表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/30

episode30 石碑の行方

---from akaishi side---


以前、リサ姉から届いたSNSを開く


-----------------------------------------------------------------

大丈夫か? 無理してないか?

早よ助けにこい。

と言いたいところだが、こちらでミスした。

ちょっと厄介なことになっている。

今は助けに来ない方がよい。というか今は来るな。

下手にくるとお前も知ってるだろうが守護者と厄介な事になる。


なに、不便は焼き鳥とポテトサラダが食えないくらいだ。

心配無用。


いいな、ふりじゃないから。絶対にくるなよ。


あと、もし分かればで良いがこの洞窟内に石碑が並んでいる場所があるはずだ。

それがわかったら教えろ。


------------------------------------------------------------------


ここに書いている「石碑」

リサ姉の求める「石碑」の並んでいる場所。


その場所が帝都にあったかタイタンに尋ねると意外にも

「そういやぁ。それっぽい部屋があったな。」

とタイタンが言う。


ちなみにタイタンはあの戦いの後、我の言う事を聞く誓いをたてた。

だが矜持が邪魔するのか、我以外の言う事。特にアオイの言う事は反発するようだが。


ともかく、リサ姉が求めた場所をタイタンが知っているという


リサ姉はSNSで「ミスをした」それで「助けにくるな」と我に指示を送っている。

下手に行くと「守護者」と何かトラブルが発生するらしい・

さらに「石碑が並んでいる場所」の捜索を依頼している。

つまり、脱出のハードルになっている「守護者とのトラブル」を解除するためには「石碑が並んでいる場所」が必要。

このリサ姉の文脈ではそのような意図があると思われる


で、あればリサ姉を助けるためにはその場所にいくことが必要なのだ。

我はさっそく、タイタンにその場所に案内してもらった。


「ぬう。」


その場所は城の帝王が座る玉座の裏にまるで隠し部屋のようになって存在していた。


「へっ。何かのお宝部屋かと思ったが違ったらしい。伽藍堂だったぜ。」

タイタンはその部屋を見せながら言う。


「・・・すごい。」

同行していたアオイがつぶやくように言う。

「?なにがですか?」

同じく同行した山吹が聞いた。

「そうか。地上の人は元々、魔力がないから感じられないか。この部屋の中。ものすごい密度で魔力が充満している。」

「へえ。魔力ですか!」

山吹は目を輝かせている。がアオイの言う魔力は感じられぬようだ。

我にも残念ながら感じられぬ。

それよりも石碑はどこだ?

「石碑が見当たらぬが?」


「見ろ。」

タイタンは顎をしゃくる。

そこには一枚の絵画があった。

ただ芸術的なものではない。どちらかと言えば「配置図」と言った方がよいか。

その絵にはこの部屋が簡易的に描かれている。

そこには棚も描かれていた。この部屋の中央に 存在感を見せている棚である。

だだし配置図に描かれている棚と現実にある棚。この二つには明確な違いがある


配置図には15の石碑が描かれていたが、現実の棚には割れた石碑2つしかなかった。


「ぬう。」

石碑は元々、ここにあった。そして帝国が帝都を放棄する時に割れた石碑以外の13の石碑を持って行った。

そう考えると辻褄があう。


「テメェの望んだ、石碑のあった部屋だ。これで満足か?」

タイタンが我を見る。


うむ。確かにリサ姉は「石碑が並んでいる場所」とSNSに書いていた。

この場所を写真に撮り、リサ姉にSNSで送る。


これで進展があるとよいが。


「感謝する。」

我がタイタンに頭を下げるとタイタンは戸惑ったように


「おう!」


と答えた。



---from aoi side---


私の頬を汗が流れる。


なんだこれは?


私は今、赤石やタイタンと同行し、石碑がかつてあったと思われる部屋にきている。

この部屋の充満する膨大な魔力に驚いた。

魔力で息苦しくなるのは初めての経験だ。


そして私が驚いたのは、そこにあった二つの割れた石碑。

タイタンの説明から元々、ここには15の石碑があったと推測される。


そして残された石碑が割れたもののみということから、この割れた石碑は不要になったというものなんだろう。


私は割れた石碑に触れる。


そこには文字が書いてあった。

古代文字であったが魔法都市の側面を持つ青の国出身の私ならかろうじて読める。

そこには

-ファスト-

と書かれていた。


ファスト?


