバーンを貫いて倒している。あいつの跳び蹴りはいつまともに決まるんだろうか(笑)
いずれにせよ。
これにて迎撃完了だ。
この後、赤石が「理不尽!」と言いながら敵が出てきた穴の埋め戻し作業をすることになるだろうが・・・まあ頑張れ。
---from aoi Titan---
「・・・タイタン様・・・申し訳ございませぬ・・・。」
ライトが文字通り満身創痍で病院に運ばれていった。
今回は助ける事ができたが、しばらく戦線離脱はさけられねぇな。
まあ、無事ならいい。無事なら。
「「タイタン様」」
振り向くとプロミネンスとファイアが片膝をついて控えていた。
「我らは悔しゅうございます。」
「ええ。このままでは終われません!」
・・・そうだろうな。だが、こいつらは今回の1件で力不足を知った。
それは逆にいい傾向だ。今なら俺の言葉も届くだろう。
「悔しいか?」
「「はい。」」
「んならやることは一つだ。」
「奴らを倒しに行くのですね!」
「阿呆ぬかせ。今回の戦いで何を見てた? 今回、ちょっと違ってりゃ勝てたんだぜ?」
「ちょっとの違いとは?」
「三方向から攻めたのはいい。最後の詰めの部分だ。なぜワイバーンといった亜竜をつかった? あれがレッドドラゴンだったら勝てたぜ。」
「ええ・・しかしながらレッドドラゴンは以前倒された1体しかおりませぬ。今はストックがないのです。」
「ならわかりきったことじゃねぇか。レッドドラゴンを3匹、味方につけるのが先だろうが! それを何でいきなり倒しに行く話になってんだよ! 少しは頭使えや! 順番を間違えてるんじゃねぇ」
「「!」」
まったく世話が焼ける奴らだ。
「おら! いくぞ!」
「「はっ」」
今は負けておいてやる。次はレッドドラゴンの軍団を揃えてからだ。
今に見てろ!
---from akaishi side---
我が携帯の着信がなる。
リサ姉からSNSだ。
無事ということに安堵するとともに、前回の魔物を吸い込む岩の話が頭をよぎる。
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魔物を吸い込み魔石と化す岩は、研究の結果 吸い込む魔物によって変化することがわかった。
今回、空飛ぶ巨大サーモン型のモンスターを吸い込ませたところ水の魔石となった。
モンスターを吸い込む岩の近くに陣取り、魔石を大量に生産。
その魔石を活用した戦闘方法による脱出を試みたが、結果は失敗だった。
先程、空飛ぶ巨大サーモン型モンスターを吸い込み水の魔石をつくったと話したと思うが、その水の魔石の魔力で高圧水流をつくり、別のサーモンを攻撃したところ魔石による水流の攻撃を逆に遡上して襲ってきた。
慌てて、なんとか撃退したものの、この方法は使えないことがわかった。
ちなみに空飛ぶサーモン型モンスターは脂がのりにのっていた。
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うむ。これはリサ姉の心配をしたらよいのか?
判断に迷う文章である。
いずれにせよ無事で何よりである。
今晩は鮭の塩焼きにするべきであろうか?
【次回予告】
タイタン軍崩壊に動揺する帝国の次の一手とは?
タイタン戦で実力不足を感じた山吹とアオイはその不足を補うために動く。
そしてリサ教授救出のために動く赤石は?
次回、episode6 それぞれの努力




