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ウロボロク  作者: 黒黰黎
ファースト・ステップ

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3/11

癒しの真珠亭

読みにくい所や誤字の報告などしてくれるとありがたいです。



感想または質問にはできる限りお答えするので書いてくれると嬉しいです。

「お父さん、起きたよ」


彼女と少し話をしたあと、食堂に案内すると言われた。

そのまま彼女に続いて階段を下りていく。

階段を下り終えると、カタリヤは迷いなく一つの部屋に入っていった。

俺はその背中を追うように部屋に足を踏み入れる。

部屋に入った瞬間、俺は思わず目を見張った。椅子とテーブルは見たことがある。森の中で使っていたからだ。

しかし、これほど多くの椅子とテーブルが整然と並べられている光景は初めてだった。何か特別な場所なのだろうか?


「これが食堂」


カタリヤが振り返りながら呟いた。


「うん、 なんか言った?」


彼女が聞き返そうとした瞬間、奥の部屋から低く響く声とともに大柄な男性が姿を現した。


「おぉ、起きたか。それは良かった。大丈夫だったか?」


その男性は、カタリヤとは正反対のがっしりとした体格をしており、威圧感を感じるほどだった。しかし、その表情はどこかカタリヤと似ていた。


「うん、何ともなさそう。ただ、少し記憶が曖昧みたい」


カタリヤが俺の状況を簡潔に説明すると、男性は「そうか」と頷き、俺に視線を向けた。

その視線には、俺をじっくりと観察するような鋭さがあったが、嫌な感じはしなかった。


「よう、坊主。まずは飯でも食うか」


そう言うと男性は、来た道を引き返していった。


「じゃあ、座って待ってようか」


カタリヤが微笑みながらテーブルの一つを指差した。俺も促されるまま椅子に腰を下ろす。

少しの間待っていると、先ほどの男性が両手に大皿を抱えて戻ってきた。


「ほれ、食べろ」


俺の前に置かれた料理はどれも大皿に盛られており、初めて見るような料理ばかりだった。だが、次の瞬間、大きな音が響いた。


「なんだ、お前、腹空いてんじゃねぇか。さっさと食えよ」


男性――カタリヤが「お父さん」と呼んでいた彼は、口元に笑みを浮かべながらそう言った。


ああ、そうだった。俺は思い出した。森を抜けてから何も食べずに飛び続けて、いつの間にか倒れてしまったのだ。


俺はまず、目の前のスープに手を伸ばした。スプーンで掬い、口元へ運ぶ。


「おいしい」


その一言が自然と口をついて出た。これまでに味わったことのない味だった。


「でしょ。お父さんの料理はどれも絶品なんだから!」


カタリヤが嬉しそうに笑いながら言う。その言葉に促されるように、俺は他の料理にも手を伸ばした。

それぞれが新しい感覚をもたらし、俺の食欲を刺激した。気づけば目の前の料理はすべて平らげていた。


「いい食いっぷりだな」


「どれもおいしかった。初めて食べる味ばかりだった」


「そうか、それは良かった」


男性は満足そうに頷いた。そして、言葉を続けた。


「俺はダン。もう気づいてると思うが、カタリヤの親で、この『癒しの真珠亭』の店長だ」


「俺の名前はルーツ。料理を作ってくれてありがとう」


そう言いながら懐から硬貨を取り出そうとした。じいちゃんに教えられたのだ。何かをもらったら、対価を支払うのがルールだと。


だが、ダンは手を軽く振りながら言った。


「いや、金はいい。次から払ってもらえれば今回はタダだ。それより、ルーツ、お前どこの区画に住んでるんだ? カタリヤが言うには倒れてたって聞いたけど」


俺は少し迷ったあと、正直に答えた。


「俺は今まで森に住んでいた」


「森?」


ダンは眉をひそめた。


「聖都に森なんかねえぞ。実際に俺も生まれてから見たことねぇ」


「ああ、だから俺は聖都の外から来た」


その言葉を聞いた瞬間、ダンの目が驚きに見開かれた。カタリヤは戸惑ったような顔をしている。


「お前、それは本当か。一体どうやって……」


俺は手を軽く上げ、答えた。


「俺は風を操れる。それで空を飛んできた」


その瞬間、部屋の中に風が巻き起こり、全員の髪が一瞬で上へと跳ね上がった。


「おいおい、まじかよ」

「何、今の……?」


二人とも、目の前で起きた出来事に困惑している。


「じいちゃんに教えてもらった。これは限られた人しか使えない技術だって。そしてそれを魔法と言うと」

「そして、聖都に行って冒険者になれと言われた」


ダンは腕を組み、少し困ったように唸った。


「はぁ……これは俺が相手できる案件じゃねえな」


そう言うと彼はカタリヤの方を向いた。


「カタリヤ、明日店を空けていいから、起きたら案内してやれ」


「どこに?」


「冒険者ギルドだ」

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