確か、タイタンの副官の名前だ。

タイタンが倒した副官の


私はもう一つの割れた石碑を手に取る

そこには


-ダル-

と書かれていた。


倒れたヘドリアの副官の名前だ。


私は混乱する。

なぜ、倒れた副官の名前がここにある?


割れたということは「倒れた」ということか?


「おい、タイタン。」

私はタイタンを呼ぶ。

「ああっ?」

「アンタ、この割れた石碑に書かれている文字読める?」

「ああっ? それ文字なのか? 模様かと思ったぜ。」


そうか。

タイタンはこの石碑にかつて自分が倒した副官の名前が刻まれていることは知らないのか。


「もしかしたら副官と何か関係があるのか? その割には私の副官。カグヤの石碑がない。」

『それは、そうですわ。私は生きてますから。』

私の独り言を聞いてカグヤがツッコム。


生きている??

肉体を失ってスキルになっても生きているって言えるのか?


それはそうと

「カグヤ、アンタ、いろいろ知ってそうね。吐いてもらうわ。」

『ほほほ、どうやってですの。お姫様。今の私には実態はありませんわ。脅しは効かなくてよ。』


ぐっ、そうなんだよ。

「正直に知ってること話す気にならん?」

『それはアンタの態度次第でしょうね。』


ぐっ。

こんにゃろ、素直に言う気はねぇな

とりあえず、私はファストとダルを古代文字で書かれた割れた石碑を研究するためポーチにしまった。


---from yamabuki side---

僕は帝都の城をメンドーサさんと一緒に探索しています。


このお城。


ゲームでいえばラストダンジョンになるのでしょうか。

それらしい、内観と迷路のような通路をみてそう思いました。


やはり・・・


と言えばなんですが、ゲームと現実は違うようです。


ラスボスとも言える魔王ならぬ帝王はすでに別な場所にいますし、このお城を攻略するにあたってRPGのように城の中を少人数パーティで進むという事もありませんでした。


さて、僕がメンドーサさんと一緒にいるのはデートではありません。

地上の伊藤女史と連絡をとるためです。


彼女の使役する雷獣の特性、電波通信は便利です。

メンドーサさんには電波塔の代わりを常にさせてしまい申し訳ありませんが、伊藤女史の知恵を借りたいのです。


「・・・こ、こ、ここなら大丈夫だと思います。」

メンドーサさんがこの場所なら地上との通信可能だと教えてくれます。


僕はスマホを取り出します。

地底で地上と連絡をとるためにはスマホとメンドーサさんの雷獣の電波の合わせ技が必要なのです。


「山吹です! 伊藤さんですか!」

「うぉっ、ふがふふふ、ごっくん。な、何、山吹さん。」


・・・なんでしょう。何かを飲み込むおとがしましたが、お食事中だったのでしょうか?


「石碑の場所が見つかりました!」

「へえ。りさ教授が探していた場所ね。良かったじゃない。といいたいけど、今、このタイミングで電話をかけてきたってことは何か相談がありそうね。」

さすが伊藤女史です。彼女は頭の回転が速いです。だからこそ相談できます。

「石碑の場所には割れた石碑が二つありました。」

「割れた石碑・・・それがどうかしたの? りさ教授も探していたってことはただの石碑ではないのでしょうけど。」

「はい。アオイちゃんに聞いたのですがダルさんの名前が古代文字で書かれていたそうです。」

「? どういうことなのかしら。石碑が見つかった場所はどのなの?」

「帝都の城の中です。」

「あそこかぁ。」

伊藤女史の嫌そうな声が聞こえます。

確かにトラウマものの大脱走をした場所です。

伊藤女史にとって嫌な場所なのです。

「ダルって人は確か、帝国四天王ヘドリアさんの副官よね。」

「ええ、そしてアオイさんの話を聞くと、帝国四天王が反旗を翻さないようにお目付け役も兼ねていたようです。」

「つまり、生粋の帝国の人材ね。」

「はい。そうなんです。そして僕はそこにひっかかりを感じてるのです。」

「・・・その引っ掛かりを詳しく教えてもらってもいいかしら。」

「先程、もう一つ割れた石碑があると言いました。」

「ええ、そうね。」

「それにはタイタンの副官のファストという名前が古代文字で刻まれていたそうです。」

「ファスト、ファスト・・・記録にないわね。」

カタカタとパソコンを叩く音がスマホを通して聞こえます。

おそらく検索しているのでしょう?

「はい。僕達とはコンタクトがありません。タイタンが帝国からのお目付け役を嫌い倒してしまったそうです。」

「へえ、タイタンも大胆ね。お目付け役を倒されても登用し続けた帝国もどうかと思うけど・・・それはそれとして倒された副官と割れた石碑が一致しているといいたいのね。」

「はい。ただアオイちゃんの副官、カグヤさんも厳密には倒されているのですので、厳密に一致しているわけではないのですが。」

「記録によれば彼女は2度姿を現している。一度目はレッドドラゴン戦。アオイさんの体を借りて、2度目はアオイさんの機械仕掛けの騎馬の姿を借りて・・・完全に倒されているわけではないかもね。」

「はい。そして、その副官の名前が刻まれている石碑の場所を何故、りさ教授が探しているのか、そこが引っ掛かります。それともう一つ・・・。」

「何かしら?」

「地の国の王の言葉です。」

「元々、石碑の部屋は地の国のものだったという話しよね。」

「はい、そして守護者によってあるものを抜き取られ『魅入られたもの』となった。その抜き取られたものを抽出する研究をしていたのが、その部屋という話しです。」

「まって、だとしたら、その石碑は抽出された何かの可能性が高いじゃない。」

「僕はそう考えてます。」

「!」

「そして仮に帝国の副官が「魅入られたもの」としたら、副官は帝国を裏切られないわけです。自分の抽出された一部を人質にされているようなものですから。」

「だから、安心して四天王の監視役にしていた??・・・ちょ、ちょっと、まって。」

「はい。」

「そのお部屋は地の国で守護者の研究のために使われていたのよね。」

「はい。正確には何かが抜き取られ「魅入られたもの」になってしまった人たちの抜き取られた情報を洞窟内から抽出する実験です。」

「その抜き取られた情報を抽出したものが石碑ってことよね。」

「はい。」

「じゃあ。帝国はその部屋があれば「魅入られたもの」に対して石碑を人質に、意のままにできるってことよね。」

「はい。その可能性はあります。」

「りさ教授は「魅入られたものに」なっている可能性が高いのよね。」

「はい。」

「つまり、りさ教授もこのままだと帝国に逆らえない。」

「はい。ですから。りさ教授を救うためには帝王のいる場所に行ってりさ教授の石碑を返してもらわなければいけません。僕はそう考えてます。」

「・・・OK。わかったわ。・・・・その石碑ってなんかのかしら? 何を抜き取られたのかしら?」

「そのためにアオイちゃんが調査してます。」

「OK。その調査待ちね。」

「はい。」

「OK。こちらはその前提で作戦を考えるわ。」

「・・・いいのですか?」

「?? 何が?」

「伊藤さんはどちらかと言えば帝国と争うのは反対ですよね。」

「まあね。 もともと魔石の洞窟の研究は資源獲得が目的よ。地底国家の皆さんと交易はOKだけど、争いは無駄でしかないわ。」

「でも、りさ教授を救助する=帝国とたたかう事になってしまいます。不本意では。」

「レンジャーワンの発足理由は何?」

「洞窟内で遭難した研究者の救助です。」

「OK、救助は問題ないでしょ。」

「わかりました。」

「何か、腑に落ちない言い方ね。」

「いえいえ。大丈夫です。」

伊藤女史がそれで心に折り合いをつけているのであれば、それでいいのです。


「あ、あ、あのう。」

伊藤女史との通信を終えた僕にメンドーサさんが遠慮がちに話しかけてきました。

「どうしました?」

「だ、だ、だ、ダルは「魅入られたもの」だったのでしょうか?」

「今のところはその可能性があるとしかいえないです。」

「そ、そ、そうですよね。」

「どうかしましたか?」

「い、い、いえ。その。ダルは「魅入られたもの」になっていたのに更に守護者に喰われたということでしょうか?」

「・・・!」

あの時のダルさんは完全に自分を見失ってました。

仮にダルさんが魅入られたものだったとしたら2回喰われると自分を見失ってしまうという事でしょうか?


僕達は地の国の王を初めてする様々な話を繋ぎ合わせ、守護者や原石に喰われると何か大事なものを奪われるという仮説で考えています。

2度食われるということは奪われ過ぎるということでしょうか?


だとしたら、守護者に囲まれている「魅入られたもの」となった、りさ教授は2回喰われないように守護者の言う事を聞くしかない状況にあるのかもしれません。


自分の一部を帝国に石碑という形で人質にとられ、2度食われないように守護者に囲まれている。

りさ教授は思っている以上に危険な状況かもしれません。


---from Titan side---

「ふん。石碑がそんなに大事なのか。だったら俺が先にいって場所を探ってやる。」

レンジャーワン達の動きを見て俺は提言する。

「ち、ちょっと・・・。」

アオイが何か言いかけたが無視する。

「おい、ライト!」

俺は唯一、残った忠臣を呼ぶ。

「・・・はっ。お供ですね。今準備を。」

「は? ちげぇよ。別なこと頼みてぇんだよ。」

「・・・別な事とは?」

「ここに残って俺の代わりに帝都を守れ。」

「ええっ!」

「・・・な、なぜです。」

「ああん? 俺の代わりになるのがライト。テメェしかいないからだろうが。」

「・・・い、いやしかし。」

「・・・頼むぞ。地底一の剣士。」

「・・・はっ。」

俺はライトの返事に頷く。

そして赤石に向かい

「赤石。ライトを頼む。」

といった。

「心得た。」

俺は赤石の言葉に満足し、

「ライト! 俺が不在の間、赤石を俺だと思って仕えよ。」

「・・・。」

「返事は!」

「・・・はっ。」

ライトの奴め。不満を隠そうともしねぇ。

俺以外の奴に

仕えるのが不満なんだろうな。

それは嬉しいし、わかるが、ここはやってもらわねぇとな。

「おう。じゃあな。頼んだぜ。」

俺はその場を立ち去る。

・・・

・・・

・・・


そろそろ帝都を抜け、帝王が潜む方面へ進むためのダンジョンの入り口だ。

ってのになんであいつがいるんだ。

「おい、テメェは暇なのか。」

俺は目の前の女を睨む。

「アンタが無視するからよ。」

目の前の女。アオイが仁王立ちで立っている。

「なんで逃げるのよ。」

アオイが俺を睨む。

「はぁ? 何言ってるんだテメェ。喧嘩なら買うぞ。」

「会話になっていない。なんで逃げるのって聞いてるの。」

「それこそ会話になってねぇ。俺はテメェ達が石碑ってのを重要視してるみたいだから先に探りに行くっていってるんだぜ。」

「嘘。」

「ああん?」

「アンタはこの場から去ろうとしている。」

「・・・。」

「・・・なによ。そこで黙らないで。」

「ちっ・・・じゃーねぇな。おい戦略姫。」

「なによ。」

「俺が信頼できると思うか?」

「はぁ? 何言ってんの?」

「帝国を裏切った奴だぜ。しかも帝都を陥落させた実績もある。客観的に言って信頼できねぇだろ。」

「そうね。客観的に見ればね。」

「ちっ。否定しねぇのかよ。まあいい。そんな奴がテメェ達の陣営にいて帝都に居座り続けたらどうなる。」

「ん? 私達を裏切るってこと?」

「そんな事ぁ。いまさらしねぇが、周りはそうは考えぇだろ。疑心暗鬼が生じる。そんな組織は弱ぇ。」

「だから逃げんの?」

「だ・か・ら逃げるんじゃねぇ。別な役割を果たすだけだ。テメェも元々四天王。組織のTOPだろうが、疑心暗鬼だらけの組織が弱いってのは分るだろ? 実力を発揮しきれねぇ。」

「わかった。じゃあ別な質問。ライトをなぜ連れて行かないの。」

「あいつは地底一の剣士だ。だが俺の元じゃぁ実力を発揮しきれねぇ。だからテメェ達に預けた。あいつは真面目だからな、俺が指示しあいつが頷いた以上、ちゃんと赤石の言う事はきくと思うぜ。」

「あんた自分の今の立場わかってる? 帝国に捕らえられたら死ぬよ。それでライトも護衛に連れて行かない。死にたいの?」

「はん。俺を舐めてんのか?」

「アンタも戦術家でしょうに。突出した実力があったとしても一人で勝てるわけがない。」

「ふん。なら試してみるか?」

「ふー。発想が脳筋。さっき赤石と戦ったばかりでしょうに。」

「ちげぇよ。ほら見て見ろ。」

タイタンは洞窟の奥を視線で示す。

「俺を待つために、ダンジョンの出入り口を守る守備兵を下がらせたんだろうが、そのおかげでダンジョンのモンスターが近づいている。」

「はん。ダンジョンのモンスターなんてあんたの敵になり得ないでしょうが。守備兵でも倒せちゃう。アンタがこれから向かう場所はもっと危険。理解してる?」

「まあ、見てな。」

洞窟の入り口から出てきたのは骸骨剣士の一団とそれを率いるボロボロのフードをきた骸骨。

いわゆるスケルトンと言われるモンスターだ。

そんな強くないが、あのボロボロのフードをきた骸骨は明らかに魔法を使うだろ。

何の魔法を使うかわからねぇが、その使う魔法の種類によっては厄介だ。

「俺一人でやる。じゃねぇと心配なんだろ?お姫様?」

「やって当然。四天王筆頭。あの程度、やれなきゃ認められないね。」

「へっ、厳しいお姫さまだ。」


俺は得意の火魔法で巨大火球を飛ばす。

アンデッドモンスターには相性抜群だ。

骸骨剣士は数を減らしていく。

「そら、そら、そらっあああ!」

巨大火球を連発する。魔力使った分、減るがこの程度屁でもねぇ!

ボロボロのフードをきた骸骨が魔法を唱える。

おせぇよ。


この戦いは俺が一人でも問題ないとアオイに示すのが目的だ。

魔法発動前にもヨユーで倒すことはできたが、それだとアオイが納得しねぇだろ。

テメェの魔法を受け切って倒す。

このことに意味がある。

さて、どんな魔法だ?

スケルトンらしく暗黒魔法か?


「heita heita heita geta sigr!」

あん? んん? この魔法は召喚魔法かっ!


面白れぇ。

呼出す魔物によってはアオイを納得させられるものが出てくるかもしれねぇな。

瞬殺しねぇで、魔法を撃つまで待ってやったんだ。

つまらねぇ奴、召喚するじゃねぇぞ。


ボロボロのフードをきた骸骨を中心に魔法陣が展開される。

その魔法陣から魔物がせりあがってくる。


お。

おおっ。

おおおおっ!


で、でけぇなおいっ。


ドラゴンのスケルトンかよ。

俺は骨のドラゴンを見上げる。


つまらねぇ奴、召喚するなよとは思ったが、まさかドラゴンのスケルトンを召喚するとは思わなかったな。


あ。


召喚元のフードをきた骸骨。自分で召喚したドラゴンのスケルトンに喰われやがった。

阿呆か!


テメェで召喚した化け物に喰われるんじゃ意味ねぇ。


まあいい。

ドラゴンのスケルトン。ドラゴンのアンデッドなら相手に不足はねぇ。

こいつを瞬殺してやろうじゃねぇか。


「gørvi gørvi bryrja brynju-bítr bál n」

俺の体が炎に包まれる。

その炎はやがて形を作り、緋色のフルアーマーとなる。

そして俺の両手には同じく緋色の両手持ち剣が握られた。


前回、赤石と戦う時に使った奥の手だ。

だが、これだけだとアオイは納得しないだろう。


あの時は殺し合いする気はなかったからな。

赤石が俺より強いかどうかを図る力比べだったからな。


そういやいつだったかデビルフィッシュの野郎が

「うむ。悔しいがそれは認めねばならん。少なくとも赤い戦士は結果的に吾輩よりも強い。」

といってたが本当だったな。

赤石はデビルフィッシュの野郎よりも、俺よりも強ぇ。


さて、目の前のドラゴンのスケルトン

こいつと力比べしてやる義理はねぇ。

ただ、倒すそれだけだ。


なら、これが使える。

「おい、アオイ。見てろ。これがファストを、魅入られたものを倒す力だ。・・・píli!」

俺が短く魔法を唱えると緋色の鎧と剣を持つ俺の体が矢玉となり、巨大なスケルトンのドラゴンを貫通。その後、スケルトンのドラゴンを燃やしきった。


矢玉そして緋色の鎧姿から戻った俺はアオイに対し

「どうよ。」

と振り向く。

アオイは難しい顔をしながら

「なんで、その力。赤石ん時に使わなかったのさ。」

「あん? 力比べとモンスターを倒す技は違うだろ。」

それを聞くとアオイは無言でダンジョンの出入口の道を譲る。


「ライトを頼んだ。」

俺はすれ違いながらアオイにいう。

「そんなに心配なら。ちゃんと生きて帰ってきな。」

アオイはそう言って俺を見送った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